【QAあり】HEROZ、大幅増収・増益 既存事業の成長やティファナ・ドットコムの貢献を踏まえ25年も売上・利益共に2桁成長を見込む
目次
林隆弘氏(以下、林):HEROZ株式会社代表取締役CEOの林です。これより2024年4月期通期決算についてご説明します。
本日の目次はスライドをご覧ください。
決算ハイライト
まずは、今期決算のハイライトをご説明します。2024年4月期の売上高は前期比62.4パーセント増の48億4,100万円、EBITDAは前期比47.8パーセント増の9億100万円、営業利益は前期比75パーセント増の4億5,100万円で着地しました。
これは、前期中にM&Aしたバリオセキュア社、ストラテジット社の業績が通期に貢献したことに加え、HEROZ単体のBtoB事業、BtoC事業がそれぞれ成長を実現したことや、11月にグループ会社化したエーアイスクエア社のコンタクトセンター向けプロダクト事業が貢献したことによる成果です。
当期に、当社グループは「HEROZ ASK」「JOINT」の2つのSaaSプロダクトの正式版を5月にリリースしました。
また、先述したエーアイスクエア社の他に、3月にはDXソリューション「AIさくらさん」を提供するティファナ・ドットコム社を完全子会社化し、当社グループは全体で5社の体制となりました。
エーアイスクエア社のコールセンター向けAIプロダクト「Quick」シリーズ、および「AIさくらさん」シリーズがグループのAI SaaS型プロダクトとして加わり、グループ全体でのプロダクト間のシナジーを加速させていきます。
なお、エーアイスクエア社は2024年4月期には5ヶ月分業績貢献し、ティファナ・ドットコム社の業績貢献は2025年4月期からとなります。
当社の新たなグループ戦略についてご説明します。当社は「HEROZ2.0」としてAI SaaS戦略を掲げ、従来のメイン事業であったAIの個別開発から汎用的なSaaSツールの提供を掲げてプロダクトの開発を行ってきました。
一方で、昨今の生成AIの発展に伴い、AIは業務補助のツール的な役割から、従来は人が担ってきた業務を代替することが可能なレベルまで成長しています。
このような技術革新のスピード感に対応すべく、当社はAI SaaSに関する取り組みを進化させ、単なるAIやITツールの提供だけではなく、生成AIを活用して、従来人が担っていた業務領域に対して業務、Workそのものを提供していく抜本的な業務変化を起こしていきます。当社はこれを「Sell Work, not AI」として、新たなグループ戦略に掲げていきます。
当社が重視する重要な業績指標
当社が重視している業績指標です。売上高、営業利益の他に、事業収益性に関する業績指標としてEBITDAを掲げています。
EBITDAは、営業利益に各種の非資金費用を加算して算出しています。非資金費用として、減価償却費、株式報酬費用、のれん償却費、敷金償却、棚卸資産評価損を含めています。監査法人と協議の上、ティファナ・ドットコム社ののれん計上額は合計で6億2,700万円、償却期間は15年となりました。
また、AI SaaSに関する業績指標としては、ARR、リカーリング売上比率、SaaSの解約率を重要指標として掲げています。これらの指標は、いずれもSaaS型事業を推進する上では重要指標となります。
今後、当社はAI SaaS事業を積極的に伸ばしていくことで、高い収益性を確保しつつ、事業成長を加速していきたいと考えています。
HEROZのあゆみ
当社の事業概要をご説明します。当社は「驚きを心に」をコンセプトに、世界を驚かすサービスを創出することを目指して創業しました。創業後、「将棋ウォーズ」のリリースに始まり、さまざまなAIサービス、ソリューションを提供し、シナジー創出を目指したM&Aも進めて事業拡大を続けてきました。
今後もテクノロジーの力を最大限に活用し、「一人でも多くのヒーローの誕生」につなげるとともに、世界が驚くようなサービス創出、AI革命を進めていきたいと考えています。
グループ体制
当社は、2024年4月末時点でバリオセキュア社、ストラテジット社、エーアイスクエア社、ティファナ・ドットコム社をグループ会社化しており、技術、営業、マネジメント等の各種方面での連携、コミュニケーションを通じて、グループシナジーの創出・増大に努めています。グループ全体の売上規模は、2025年4月期の予想ベースで約60億円です。
