21日の米国市場でNYダウは63ドル高と4日続伸した。翌日公開される7月31日-8月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の内容を見極めたいとの思惑などから緩やかな上昇となったが、企業決算が好感されたほか、原油相場や長期金利の上昇で石油株、金融株などが買われた。本日の日経平均も米株高を好感して50円高からスタートしたが、寄り付き直後には米政権運営の先行き不透明感や前日に続く通信株安でマイナスに転じる場面が見られた。しかし、その後は円相場が再び下落に転じるとともに日経平均も強含み、前引けにかけて一時22328.15円(108.42円高)まで上昇した。
個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、東海カーボ<5301>
などが堅調。自社株買い実施を発表したマネックスG<8698>は4%近い上昇。スズキ<7269>
は一部証券会社の目標株価引き上げが買い材料視された。米半導体株高を受けて東エレク<
8035>やSUMCO<3436>も買われた。また、日農薬<4997>はADEKA<4401>による株式公開買付け(TOB)価格にさや寄せする形で買い気配となっている。一方、前日の後場に大きく売られたKDDI<9433>やNTT<9432>は続落。ファーストリテ<9983>もさえない。
一部報道が嫌気されたスルガ銀<8358>はストップ安水準まで売られている。セクターでは、鉄鋼、輸送用機器、ガラス・土石製品などが上昇率上位。半面、パルプ・紙、空運業、情報・通信業など5業種が下落した。
日経平均は朝方の売りをこなして切り返し、3ケタの上昇で前場を折り返した。米中の通商交渉に楽観的な見方が広がったようで、日経平均寄与度の大きい値がさの半導体関連株の一角が上昇し、トヨタ自などその他の輸出株にも買い戻しが広がっている。実際に本日から始まる見込みの米中の次官級による協議を前に、通商問題への警戒感が広がっていたセクターを中心に買い戻しの動きが続く可能性がある。
但し、この米中協議やFOMC議事録の公表、さらに23日から始まる米経済シンポジウム
(ジャクソンホール会議)といった重要イベントを控え、これらの内容を見極めたいとのムードは依然強い。新規の買いが入りにくい状況で、日経平均も25日、75日、200日移動平均線が集中する22400円水準手前で一進一退の展開が続きそうだ。動向が注目される中国・上海総合指数は前日のような強い動きを見せておらず、こちらも買い手掛かりとはなりにくい。新興市場に目を向けるとアンジェス<4563>やリボミック<4591>といったバイオ株の一角などが値を飛ばしているが、資金の逃げ足の速さには注意したい。
(小林大純)
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