アンジェス Research Memo(9):希少遺伝性疾患のスクリーニング検査サービスは2024年12月期に拡大見通し
2021年7月よりACRLで開始した希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査については、検査数が2022年12月期の1万件から2023年12月期は2万件となり、2024年12月期も4~5万件と2倍強のペースで拡大する見込みとなっている。手数料収入は前期の115百万円から200百万円を上回り、サービス開始以降はじめて黒字化する見通しだ。検査領域及び受託先の拡大が増加要因となる。
新たな受託先として2024年7月より2つの自治体向けにサービスを開始しており、年末や2025年以降も受託先が広がる可能性がある。国内のオプショナルスクリーニング検査の対象疾患数は最大で9疾患となっているが、すべての疾患に対応していない自治体もある。同社は9疾患すべて、または検査対象から外れている疾患のみを対象とした検査をこうした自治体から受託する。また、公費で実施している新生児マススクリーニング検査の対象疾患として、オプショナルスクリーニング検査の対象であった脊髄性筋萎縮症と重症複合免疫症の2つの疾患を加えることが国の方針として決まったが検査体制が整っていない自治体も多く、こうした自治体からの受注も期待できる。ただ、検査能力に関しては2024年でほぼフル稼働となる見通しとなっており、さらなる事業拡大に向けては検査機器などの投資が必要となる。
検査領域拡大の取り組みとしては、遺伝学的検査※の実施体制の構築を完了しており、「ゾキンヴィ」の対象疾患となるHGPS及びプロセシング不全性PLも含めた遺伝学的検査の受託を段階的に開始する予定だ。スクリーニング検査で要検査判定が出る確率は0.15%と極めて少ないため、ビジネス面からスクリーニング検査と遺伝学的検査の両方を実施する衛生検査所がなく、医療関係者からも一括して委託できる衛生検査所が強く望まれていた。
※スクリーニング検査の結果で疾患の疑いがある場合、また、発症した症状から該当の疾患である可能性がある場合に、その病気の原因となる遺伝子変異の有無を確認することで該当の疾患かどうかを確定させる検査(確定検査)。
また、希少遺伝性疾患の治療効果をモニタリングするバイオマーカー検査の実施体制の構築も進めており、希少遺伝性疾患に関わるスクリーニング検査からバイオマーカー検査まで包括的な検査を実施できる体制を構築することで、検査受託サービスを通じて希少遺伝性疾患に関する新たな治療薬候補品を見出していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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