今後も当社とのシナジーが見込める新規のM&Aとともに、各社のオーガニックでの成長、グループシナジー拡大を目指していきます。
グループの事業構造(事業セグメント)
当社グループの事業セグメントは、AI/DX事業、AI Security事業の2つです。2024年4月期にグループ会社化したエーアイスクエア社、ティファナ・ドットコム社は、いずれもAI/DX事業に分類しています。
いずれのセグメントも、リカーリング売上、ARR、拡大を主要なKPIとしており、今後もストック型ビジネスの成長を目指していきます。
HEROZ グループの事業全体像
当社グループは、BtoC領域で将棋人口最大化を推進する「将棋ウォーズ」を提供しており、BtoB領域では企業のAIトランスフォーメーションを推進する各種サービス、プロダクトを推進しています。
2024年5月には、新たに「HEROZ ASK」や「JOINT」等の新規プロダクトを正式リリースしており、既存サービスも含めてこれらのSaaSをフルに活用し、AIの社会実装、AIトランスフォーメーションを進めていきます。
私たちの志
当社の事業戦略のアップデートをご説明します。私たちの志は「AI革命を起こし、未来を創っていく」ことです。
HEROZが考える生成AI時代の「AI革命」
当社はAI革命を掲げていますが、生成AIの進化を踏まえ、当社が考えるAI革命について補足説明をします。まずは生成AIの著しい進化です。生成AIを活用することで、従来は人が行っていた業務そのものを提供できる世界が実現できるようになってきています。
一方で、日本は少子高齢化による労働力人口の減少という課題に直面しています。労働力人口の減少を生成AIで代替していくような社会変革が、本格的に必要になってきていると認識しています。
当社はこれをAIトランスフォーメーションと定義して、人とAIが共に新しい価値を創り出していき、人とAIの協創を実現していきたいと考えています。
将棋界で起こしたHEROZのAI革命
具体的なAI革命の例として、将棋界で起こしたAI革命についてご説明します。以前の将棋界においては、AIは人と戦う競争相手であり、特にプロの棋士にとってAIは絶対に負けられない相手でした。
技術の発展に伴い、当社メンバーが開発したAIが2013年に初めてプロの棋士に、2017年には当時の名人に勝利するという事件が起きると、一時は「将棋は終わった」という悲観論も拡大しました。
しかし、AIによる新たな定跡の発見や指し手の可能性が注目される中で、現在では多くの棋士がAIで将棋を学んでいます。アマチュアの方もAIを活用することにより、勉強、観戦を含めてさまざまなアプローチを通じて、将棋をより楽しめるようになりました。
AIは、競い合う相手でも将棋の魅力を奪う存在でもなく、将棋の楽しみ方を広げてくれる存在であるとともに、将棋界を切り開いていく存在へと変化していきました。
このようにAIが将棋界に浸透し、人とAIがさまざまなアプローチを通じて「協創」できるようになったことを、当社はAI革命であると捉えています。将棋に限らず、さまざまな産業領域にて社会全体でのAI革命の実現を目指していきます。
HEROZグループ戦略方針(HEROZ3.0):Sell Work, not AI
当社のグループ戦略方針「HEROZ 3.0」についてご説明します。当社は「HEROZ 2.0」を掲げ、従来は個別の顧客の課題解決に取り組んできた事業について、当社のデータ利活用や、AIを活用したより汎用性の高いSaaS型事業をドリブンする経営を目指してきました。
主要なKPIであるリカーリング売上や、その品質については大幅に改善し、一定の成果を実現できたと考えています。
当社は昨今の生成AIに関わる市場の変化のスピードに対応すべく、新たに「HEROZ 3.0」を掲げ、さらなる成長を目指していきます。
AIを業務のツールとして広く提供する従来の活用方法からさらに踏み込み、人が行っている業務を完全に肩代わりするような、生成AIによって自動化されたWorkの提供を進めていく「Sell Work, not AI」をグループ戦略として新たに掲げました。
