17日の米株式市場ではNYダウが162ドル高と3日続伸。ムニューシン財務長官が通商交渉での中国側の譲歩を引き出すため、現在実施している対中関税の緩和を提案したことが報じられ、中国での売上が大きい企業を中心に買いが広がった。週間の米新規失業保険申請件数の減少や米1月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数の予想上振れもあって、円相場は1ドル=109円台まで下落。本日の日経平均は米株高や円安を好感して70円高からスタートすると、寄り付き後も上げ幅を広げる展開となった。業績下方修正を発表した日本電産<
6594>が売り一巡後に下げ幅を縮めて安心感につながったほか、中国などアジア株の上昇も支援材料となったようだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の8割強となっている。
個別では、任天堂<7974>やJT<2914>が2%超、東エレク<8035>が3%超の上昇となった。JTは加熱式たばこの新製品を発売すると発表している。ネクソン<3659>は商いを伴って急伸。前日に一部証券会社の目標株価引き上げが観測されている。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、武田薬<4502>などがしっかり。また、前日に1000億円規模の金融支援要請などと報じられた千代化建<6366>が東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、前述の日本電産は2%超の下落で前場を折り返した。朝方には8%近く下落する場面もあったが、買い戻しが入ったようだ。その他ではSUMCO<3436>などが軟調で、HOYA<7741>は3%超下落した。村田製<6981>やキーエンス<6861>は小安い。また、群栄化<4229>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、全33業種がプラスとなり、海運業、建設業、水産・農林業、食料品、医薬品が上昇率上位だった。
日経平均は米中摩擦の緩和期待などを背景に大幅反発している。日足チャートでは前日まで上値抵抗となっていた25日移動平均線を上回り、短期筋による先物買いや個人投資家による日経レバETF<1570>買いを誘いやすいところだろう。また、業績下方修正の日本電産が下げ渋りを見せていることで、来週から始まる10-12月期決算発表後のあく抜けにも期待が高まる。前場の日経平均を押し上げた中国・上海総合指数の上昇は足元一服しているものの、後場の日経平均も堅調に推移しそうだ。
短期的に節目の21000円近辺まで戻りを試す場面もありそうだが、来週後半から決算発表が始まることで個別物色の様相が強まるだろう。日本電産に見られるように株価は業績下振れリスクをかなり織り込んだ水準と考えられるが、米中摩擦の影響等が顕在化するなかで業績動向はセクターや個別企業ごとに強弱が分かれそうだ。
(小林大純)
<AK>
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