1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比6.2%増の16,972百万円、営業利益で同9.2%増の1,499百万円、経常利益で同6.4%増の1,496百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同8.9%減※の914百万円となり、中間期における売上高、営業利益、経常利益で過去最高値を更新した。小学部を中心に期中平均塾生数が同2.3%増の47,679人と着実に増加したほか、「夏期集中特訓・夏期合宿」の総参加者数が1.5万人超と前年比6.4%の増加となったことも増収に寄与した。利益面では、労務費や広告宣伝費等の増加を増収効果やDXによる業務効率向上により吸収した。期初計画比では売上高・各利益ともに上振れて着地した。営業利益は計画比で465百万円上回ったが、当中間連結会計期間で計画していた広告宣伝費や販売促進費、ICT関連費用等の予算執行が第3四半期以降にずれこんだこと等による。なお、2024年1月に子会社化した幼児未来教育については売上高で4千万円前後となり、利益面での影響は軽微だったと見られる。
※ 前年同期の法人税負担額が、2023年3月期の賃上げ促進税制適用に伴う税額控除分が減少したため親会社株主に帰属する中間純利益は減益となった。
(1) 学部別売上高と塾生数の動向
学部別売上高について見ると、小学部が前年同期比7.1%増の10,149百万円、中学部が同3.6%増の5,849百万円、高校部が同7.8%増の848百万円とすべての学部で増収となった。期中平均塾生数は小学部が同3.2%増の28,095人、中学部が同0.3%減の16,843人、高校部が同3.7%増の2,575人となり、中学部を除いて増加した。学年別では小学1〜2年生と中学1年生が苦戦したものの、小学4〜6年生と中学3年生が順調に増加した。また、高校部については、東進衛星予備校事業の新規生徒獲得が増加要因の大半を占めたようだ。
学習塾業界の生徒数は少子化が進行するなかで緩やかな減少傾向※1が続いているが、同社においては少子化の影響が軽微な首都圏で事業展開していることや、主要な顧客ターゲットが難関私立中学校を志望する小学生が中心であることから増加基調が続いている。中学生については首都圏でも高校受験の競争環境が緩和していることから通塾率が低下しており、競合塾で塾生の減少が続くなか前年同期並みの水準を維持している点は評価される。業界でのシェアが上昇している要因として、顧客の最終目標である難関校・志望校への高い合格実績を出し続けていることに加えて、「早稲アカDUAL※2」や顧客接点となる「早稲田アカデミーOnline※3」などICTを積極的に活用した利便性の高いサービスを開発・提供し続けていることにあると弊社では考えている。
※1 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2024年4~9月の学習塾受講生徒数は前年同期比1.3%減であった。
※2 校舎での対面授業とオンラインによる双方向Web授業のいずれかを選択して受講できるサービス。
※3 スケジュール管理や出欠連絡、模擬試験の申込や成績確認、オンライン授業の受講など様々な機能を提供するWebサービス。スマートフォンアプリでも提供しており、顧客満足度の向上につながっている。
なお、塾生1人当たりの平均売上単価はいずれの学部も前年同期比で4%弱上昇した。小学生や中学生で平均単価の高い受験学年の構成比が上昇したこと、またオプションメニューとなる「夏期集中特訓・夏期合宿」の総参加者数が1.5万人超と前年比6.4%増加したことも単価の押し上げ要因となった。「夏期合宿」については、2023年に4年ぶりに再開(小学4年生と中学1年生に限定)し、2024年は対象学年を小学6年生(公立中学進学コース)・中学2年生に拡大した。2025年以降も合宿受け入れ先の状況次第ではあるが、対象学年をさらに広げていきたい考えだ(以前は全学年で合宿を実施していた。合宿を行わない学年については都内のレンタルスペースを借りて集中特訓コースを開催している)。
(2) 校舎展開
校舎展開としては、早稲田アカデミー標準校について2024年6月に葛西校を移転リニューアル、7月に晴海校を新規開校、高輪台校を移転リニューアルしたほか、生徒数増加に対応するため田町校、武蔵境校、北浦和校の増床等を行った。個別進学館については9月に五反田校を開校(旧高輪台校の移転リニューアル)した。この結果、2024年9月末のグループ全体(直営・FC合計)の校舎数は、新たに加わった幼児教室「サン・キッズ」の3校を含めて前年同期比9校増の215校となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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