AIが人の仕事を奪うのではなく、Workという価値提供を通じて、人がより本質的な業務(意思決定等)に集中できるようにし、人とAIが当たり前のように協創できる社会の実現を目指します。
Sell Work, not AIを通じて実現していく戦略(AI BPaaS)
「Sell Work, not AI」を通じて実現していく戦略をご説明します。日本において、BPO業界は人を中心として業務を推進していますが、賃金の硬直化、高い離職率などから、常に人材不足に直面しています。
当社は生成AIを活用して、従来人が担ってきたWorkそのものを提供していくことで、働く社員の満足度向上を図り、顧客に対する提供価値を向上し、高い利益率を獲得していきます。
具体的には、まずはコンタクトセンター領域、特にコールセンター領域において、従来のITツールの提供にとどまらず、コールセンター業務そのものを提供していくことを目指しています。また、その先ではBPO市場そのものをターゲットにしていく予定です。
現状は、連結子会社のバリオセキュア社が提供するマネージドセキュリティ領域や採用代行支援領域について、具体的なWorkの提供を視野に事業開発を進めています。
HEROZ ASKの正式リリース
当社が2024年にローンチしたSaaSプロダクトについてご紹介します。「HEROZ ASK」は、生成AIを活用したエンタープライズ向けAIアシスタントです。ベータ版の提供を経て、2024年5月に正式版をリリースしました。
国内で多数の大手顧客からフィードバックを受け、機能の拡充が進んでいます。企業独自の業務資料の参照や、日本企業の組織体系に合わせた情報管理などが可能な、ビジネスの現場で活用できるLLMプロダクトです。
今後、HEROZの「Sell Work, not AI」の基盤となるLLMプロダクトとして、Workの完全な自動化やグループ会社の提供するSaaSとの連携など、さらなる価値の提供を目指していきます。
ティファナ・ドットコム 「AIさくらさん」によるAIの社会実装
2024年3月には、「AIさくらさん」シリーズを提供するティファナ・ドットコム社を連結子会社化しました。「AIさくらさん」はさまざまなシリーズを展開しており、主要なものとしては、デジタルサイネージによるアバター接客、社内問い合わせ、落とし物管理、電話対応などを提供しています。
導入実績としては、渋谷駅や品川駅をはじめとしたJRの駅や、商業施設、官公庁に幅広く活用いただいています。累計設置台数は6月末に350台となる見込みで、順調に実績を積み重ねています。「AIさくらさん」シリーズを通じて、当社が掲げるWorkの提供を加速していきます。
「BOXIL SaaS AWARD Summer 2024」チャットボット部門でNo.1に選出
6月4日には、スマートキャンプ社が主催する「BOXIL SaaS AWARD Summer 2024」のチャットボット部門で、「Good Service」「サービスの安定性No.1」「機能満足度No.1」「使いやすさNo.1」に選出されました。引き続き、サービス価値の向上を通じて、良質な顧客体験を提供していきます。
ストラテジットJOINT iPaaS for SaaSを提供開始
ストラテジット社が提供するSaaSプロダクト「JOINT」についてご説明します。「JOINT」は、SaaS間をつなぐ連携開発や管理・運用までを効率的に、かつ簡単に対応できるプラットフォームとして、2024年5月に正式版をリリースしました。
SaaSベンダーの開発リソース不足の原因となるSaaSの連携アプリの開発や管理、販売ストアの構築等を効率的に行うことができる機能が備わっており、リリースの段階で多くのSaaSベンダー顧客を獲得しています。
今後、「JOINT」はストラテジット社のメイン事業として、さらなるサービスの拡充、売上のスケールを図っていきます。
サービス紹介動画
「HEROZ ASK」および「JOINT」の紹介動画を作成しましたのでご覧ください。
2024年4月期通期連結業績サマリー
林:ここからは、当社グループが提供する「AIさくらさん」によりご説明します。
AIさくら:AIさくらです。ここからは私からご説明します。
