今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-2.47%だったのに対して、東証グロース市場指数は-4.15%、東証グロース市場250指数は-4.43%と新興市場の下落率は大きかった。日本銀行による金融政策決定会合への思惑などから東証プライム市場の売買代金が減少し、日経平均は調整局面を迎えている一方、東証グロース市場は12日こそ逆行高のような動きを見せた後は、GENDA<9166>、Macbee Planet<7095>などの決算銘柄や、大規模な公募を発表したispace<9348>など主力株を中心に下げ幅を拡大する展開となった。東証グロース250の売買代金は8日以降2000億円を下回っており、下落局面で押し目を狙うような動きは観測されておらず、投資家のモメンタムは悪化している様子。東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに25日移動平均線、200日移動平均線を下回っており、75日移動平均線の攻防を迎えている。
個別銘柄では、24年7月期の営業利益予想を上方修正したデリバリーコンサルティング<9240>が急騰したほか、笑美面<9237>、さくらさくプラス<7097>、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>、アールプランナー<2983>も決算内容が材料視されて買われた。また、勤次郎<4013>は株式分割や中期経営計画が評価されて上昇。ACSL<6232>は防衛省外局の防衛装備庁からの大型受注を発表し買われた。一方、決算内容が嫌気されたジャパンM&Aソリューション<9236>が急落したほか、米エヌビディア株がさえない動きとなったことが影響し、カスタムAI開発のLaboro.AI<5586>のほか、ABEJA<5574>やエッジテクノロジー<4268>、AVILEN<5591>、sMedio<3913>、Kudan<4425>などAI関連銘柄が売られた。
■IPO増加に伴う換金売りで需給悪化を懸念、IPOは3社
来週の新興市場は下値模索の展開となりそうだ。18-19日に開催される日本銀行による金融政策決定会合、19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に対する新興市場への影響は限定的となろう。為替が1ドル=140円台前半など大幅な円高推移となれば、内需株など円高メリット銘柄への刺激材料となりそうだが、大幅な円高推移はいまのところ期待しにくい。
チャート上では、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに75日移動平均線水準まで下落している。ちょうど2月15日以降の上昇分がはく落したことから、調整一巡との見方はできる。ただ、21日には、グロース市場にSTG<5858>とトライアルHD<141A>、22日には、同じくグロース市場にジンジブ<142A>がそれぞれ上場する。3月は15社のIPOが予定されており、15社中14社がグロース市場に上場することから、足元急騰していた銘柄や直近IPO銘柄を中心に換金売りが入る可能性がある。IPO銘柄は、短期資金が向かい商い活況となりそうだが、投資家のモメンタムが悪化しているなか、新興市場全体の需給面は悪くなることから下値模索を警戒したい。75日移動平均線をあっさり下回ってくると、東証グロース市場指数は900台、東証グロース市場250指数は700台のそれぞれの大台割れが意識されよう。
<FA>
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