今週の新興市場では、日経平均が底堅く推移するなかではあったが、マザーズ指数は週間ベースで反落した。写真・動画SNSサービスを提供する米スナップがマクロ経済の状況悪化を理由に業績予想を下方修正したことを背景に、米国でSNS関連株が軒並み急落する事態が発生し、個人投資家心理が悪化したことが響いた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月3-4日開催)は想定内の内容にとどまり、米長期金利の低下基調が下値を支えたが、ナスダック総合指数の底入れに確信が持てないなか、押し目買いは鈍かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.16%であったのに対して、マザーズ指数は-1.85%、東証グロース市場指数は-1.79%だった。
個別では、外国人観光客の受け入れが6月10日から再開されるなど、インバウンド需要の回復期待が高まる報道が相次ぐなか、アドベンチャー<6030>、ベルトラ<7048>など旅行関連銘柄の多くが東証グロース市場値上がり率上位にランクイン。臨床試験に関するリリースでメディネット<2370>が値上がり率トップとなり、スポーツフィールド<7080>は1対2の株式分割が、QDレーザ<6613>は量子ドットレーザー対応ウエハーの市場開拓に関する報道がそれぞれ材料視された。一方、ヘリオスは<4593>は臨床試験結果が失望感を誘い、急落した。主力株ではBASE<4477>が-11%、フリー<4478>が-9%、メルカリ<4385>が-6%、JTOWER<4485>が-5%などと軟調なものが目立った。
■金利低下やナスダック続伸劇が追い風、ANYCOLORはBB順調
来週の新興市場では、マザーズ指数の戻りを試す展開に期待。今週末27日のナスダック総合指数は+3.32%と大幅に上昇。4月の個人消費支出(PCE)物価指数の結果を受けてインフレ懸念が後退したことが好感された。米10年債利回りは2.7%台と、5月6日の3.14%をピークとした低下基調が鮮明となっており、グロース株の支援要因となろう。直近、2日連続で上昇する日も珍しかったナスダックは今週末にかけて3日続伸したうえ、25日からの上昇率は+1.5%、+2.6%、+3.3%と大きい。売り方の買い戻しが主体とはいえ、これまでになかった強い動きといえ、個人投資家心理も改善しよう。一方、来週は海外で重要な経済指標が多く、週末の米雇用統計が近づくタイミングでは神経質になる場面も想定される。それでも、景気後退懸念がくすぶるなか、米ISM景況指数などを前に東証プライム市場の主力景気敏感株への買いは手控えられ、中小型グロース株への物色が相対的に強まると考える。
マザーズ指数が相対的に強い相場展開となれば、メルカリやJTOWERなどの主力株に強い動きが出てきそうだ。特に決算発表後に底堅い動きが続いているメドレー<4480>は日足一目均衡表で雲上限を上抜いてくるなどチャート形状が好転してきており、期待したい。
IPO関連では、6月8日上場予定のANYCOLOR<5032>が今週からブックビルディング(BB)期間入り(~5月30日)となっている。BBの積み上がりは順調と観測されている。VTuberマネジメント企業として初のIPOであり、個人投資家の注目を集めているようだ。また、今週はM&A総合研究所<9552>など5社の新規上場が新たに発表されている。
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