まず、2024年4月期通期の業績概要をあらためてお伝えします。売上高は前期比62.4パーセント増の48億4,100万円、営業利益は前期比75パーセント増の4億5,100万円、収益性の指標となるEBITDAは前期比47.8パーセント増の9億100万円と、いずれも大きく成長することができました。
当社がSaaS型ビジネスモデルへの変革を目指す中で重視しているKPIについて、ARRは前期比18.7パーセント増の33億5,700万円、リカーリング売上比率は全体の売上が大きく成長した中で前期比5.7パーセントポイントの上昇と、いずれも前期比で堅調に成長することができました。
また、当期時点でHEROZグループのリカーリング売上の50パーセント以上を占めるマネージドセキュリティサービスの解約率は0.8パーセントと、引き続き低い解約率を維持しています。
2024年4月期 通期累計連結業績
2024年4月期の経営成績の詳細についてご説明します。グループ全体の売上高、EBITDA、営業利益、経常利益に関しては、M&Aによる効果に加え、HEROZのBtoB事業、BtoC事業が前期比で成長を実現したことにより、大幅な増収増益で着地しました。
一方で、親会社株主に帰属する当期純利益については、グループ会社に係るのれんの追加償却、減損損失計上や、下期に実施した2社のM&Aにかかる費用が影響しました。前期比で赤字幅が拡大し、11億3,400万円の最終赤字での着地となっています。
なお、バリオセキュア社の株式の評価損による特別損失については、バリオセキュア社の株価が下落したことを受けての一過性のものであり、バリオセキュア社ののれん自体を減損するものではありません。
また、ストラテジット社に関しては、今年5月にSaaSベンダー向けのプロダクト「JOINT」を正式ローンチしました。今後はリカーリング型の収益モデルを確立し、今期中の黒字転換および継続的な売上成長を見込んでいます。
主要な業績KPIの推移(四半期別)
四半期別の売上高とEBITDAの推移です。2024年4月期は、下期にグループ会社化したエーアイスクエア社の業績の取込みが、決算期変更の関係で、第3四半期は3ヶ月分、第4四半期は2ヶ月分となった影響や、会計基準の変更等による影響で、第4四半期は前四半期比でやや減収での着地となりました。
また、SaaSプロダクトの立ち上げにあたり、人材への投資やマーケティング活動等の投資を積極的に行った結果、第4四半期のEBITDAは前四半期比で減少しての着地となりました。
2025年4月期は、新たに連結となるティファナ・ドットコム社を含むグループ企業全体の業績が通期で貢献するほか、既存の事業はそれぞれ成長していること、および「HEROZ ASK」「JOINT」の2プロダクトの正式版リリースを加味し、通期を通しての増収を見込んでいます。
グループ全体のARRは約33.5億円と、継続した成長を実現
グループ全体のARRは、第3四半期にエーアイスクエア社のコンタクトセンター向けプロダクトの収益が加わったほか、第4四半期はHEROZ BtoB事業での継続フィーの増加、バリオセキュア社のマネージドセキュリティサービスの集積増加の影響で、下期に大幅に成長しました。
「HEROZ ASK」および「JOINT」の正式版の顧客は、初動としては順調に獲得できていることに加え、引き合いは大幅に増加していることから、今後の継続的なARRの増加を見込んでいます。
リカーリング売上は継続的に増加傾向
全体の売上に占めるリカーリング売上の比率も、安定的に3分の2以上を占めるようになってきました。引き続き、事業構造の変革を進めていきます。
2023年4月期の下期より、バリオセキュア社のグループ化に伴ってリカーリング売上比率は大幅に増加していますが、直近ではHEROZの従来事業の成長や、エーアイスクエア社のグループ化に伴い、リカーリング売上比率はさらに上昇傾向にあります。
リカーリング売上:プロダクトのローンチとM&A効果に伴い今後増加見込み
リカーリング売上の内訳です。当社グループのリカーリング売上の大半を占めるバリオセキュア社のマネージドセキュリティサービスは、継続的に顧客数が増加し、引き続き1パーセント未満の低い解約率を維持しています。
また、従来型のファイアウォール型セキュリティサービスの他に、ゼロトラストに対応したマネージドセキュリティサービスの展開も開始しており、今後も継続的な増収を見込んでいます。
