<話題の焦点>=風雲急の有機EL関連、米アップル採用と韓国LG増産投資で注目
現在有機ELの量産では、自社のスマートフォン向け中心に独占的に生産する韓国サムスンとテレビ向け中心の韓国LGが双璧だ。韓国LGは、今年の有機ELテレビの販売台数を昨年比3倍の90万台強に大増産する計画にあることが伝わっており、いよいよ有機ELのテレビ向け需要が加速する段階に入ってきた。国内に目を向けると象徴的なのがパナソニック<6752.T>の動きだ。同社は既に採算悪のテレビ用液晶パネルの生産を9月末で停止することを発表しているが、一方で次世代パネルである有機ELを採用したテレビのグローバル展開を模索中、時代の潮流を強く意識した経営判断に注目が集まる。
また、米アップルが来年秋ごろ発売予定の「iPhone7s」で有機ELディスプレーを採用する方針が伝わっていることも関連企業を色めき立たせている。iPhoneは現在、スマートフォンの世界販売の20%近くを占めており、アップルが有機ELを採用するとなると、そのインパクトは絶大といってよい。このアップルの戦略を背景にスマホ用有機ELパネルは、枚数ベースで2018年には昨年比倍増の5億枚程度まで急増するとの試算もある。
来週13日から開催されるアップルの世界開発者会議(WWDC)が注目されている。この会議では「新型MacBook」が話題の中心となるとみられるが、市場関係者の間では有機ELディスプレー採用の新型iPhoneについても何らかの詳細情報が出てくるのではないかという思惑もあるようだ。
こうした流れを受け、シャープ<6753.T>とジャパンディスプレイ<6740.T>の国内液晶パネル大手2社の動きが注目されている。鴻海精密工業傘下で経営再建を図っているシャープは、今後、有機EL事業に積極的に経営資源を振り向ける計画にあるほか、ジャパンディスプレイも産業革新機構、ソニー<6758.T>、パナソニック<6752.T>との4社合弁で有機ELディスプレー専業のJOLEDを発足させるなど注力姿勢にある。
このほか注目銘柄としては、有機EL蒸着プロセスで需要が見込まれるファイン・ハイブリッド・マスク(FHM)を手掛けるブイ・テクノロジー<7717.T>、有機ELディスプレー普及でイオン注入装置の需要増が期待される日新電機<6641.T>、有機ELの正孔輸送材と発光材料を手掛ける保土谷化学工業<4112.T>、特定有機ELディスプレー製造装置メーカー向け真空チャンバーの受託製造を行う平田機工<6258.T>、紫外線吸収剤をはじめ電子材料に展開し有機EL関連特許を多数出願しているケミプロ化成<4960.T>などをマークしておきたい。
出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)
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