同社が属するコスメ、トイレタリー、機能性衣料品の市場は、国内外ともに中長期的な成長が期待されている。一方で、直近では韓国コスメのブームを背景に、国内の化粧品メーカー各社が厳しい競争環境に直面しており、業界全体として競争の激化が続いている。また、広告費や物流費、原材料費の上昇も、企業の収益を圧迫する要因となっている。こうした外部環境の変化に対して、同社は特定の業界や製品カテゴリーに依存しない多角的な事業構造を維持することでリスクヘッジを図っている。特に、コスメ・トイレタリー・機能衣料品という複数の柱を持つことで、特定市場の不振による影響を最小化する体制を構築している。また、国内市場に依存しない成長基盤の確立を目的に、海外展開にも注力しており、特に米国や中国といった市場規模の大きい国での販路拡大に積極的に取り組んでいる。
2024年12月期通期は、売上高が8,635百万円(前期比21.8%増)、営業利益は71百万円(同58.3%減)、経常利益は50百万円(同68.4%減)、当期純損益は21百万円の赤字(前期は111百万円の黒字)となった。売上高は過去最高を記録した。一方で、大型プロモーションによる広告費の増加、人材投資の拡大により減益、さらに一部債権に関する貸倒引当金の計上により当期損益は赤字となった。
2025年12月期第1四半期は、売上高1,601百万円(前年同期比3.0%減)、営業損益は損失176百万円の赤字(前年同期は183百万円の赤字)、四半期純損益128百万円の赤字(同143百万円の赤字)となった。販売先の年末在庫積み増しの反動に加え、夏物商材の売上比率が高いことが影響した。
2025年12月期通期では、売上高11,000百万円(前期比27.4%増)、営業利益345百万円、当期純利益161百万円と、黒字転換と大幅な業績改善を見込んでいる。下期に向けて主力商材の販売が本格化することで、収益の改善が期待される。
同社は2030年に売上高300億円、経常利益20億円の達成を掲げている。中期的な成長戦略は、「主力ブランドの育成と活性化」「事業領域拡大」「海外販路の強化」「EC及び直販の強化」「新商品の企画開発強化」を挙げている。その一環として、2025年5月には九州地盤で幅広く良質な販路を持つ卸業「粧和」を買収した。今後は中小メーカーのテスト販売に対応する育成型問屋としての機能を持たせる構想がある。また、「BUZZMADE(バズメイド)」という一般参加型の商品企画プラットフォームも構築中で、商品開発のスピードと創造性を高めていく。一般ユーザーのアイデアを起点とした商品化とロイヤリティ支払いの仕組みを整備し、社内外の垣根を越えたオープンイノベーション型の商品開発体制を目指している。
同社の株主還元方針は「安定配当の継続」であり、配当性向30〜40%を基本としている。2024年12月期の配当実績は年間9円、2025年12月期は年間10円を予定している。業績が一時的に悪化した場合においても減配は極力避ける方針であり、株主との信頼関係維持を重視している。
<HM>
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