さらに、「将棋ウォーズ」のサブスクリプション型収益や、エーアイスクエア社のプロダクトによる売上は、引き続き堅調に成長しています。
今後は「HEROZ ASK」および「JOINT」の売上がリカーリング売上に加わることで、ストック型ビジネスとしての成長を目指していきます。
販管費内訳推移(連結)
グループの販管費の内訳の推移です。当社グループは、オーガニックの成長や新規事業、プロダクトの立ち上げに向けて、営業人員やマーケティングに関連した投資を行っています。一方で、管理部門は増員を行わず、販管費はコストコントロールを行っています。
今期は、第3四半期にエーアイスクエア社の連結がありましたので、エーアイスクエア社を加えた販管費は増加していますが、これはM&Aによるものであり、オーガニックではコスト管理を徹底しています。
今後も適切なコストコントロールに努めつつ、人材採用、広告宣伝、マーケティング活動などの事業拡大に向けた投資は、スピード感を持って積極的に行っていきたいと考えています。
売上原価内訳推移(連結)
売上原価の内訳です。オーガニック成長の実現に向けて、当社はビジネス職やエンジニア職の採用を強化しており、それに伴って製造原価における人件費等の労務費が増加しています。
一方で、業務委託費についてはコストコントロールを行っており、当期は継続的に外注費を減少させることができました。
また、バリオセキュア社において一部棚卸資産の評価損を計上していますが、これは一過性の費用であり、今後は在庫を抱えない事業モデルへの転換を進めていきます。
セグメント別業績:2024年4月期 累計
当社のセグメントは、従来のHEROZの事業にストラテジット社、エーアイスクエア社、ティファナ・ドットコム社を加えたAI/DX事業と、バリオセキュア社が展開するAI Security事業の2つとなります。
今期のAI/DX事業については、売上高は22億1,200万円となり、前期比31.4パーセントの成長を実現しました。事業の成長はM&Aの影響だけでなく、HEROZ単体の成長率も11.1パーセントとなっています。EBITDAマージンは37.4パーセントと、非常に高い収益性となりました。
AI Security事業においては、売上高は2億6,400万円、EBITDAは10億8,900万円、EBITDAマージンは41.3パーセントと、非常に高い収益性となっています。
なお、バリオセキュア社およびストラテジット社の業績への貢献については、2023年4月期が下半期のみの業績の取込みであったのに対し、2024年4月期は通期での取込みとなっています。
AI/DX事業セグメント
AI/DX事業セグメントは、HEROZによる「将棋ウォーズ」を中心としたBtoCビジネス、顧客のAI開発を担うBtoBビジネス、およびストラテジット社が展開するSaaS導入やSaaS連携開発事業、エーアイスクエア社によるコンタクトセンター領域のサービスが含まれています。
2025年4月期からは、ティファナ・ドットコム社による「AIさくらさん」の提供等のDX事業が組み込まれます。
当社が提供する「将棋ウォーズ」を中心としたBtoC事業は、藤井聡太竜王・名人の8冠獲得等の影響もあり、ユーザー数は引き続き順調に増加しています。
AIソリューションを提供するBtoB事業においても、LLM関連案件の増加や当社の営業体制の強化が売上に反映され始め、前期比で大幅増収の着地となりました。
現在、当セグメントのリカーリング売上比率は35.5パーセントですが、「HEROZ ASK」および「JOINT」のリリースに伴い、今期より段階的に上昇していく見込みです。
AI/DXセグメント HEROZ BtoB事業は、前期比で20%弱の売上成長を実現
HEROZのオーガニックの事業の状況についてご説明します。HEROZ BtoB事業は、顧客の個別の課題解決を行うAIソリューションの提供を中心に展開しています。
2024年4月期は、営業体制の大幅な刷新・強化に加え、「ChatGPT」等の生成AIの登場によるAIへの注目度の増加を追い風に、前期比で20パーセントほどの成長を実現することができました。
