日本ゼオン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:豊嶋 哲也 以下、ゼオン)は、光学フィルム事業などで培った独自技術によって革新的な視覚効果を持つ新素材を開発しました。
この新素材は、光の反射を利用したさまざまな視覚効果を実現できる広帯域化*1コレステリック液晶*2です。これは、ゼオン独自設計の液晶材料および特殊な塗工プロセスにより、コレステリック*2構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御し、フィルムに成形したものです。ゼオンは、この超精密に構造を制御したフィルムや、これを粉砕しフレーク化して印刷したものに、革新的な視覚効果を持たせることに成功しました。この新素材は、これまでにない新しいデザイン素材としての利用や、独自製造技術により偽造防止目的での活用が期待されます。また、機能的でありながら人々に楽しさも提供できる可能性を秘めています。
なお、この新素材は現時点では研究開発品であり、今後の市場開拓に向け、開発を進めています。
*1 広帯域化: 反射光波長が可視光域以上の広帯域にわたること。
*2 コレステリック液晶: 分子をらせん状に配列した構造。らせんのピッチ長により反射する色を変えることが可能。
ゼオンでは、これまでの事業領域にとどまらず、未知の領域での新規事業開拓も積極的に行っています。独創的な技術や製品の開発を通じて社会課題を解決し、持続可能な世界を実現するため、私たちは常に挑戦を続けています。
【特長的な3つの視覚効果】
1. 表裏反転タイプ: 透明なシートでありながら、表と裏で別の図柄が見えます。
2. 潜像タイプ: スマートフォン画面の光を当てたり、偏光機能を持つビューワーで見たりすることで、図柄が浮かび上がります。
3. 消像タイプ: 肉眼で見える図柄や色が、偏光機能を持つビューワーを通すと見えなくなります。
【材料としての特長】
1. 高い汎用性とデザイン性
フレークの印刷はスクリーン印刷等の印刷技術を用いることができ、曲面にも使用可能です。またデザインに
制限はなく、さまざまな表現が可能です。
2. 豊富なカラーバリエーション
幅広い色を表現することが可能です。コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御するこ
とで、光の反射を利用して長波長の赤から短波長の青紫まで、さらに同色でも淡色から濃色に至る色を表現で
きるほか、すべての可視光を同時に反射させて銀色*3(無着色の金属光沢)を表現することも可能です。
3. 金属を不使用
金属光沢を持つ外観を表現するのに金属を一切使用しないため、金属アレルギーのある方が身に着けるものに
も使用が可能です。
4. 高い模倣難度
ゼオン独自の素材と特殊製法で作られているため、模倣が極めて困難です。
*3 金属成分なしの薄膜単層での銀色発色は世界初。(自社調べ)
【想定用途例】
● 美術作品
● 服飾品
● エンターテインメント用途
【研究の着想】
本技術は、プラチナコガネの生体模倣から着想を得ています。中南米に生息しているプラチナコガネは、金属成分なしで金や白金の色を再現しています。この特徴的な色の秘密は、表面構造が特異的な光学特性構造になっているためです。特殊な構造により、広い波長の光、可視領域ほぼすべての光を反射させることができるため、あたかも金属光沢のような金色や銀色、白金のような鮮やかな色を再現しています。これと同じしくみを人工的に再現したのが、本技術です。ゼオンが長年の研究で生み出した液晶材料、塗工プロセス、光学設計の3つの技術を組み合わせることにより、これまでにない革新的な視覚効果を実現しました。
本新素材の活用についてのお問い合わせは、下記ホームページよりお願いします。
https://www.zeon.co.jp/contact/
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