2. 中期経営計画の進捗状況
(1)経営数値目標の見直しについて
2017年5月に発表したソフト99コーポレーション<4464>の中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)では、自動車保有に対する一般消費者市場における環境変化が継続することを前提に、その変化に対応しながら既存事業で収益水準や市場シェアの確保を図りつつ、新市場の開拓並びに新規事業の創出に取り組んでいく3年間と位置付け、最終年度の経営数値目標として、売上高25,000百万円、営業利益2,700百万円、経常利益2,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,900百万円を掲げ、その達成に向け取り組んできた。
前述したように売上高については25,000百万円の目標を達成できる見通しだが、利益面では当初目標値から若干下方修正している。この要因は、将来の成長に向けた設備投資や人材投資、開発投資などを前倒しで進めていること、販売構成比の変化や新規事業として期待していたTPMS事業の成長ペースが当初の想定を下回っていることなどが要因となっている。
(2) 事業セグメント別の修正要因
a)ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の業績は当初目標値に対して、売上高で50百万円、営業利益で140百万円の減額修正となっている。売上高については電子機器・ソフトウェア開発販売事業が新たに追加されたため、実質は6億円弱の未達となっている。主に一般消費者向け自動車用品とTPMS事業の計画未達が要因となっている。一方、営業利益については、販売構成比の変化に加えて将来の成長に向けて人件費や研究費、情報システム投資などを積み増していることが減額要因となっている。ただ、2017年3月期対比では売上高で15.2%増、営業利益で6.5%増と増収増益となる見通し。
b)ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の業績は当初計画に対して、売上高で250百万円増額、営業利益で30百万円の減額となる見通し。売上高については半導体やHDD向け等のハイテク分野向けの販売が当初計画を上回ることが増額要因となる。一方、営業利益については生産能力の増強投資を2020年3月期も継続して行うため減価償却費が増加するほか、人件費や新規用途開拓のための研究開発費等が増加し、減額要因となっている。
c)サービス・不動産関連事業
サービス・不動産関連事業の業績は当初計画に対して、売上高で200百万円、営業利益で30百万円の減額となる見通し。売上高については生活用品企画販売事業の計画未達が主因となっている。生協以外の販路開拓としてインターネット通販の拡大に取り組んでいるが、当初の想定を下回って推移している。また、営業利益については売上の減額に加えて賃貸物件の修繕費用等が増加することも未達要因となっている。
(3)中期見通し
現中期経営計画に取り組んできた新市場の開拓や新規事業の創出活動については、一部想定を下回っているもののその成果については徐々に見え始めている。ファインケミカル事業では、市場環境の変化に対応した新商品の拡販が進んでいるほか、高付加価値領域である業務用製品もラインナップを拡充しながら着実に成長している。海外市場においては、欧州や南米、インドなどの市場開拓により売上規模のさらなる拡大が期待される。また、TPMSについても国内乗用車向けでの普及が進めば潜在需要が大きいだけに、早晩、利益貢献してくる見通しだ。
ポーラスマテリアル事業では、最先端半導体の洗浄用途として超精密洗浄製品の開発や新規用途である医療分野での事業拡大が期待される。特に医療分野では、製品部材の供給だけにとどまらず将来的には自社で最終製品の開発・製造を行っていくことを視野に入れており、今後の展開が注目される。生活資材向けでは超吸水素材の特徴を生かした自動車用、家庭用製品の開発だけでなく、その他用途向けでの開拓も進めていく方針だ。
こうした新市場の開拓、新規事業の創出を続けていくことで、同社の業績は2021年3月期以降着実な成長が期待できるものと弊社では予想している。なお、M&Aについてはシナジーが期待できる案件であれば、引き続き前向きに検討を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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