特に、HEROZ BtoB事業は「人月×稼働率」が主な事業モデルとなりますが、今期は稼働率の上昇とエンジニア職・ビジネス職の従業員数の増加を両立させることで、部門の拡大と利益率の上昇の両軸での成長を実現しました。
また、営業活動の強化により、引き合い数や案件数も大幅に増加しています。当社の生成AIプロダクト「HEROZ ASK」関連のものを除いた案件数も、前期比で32パーセント増加しました。
当部門では、引き続き営業活動の強化による案件数の増加と、部門規模拡大と高い水準の稼働率維持による売上高の増加および利益率の向上を追求していきます。今期以降、「HEROZ ASK」にかかる収益についても継続的に積み上げていきます。
AI/DXセグメント BtoC事業は、棋神ラーニングの好調や各種イベントに伴い売上増加
AI/DXセグメントにおけるBtoC事業においては、今期も前期を超える成長を実現しました。藤井八冠の誕生に伴う将棋への注目度の向上を背景に、ゲーム内外でのイベントを効果的に実施し、「将棋ウォーズ」の累計対局数は9億局を突破することができました。
また、2023年秋にリリースした初段を目指す将棋ラーニングツール「棋神ラーニング」も、当社の想定を上回る有料会員数を獲得し、維持しています。引き続き、各種施策を通じて将棋人口の最大化に貢献していきたいと考えています。
AI Security事業セグメント
AI Security事業では、バリオセキュア社によるセキュリティ事業を展開しており、同社のサービスにHEROZのAIを活用することで、コスト削減や事業のさらなるスケールを目指しています。
マネージドセキュリティサービスは安定的な顧客基盤を有しており、リカーリング売上比率は87.4パーセントと、非常に高い比率を確保しています。
現状のグループ内のシナジーとしては、営業、マーケティング面での支援のほか、セキュリティオペレーションセンターで当社のAIを活用した運用の効率化を開始し、コストの削減を実現しています。
AI Securityセグメント マネージドセキュリティサービスは、低い解約率で順調にエンドユーザー数を増加
AI Security事業におけるマネージドセキュリティサービスの解約率は、第4四半期は0.81パーセントと引き続き低い水準で推移しています。また、同サービスのユーザー数も順調に増加し、収益基盤の安定に貢献しています。
さらに、ゼロトラストセキュリティに対応した新規サービスであるマルウェアの検知・対策サービスや、ランサムウェア対策型バックアップサービスも順調に成長しています。
貸借対照表(2024年4月末)
貸借対照表についてご説明します。現金及び預金は27億3,800万円と、引き続き高い水準を有しています。先日発表した、エーアイスクエア社およびティファナ・ドットコム社のM&Aに限らず、引き続き事業戦略の実現に向けた積極的な投資を行っていきます。
また、無形固定資産において、のれん残高が19億円ほどあります。下期には、エーアイスクエア社およびティファナ・ドットコム社の連結がありました。第3四半期にバリオセキュア社ののれんの一部の一括償却を行い、第4四半期にストラテジット社ののれんの減損損失を計上した結果、のれん残高は前期比で3億5,000万円ほど減少しています。
今後は、各社の償却年数に応じて均等に償却を行っていきます。
2025年4月期 通期業績予想
2025年4月期の業績予想についてご説明します。売上高は、各事業の成長や新たにM&Aを行ったティファナ・ドットコム社の業績貢献を踏まえ、前期比23.9パーセントの成長となる60億円を見込んでいます。
なお、本年5月に「HEROZ ASK」および「JOINT」の2つのプロダクトをリリースしており、リカーリング売上が継続的に増加していくことを予想しています。
営業利益は、前期比10.8パーセント増の5億円を見込んでいます。こちらは、新規プロダクト関連の投資に大幅にコストを投下することを踏まえた数字となります。詳細は、次のスライドでご説明します。
経常利益は前期比22パーセント増の4億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は黒字での着地となる3,000万円を予想しています。
通期業績予想:実力値ベース(SaaS関連プロダクトへの投資額を控除した場合)
