―チラシやフリマ、副業情報の需要拡大、20年ぶり円安水準でインフレ懸念高まる―
長きにわたるデフレ局面が続いた日本経済に転機が訪れようとしている。ウクライナ危機を契機とする原油などエネルギーや穀物市況の高騰で、ガソリン代や電気料金、食料品価格の値上げが相次いでいる。更に、そこに20年ぶりとなる円安がのしかかる。消費者物価指数(CPI)も今後は一段と上昇基調を強めるのは必至の情勢だ。その一方、賃金は上がらず人々の懐は寂しくなるばかり。そんなインフレの足音が迫るなか、市場では、チラシや家計簿、それに副業情報などに絡む「生活防衛アプリ」関連株に対する関心が高まっている。
●政府は月内には物価上昇への緊急対策
資源エネルギー庁が発表した石油製品の店頭小売価格週次調査によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は1月24日時点で1リットル当たり170円20銭と約13年ぶりに170円を突破。3月14日には175円20銭まで上昇し、その後も高止まりしている。原油高を背景に更なる上昇も懸念される状況だ。また、電気・ガス料金も高騰しており、野菜や果物、冷凍食品から調味料、トイレットペーパーなど日用品の値上げも目立つ。ウクライナ危機によるエネルギー価格高騰に、急激な円安進行が追い打ちをかけており、物価高に賃金上昇は追いつかない状況にある。
これに対して、政府は月内にも物価高への緊急対策を打ち出す方向だ。ガソリンなどの価格を抑えるための石油元売り会社に対する補助金の拡充や、低所得の子育て世帯に対する給付金の支給、地方自治体による生活困窮者への支援を後押しするため「地方創生臨時交付金」の拡充などを盛り込む見通し。ただ、これらの支援は「一時しのぎに過ぎない」との声も少なくない。
●チラシアプリのくふうや凸版に関心集まる
こうした物価高は家計を直撃し、人々の節約志向を一段と高めさせている。そんななか、生活防衛 のために携帯電話アプリで、デジタルチラシを見たりネットクーポンを活用したりする動きが活発化している。国内では日本マクドナルドホールディングス <2702> [東証S]がクーポン配信の活用を早くから始めているが、クーポンをSNSやアプリで発行することで、店頭受取サービスなどで顧客を効率的に店舗内に誘導し事前決済までも可能となる。
また、クーポンやチラシをまとめるアプリも急速に普及している。関連銘柄は、スーパーなどのチラシ・買い物情報を掲載するアプリを手掛けるくふうカンパニー <4376> [東証G]や凸版印刷 <7911> [東証P]、それにマクドナルドやドミノ・ピザのクーポンを配信するGunosy <6047> [東証P]などだ。
くふうが運営する「トクバイ」は国内最大級の利用者数を誇るチラシ・買い物情報サービスだ。同社がトクバイユーザーに対して2月24日~3月3日に実施した調査では、新型コロナ感染拡大前に比べて料理をする人が増加し「チラシのチェック」や「まとめ買い」が増えた人は4割以上となった。食費の節約などのニーズに応えるべく、同社は3月から「トクバイ」を段階的にリニューアルし、クーポン機能を強化した。
凸版は3月31日、生活関連情報をパーソナライズし配信するアプリ「クラシラセル」の販売を自治体向けに開始した。同社は、電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」も運営しており今後、「クラシラセル」と親和性の高い「地域Pay」や「シュフー」などを組み合わせ、自治体サービス関連事業で10億円の売り上げを目指すという。
ニュース配信アプリを主力とするGunosyは、大手外食チェーンやコンビニで使える情報をまとめたクーポンチャンネルを設置している。また、クーポンまとめ機能を独立、発展させたアプリ「オトクル」もリリースしている。
●家計簿アプリの需要増でマネフォに追い風も
物価高騰に向けた防衛策として、節約のために家計簿アプリの需要も高まりそうだ。マネーフォワード <3994> [東証P]は、個人向け家計簿アプリ「マネーフォワードME」を運営している。同アプリは、お金の出入りを可視化することで家計管理を簡単にするサービス。銀行に限らず、証券、クレジットカード、ポイントカード、携帯電話、保険・年金などのサービスとネットを通じて連携し、家計の収支記録を表や図で表示する。2月時点でユーザー数は1280万人を超え、マーケットシェア1位を誇る。うち課金ユーザー数も36万3000人超と順調に拡大している。同アプリは自動データ連携と手入力により家計簿を可視化できることに加え、ユーザーの18兆円の資産データなどを起点に金融関連サービスにシームレスに送客するプラットフォームに進化していることが特徴だ。
更に、家計簿アプリでは、くふう子会社のZaimが運営する「Zaim(ザイム)」や、東海東京フィナンシャル・ホールディングス <8616> [東証P]傘下のマネー・コンパス・ジャパンが提供する「おかねのコンパス」などがある。
●フリマアプリのメルカリなどの躍進に期待
フリーマーケットアプリを展開するメルカリ <4385> [東証G]やGMOペパボ <3633> [東証P]、リユース関連のコメ兵ホールディングス <2780> [東証S]なども注目される。コロナ禍で在宅時間が増えるなか、自宅の不用品やハンドメイド作品の販売といった消費者ニーズを捉え収益は拡大している。今後も生活防衛意識の高まりで、こういった需要は続くとみられる。
メルカリは10~30代の女性をメインターゲットに、手軽さや配送料の安さを追求。ユーザー目線に基づいたスマートフォン決済機能やヤマト運輸と提携し匿名配送を可能にしたサービスなどを導入し人気を博してきた。GMOペパボが手掛けるハンドメイドアプリ「minne(ミンネ)」は、年間流通額150億円前後(21年12月期)と国内首位級。ハンドメイド作品に理解のあるユーザーが多く、販売しやすいことや、125ヵ国に向けた海外販売に対応する幅広さなどを特徴としている。
ブランド品買い取りサービス「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードを子会社化したBEENOS <3328> [東証P]やハンドメイドマーケット「Creema(クリーマ)」を運営するクリーマ <4017> [東証G]なども関連銘柄に挙げられる。
●副業アプリで注目のランサーズ、クラウドWなど
生活防衛関連としては、副業アプリも注目できる。国内最大級のクラウドソーシング「ランサーズ」を運営するランサーズ <4484> [東証G]は、フリーランスがビジネススキルを商品化できる「パッケージ方式」のサブスクリプション版の提供を開始した。また、会員数400万人を擁する仕事探しアプリ「CrowdWorks for Worker」を運営するクラウドワークス <3900> [東証G]は、3月にはスキルの販売ECサービス「PARK」の一般利用登録も開始した。個人のスキル販売を促進するオンラインサロンも設け、コミュニティーとしての成長も目指すとしている。
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