【質疑応答】NSグループ株式会社(471A) 新規上場記者会見
NSグループ株式会社
設立:2021年8月
事業内容:グループ会社の経営管理及びそれに付帯又は関連する業務等
登壇者名
NSグループ株式会社 代表取締役社長 大塚孝之 氏質疑応答:このタイミングで上場を決議した理由について
質問者:子会社の日本セーフティーは1997年に設立されましたが(親会社であるNSグループは2021年設立)、このタイミングで上場を決議された理由について教えてください。
大塚孝之氏(以下、大塚):2021年にベインキャピタルが資本参加し、株式を51パーセント取得しました。以降、上場に向けて準備を行ってきました。ガバナンスの体制や収益力の向上等において、ある一定の目的を達成できましたので、このタイミングでの上場となりました。
質疑応答:上場の狙いについて
質問者:上場の狙いはどのあたりにあるのでしょうか?
大塚:この業界は30年前にはありませんでした。そのため、上場による「知名度が向上する中での人材獲得」「財務基盤の安定」の2つが一番大きな目的です。
質疑応答:企業が連帯保証人を担う上での信用力について
質問者:企業が連帯保証人を引き受ける上で、信用力は相当な課題だったのでしょうか?
大塚:マーケットは1995年くらいにスタートしていますが、創業から約10年間はほとんど知られていませんでした。信用力は非常に大切なファクターだと理解しています。
質疑応答:ビジネスの成長余地について
質問者:今後、少子高齢化や外国人材の受け入れ等により保証人が必要になるケースも増えてくると思いますが、御社のビジネスにはまだ成長余地があるのでしょうか?
大塚:住居用保証と事業用保証の2つがあり、住居用保証では本年10月より住宅セーフティネット法も施行されましたが、外国人や単身世帯等の需給ギャップが日本における大きな課題です。そのようなところに対して、事業の成長余地は十分あると考えています。
事業用の家賃債務保証は急成長している最中ですので、まだまだ伸びる余地があると考えています。
質疑応答:シェアを獲得しきれていない顧客層やエリアについて
質問者:現在の主力事業において、シェアを十分に獲得しきれていない顧客層やエリアがあれば教えてください。
大塚:我々のマーケットシェアは住居用保証、事業用保証を合わせて10パーセント強ですが、依然として拡大の余地があると考えています。特に我々の収益の7割は関東・関西という大都市圏が中心ですので、そのエリアを今以上に強化していきたいと考えています。
質疑応答:新規上場企業として注目してほしいポイントや中長期戦略について
質問者:新規上場企業として投資家に注目してほしいポイントや、中長期での企業価値向上に向けた取り組みについて考えていらっしゃることを教えてください。
大塚:株主への還元をしっかりと行いながらも、成長のための投資を実施していきたいと考えています。特にIT・DX分野やM&Aです。
IT・DX分野においては、家賃債務保証、また賃貸市場は他の産業に比べるとデジタル化が非常に遅れており、そこが我々にとってはオポチュニティだと考えています。
特に我々の強みであるところは、お客さまが小規模な管理会社であることです。小規模な管理会社は、自社でIT投資をすることがなかなか難しいため、我々がしっかりと投資を行うことで、お客さまである管理会社の業務効率を向上させ、賃借人に良い顧客体験を提供できる会社に成長したいと考えています。
質疑応答:初値の受け止めについて
質問者:初値について、どのように受け止められていますか?
大塚:本日、証券会社に行って初めて価格が付くところを見ました。その後の価格も若干軟調ではあるものの、株価についてはマーケットの評価ですので、真摯に受け止めたいと考えています。
当社としては、これから役員・社員が一丸となって業務に邁進し、企業価値を上げていきたいと考えています。今後は投資家のみなさまに向けて情報開示をしっかりと行い、信頼される企業になりたいとあらためて感じました。
質問者:本日は軟調でのスタートでしたが、今後どのようなところを投資家に対してよりアピールしたいと考えていますか?
大塚:この産業そのものがまだ一般的に知られていないところがありますので、社会的に貢献している事業であることをしっかりと伝えていきます。
一方で、収益性が大変高い会社であり、EBITDAマージンは約42パーセントあること、また、すでに発表していますが配当性向が50パーセント以上であることも、しっかりとお伝えし、投資家のみなさまに信頼される企業に成長していきたいと考えています。
質疑応答:2027年12月期の業績見通しについて
質問者:2027年12月期の予想を発表されていますが、業績の変化率が非常に高い印象です。この予想の前提を教えていただけますか?
大塚:この産業全体で、マーケットの成長率は約7パーセントです。我々は全体で約11パーセントの成長を考えていますので、マーケットの成長を上回るスピードで成長していきたいというのが前提となります。
質疑応答:異業種とのM&Aについて
質問者:「異業種とのM&Aを検討される」とのことですが、具体的に検討する余地がある異業種とはどのようなところでしょうか? また、どのようなサービスの充実を目指しているのかを教えてください。
大塚:この産業全体がアナログ中心で、デジタル化が遅れている現状がありますので、不動産テックやデジタルを提供しているところが、異業種とのM&Aの対象だと考えています。
主力で言えば、家賃債務保証の住居用マーケットは、全国に約200社あると言われており、現在約6パーセント成長しています。日本全体の産業の成長率と比べると若干高い数値かもしれませんが、30年前にはなかったマーケットが成長し、踊り場に入っており、今後はM&Aはもとより、業界の再編が起こるのではないかと考えています。そのような同業とのM&Aと、2方向で考えています。
質問者:規模の拡大もにらみながらということですね。DX化によってサービスは具体的にどのように変わるのでしょうか?
大塚:我々の最終顧客は賃借人、要するに家を借りる人たちです。我々のお客さまの6割くらいが20代、30代の方たちです。
その方々は、普段の生活ではスマートフォンなどを使いながらデジタルの経験を重ねていますが、残念ながら不動産の取引は紙とFAXが中心です。賃借人からすると、「自分たちが生活で使っているデジタルの体験をこの産業でも使いたい」というのは当然の流れだと思いますので、我々はそのようなところに貢献していきたいと考えています。
質問者:契約のスピード化などでしょうか?
大塚:おっしゃるとおりです。
質疑応答:企業が連帯保証人を担うようになった社会背景について
質問者:連帯保証人というと個人を指すイメージが強いのですが、企業が連帯保証人を引き受けるようになった背景や、このようなサービスが活きるケースについて教えてください。
大塚:日本の社会構造の変化が一番大きいと思います。30年前にはこの産業がなく、家を借りる時には父親や叔父など、親戚に「家を借りるから保証人になってください」と頼むことが一般的だったと思います。
今日現在を考えてみると、家族との関係が少し希薄化してきています。また、民法の改正により、連帯保証人になる時に契約書に極度額を明示する義務ができました。
今までは「いいですよ」と軽く引き受けてもらえましたが、「何百万円まで保証します」と記載することになったため、お願いする側も少し遠慮してしまったり、判を押す側もそこに対して真剣に考えたりするようになりました。このような流れの中でずいぶんと変わってきました。
さらに、高齢者の方や外国人が増えていく中で、そもそも連帯保証人がいらっしゃらないケースもあります。このような社会構造の大きな変化が背景にあります。
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