2025年4月期は、引き続き「HEROZ ASK」と「JOINT」へのプロダクト投資を強化する予定です。各プロダクトの開発・運用体制拡張およびマーケティング費用として、合計2億2,000万円程度を投資していく見込みです。
この投資金額を除いた既存事業での営業利益は約7億2,000万円と、前期比60パーセント程度の成長を見込んでいます。
SaaSプロダクトのローンチにあたっては初期コストが先行しますが、積み上げ型の収益モデルとなるため、今後リカーリング売上を積み上げていき、中長期的な利益率の大幅な向上を見込んでいます。
静銀信用保証で、HEROZの住宅ローン不正検知AIシステムの運用が開始
2024年4月期の各事業における取り組みについてご紹介します。まず、HEROZ BtoB事業の事例として、静銀信用保証との住宅ローン不正検知AIシステムに関する取り組みについてです。
HEROZとしずおかフィナンシャルグループのグループ会社である静銀信用保証は、住宅ローン審査業務に活用する不正検知AIシステムの実務適用に向けた取り組みを進め、2024年4月より運用を開始しました。
従来の住宅ローンの審査業務では、業務の効率化や精度の向上に加え、慎重で緻密かつ多量の審査により審査担当者にかかる負担を軽減することが、喫緊の課題とされています。
今回、運用を始めた不正検知AIシステムは、住宅購入目的でない可能性のあるローンの申し込みを即時に検知し、不正利用を防止するものです。これにより、審査精度の向上が図られるとともに、審査担当者にかかる業務負担の軽減にもつながります。
本不正検知AIシステムは、過去の審査データを学習したAIモデルが、住宅購入目的でない住宅ローンの不正利用に該当する可能性をスコアで可視化します。審査担当者がこのスコアを参照することで、審査業務を効率化させつつ、不正利用の見落としを防ぎ、精度を向上させることができます。
今回、技術検証を経て、実務適用する上で十分な検証結果が得られたため、正式導入に至りました。今後も当社は、産業における課題解決にAIによるアプローチを追求することで、産業の加速的発展に寄与していきます。
PJCS 2024にも、「Pokémon Battle Scope」を導入
6月1日から2日に開催された「ポケモンバトルチャンピオンシップ2024」のライブ配信画面に、2月に開催された「ポケモン竜王戦2024」で初導入された「Pokémon Battle Scope」が採用された件についてご紹介します。
「Pokémon Battle Scope」は、2月25日に開催された「ポケモン竜王戦2024」のゲーム部門に初導入された、ポケモンバトルに特化したバトル分析AIです。
AIを搭載した日本将棋連盟公認の将棋ゲームアプリ「将棋ウォーズ」やゲーム解析AIの開発を通じて培った技術の強みを活かし、どのような方でもポケモンバトルの視聴を楽しめる演出強化を図ることを目的に、ポケモン社と共同で開発しました。
「Pokémon Battle Scope」は、ポケモンバトルの視聴者の「ポケモンバトルへの知識が少なく、優勢・劣勢がわかりづらい」「配信の途中から観戦を始めると、状況がわからず楽しみづらい」といった声を踏まえ、これらの課題を解決するために、めまぐるしく変化するポケモンバトルの戦況から勝ち筋の高い次の一手を予想表示し、ポケモンバトルの知識の有無や深さに関係なく、対戦視聴を楽しむことができる仕様を構築しています。
将棋の世界でも導入されている評価値をAIで解析し提供していくことで、誰でも観戦が楽しめる機能を提供しています。
「棋神アナリティクス」が、名人戦より将棋ライブ配信の局面評価値に導入
HEROZ BtoC事業の新たな取り組みとして、毎日新聞社主催の将棋名人戦の配信における、当社の将棋AI解析システム「棋神アナリティクス」の活用についてご紹介します。
当社は、毎日新聞社が運営する「YouTube」サブチャンネル「将棋・囲碁Ch 毎日新聞」で、4月10日より行われた将棋の第82期名人戦七番勝負の対局中継から「棋神アナリティクス」の提供を開始しました。局面の評価値に世界最強の将棋AI解析を使い、「観る将」を含む将棋ファンが楽しめるライブ配信を実施しています。
HEROZの「棋神アナリティクス」は、手軽に最新の将棋AI研究ができるよう、2022年5月に提供を開始しました。
