c) 学習塾事業
学習塾事業は個別進学指導塾「TOMAS」のほか、英会話スクールの「インターTOMAS」、医学部受験専門の個別指導塾となる「メディックTOMAS」に加えて、2020年2月より最難関中学受験個別指導塾の「Spec. TOMAS」をスタートさせている。2023年2月期以降は校舎数・生徒数の拡大によって年率1ケタ台後半の売上成長を目指している。
「TOMAS」の教室展開については、2018年2月期から取り組んでいる「首都圏サテライト校戦略」を継続していく方針だ。「首都圏サテライト校戦略」とは、従来ターミナル駅において150~200坪の広さで200~400名規模で教室を展開していたのに対して、周辺の中堅駅において50~60坪の広さに100~150名の規模で教室を展開する戦略を言う。2022年2月末時点で首都圏に88校を展開しているが、2023年2月期以降は年間5~10校のペースでサテライト校を展開していくことで、150~180校体制を当面の目標としている。また既存校についても生徒数の増加により手狭となった教室は、順次増床または移転リニューアルを進めていく。
「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば出校を進めていく。また新規ブランドとして立ち上げた「Spec. TOMAS」については、コロナ禍の影響もあって当面は既存校(自由が丘校)での収益化に取り組んでいく方針とした。
d) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業のうち家庭教師派遣の「名門会」については、首都圏のほか大阪、名古屋などの大都市並びに地方の主要都市にも展開を進めてきたことで2022年2月末時点の校舎数は35校となっている。今後は増床や移転リニューアルによって生徒数の増加に対応していくほか、需要が見込める地域で新規開校を進めていく方針となっている。また、2022年からスタートした「メディック名門会」については、今後3年間で10校以上の展開を目指していく。
一方、「TOMEIKAI」については首都圏以外の主要都市において年間数校ペースで新規開校を進めていく。なかでも、京阪神エリアや名古屋、福岡、北関東エリアを中心に展開していく方針だ。今後の課題としては、「TOMEIKAI」のブランド力向上が挙げられるが、同社では「TOMAS」と同様に高品質の教育サービスで高い合格実績を積み重ねることでブランド力の向上を図っていくことにしている。
e) 学校内個別指導事業
「スクールTOMAS」は将来的に成長ポテンシャルの大きい事業として注力していく方針となっている。少子化が進行するなかで、私立学校では生徒獲得が経営課題となっているほか、教師の長時間労働も問題となっており、これらの課題を解決するソリューションとして「スクールTOMAS」の導入が進むと見ている。同サービスに関しては、不動産経費や生徒募集のための広告宣伝費がかからない点がメリットとして挙げられ、営業利益率は理論上15~20%程度と幼児教育事業並みの高い水準が期待できると同社では見ている。
2022年2月末時点の導入契約校数は107校と3年前と比較して約3倍に拡大している。2019年に駿河台学園と資本業務提携を締結して以降、駿台予備学校の卒業生をアルバイト講師として採用し、これら契約校へ派遣できる体制を整備したことで契約校数の拡大もスムーズに進むようになり、導入校も北海道から九州まで広範にわたっている。潜在需要としては私立学校を中心に300校程度まで拡大余地があると見られ、中期的に高成長が続くものと予想される。
f) 講師の採用育成戦略
グループ各社で校舎数を拡大していくためには、質の高い講師の採用・育成が重要なカギを握る。このため、同社はグループ会社の講師の採用・育成及び紹介を行う子会社として、2020年8月に(株)ココカラTチャーズを設立した。同子会社で講師の採用及び研修を一括して行い、適正に応じて各グループ会社に配置している。「TOMAS」については現状独自でも講師採用を行っており、当面は同時並行で採用を進めていく予定にしている。グループ全体の採用・育成を一括して行うことで、採用費や育成費の効率化を図る効果も期待され、グループ全体の成長加速につながる取り組みとして注目される。なお、アルバイト講師の採用については業界の中でも好条件で募集を行っているため、苦労することなく順調に採用できているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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