「棋神アナリティクス」は、第32回、第33回世界コンピューター将棋選手権で連覇したディープラーニング系将棋AI「dlshogi with HEROZ」と、第3回、第4回世界将棋AI電竜戦で連覇したやねうら王系将棋AI「水匠」での同時解析がスマートフォンを含むブラウザで手軽に利用できる、ライトな将棋ファンからプロフェッショナルまでを対象にした将棋AI解析システムです。
今後「棋神アナリティクス」が搭載された「将棋・囲碁ch 毎日新聞」では、視聴するユーザーの利便性が向上するようにカスタマイズされた解析結果が表示されます。毎日新聞社が主催する名人戦、王将戦、A級順位戦は棋界最高峰のタイトル戦です。プロ向けのAIを搭載することで、「観る将」も楽しめるライブ配信を展開していきます。
脆弱診断サービスの提供開始
4月に発表されたバリオセキュア社の通期決算説明資料より、AIセキュリティサービスのトピックスをお伝えします。
まず、脆弱性診断サービスの提供開始についてです。脆弱性診断サービスの提供開始により、バリオセキュア社はワンストップでの企業向けセキュリティ支援サービスを強化していきます。
AI SoCプロジェクト
バリオセキュア社のセキュリティオペレーションセンターに、HEROZのAI技術を活用する「AI SoC」プロジェクトについてです。
従来、経験を積んだオペレータが行っていたテクニカルサポート窓口業務を、AIにより自動化していきます。これらの取り組みにより、コスト削減と品質向上の達成を図っていきます。
マーケティング施策の強化
バリオセキュア社のマーケティング体制の大幅な強化についてです。ソリューションサイトを公開し、マーケティング施策を強化することで、直販による需要拡大を目指しています。
今後の顧客への提供価値
これまでの当業界の販売スタイルは、顧客が各種機能を組み合わせてセキュリティを担保する仕組みでしたが、当社のメインの顧客層においては、機能選択を適切に行うことは難易度が高い状況でした。
今後は当社が顧客に最適なセキュリティパッケージを提供し、従来の機能売りではなく、安心を提供していく事業価値への転換を図っていきます。
Vario Ultimate Zeroのサービス提供を開始
中堅・中小企業向けのゼロトラストセキュリティサービス「Vario Ultimate Zero」についてご説明します。
「Vario Ultimate Zero」は、中堅・中小企業のニーズに合わせた必要十分なゼロトラストセキュリティサービスとして開発しました。最低限の構成で、顧客のゼロトラストセキュリティを実現していきます。
よくいただくご質問について
最後に、IR活動を通じてよくいただくご質問をご紹介し、回答します。直近でいただいたご質問のうち多かったのは、2025年4月期の利益面に関するご質問です。
当社は引き続き投資フェーズにあると考えており、2025年4月期は人的投資を強化するほか、プロダクトのリリースに伴う投資を積極的に実施していきます。
当社グループは、2024年2月に「HEROZ ASK」および「JOINT」の2プロダクトの有償β版をリリースし、エンタープライズ企業からのフィードバックを受け、本年5月に正式版をリリースしました。
2025年4月期は、これらのプロダクトの運用やカスタマーサクセス、機能の拡充に係る人材を積極的に採用していきます。また、プロダクトの正式版リリースに伴い、マーケティングに係る人材の採用や広告宣伝に係る費用の発生を見込んでいます。
SaaS型のプロダクトの立ち上げにあたっては、コストの投下が先行する一方で、積み上げ型の収益モデルとなることから、売上高は着実に増加していく一方で、投資が先行していきます。
そのため、プロダクト事業の利益面に関しても当面は赤字となりますが、継続的な安定した売上を積み上げることで、損益分岐点を超えて利益化していきます。
グループの規模感および売上高は引き続き大幅な成長を見込む一方で、グループの今期の利益方針としては、引き続き投資フェーズであると考えています。ご理解いただけますと幸いです。
以上で、2024年4月期通期決算説明会を終了します。ご清聴いただき誠にありがとうございました。
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