日経平均は大幅反落、不透明な米国関税方針を嫌気した展開に
29日のダウ平均は117.03ドル高の42215.73ドル、ナスダックは74.93ポイント高の
19175.87で取引を終了した。寄り付き後、ダウ、ナスダックともに上昇。好調な決算を発表したエヌビディアの上昇がけん引し、また米国際貿易裁判所がトランプ関税を「違法で無効」と判断し、差し止めを命じる決定をしたことが支援材料となった。しかし、関税を巡っては政権が控訴審で保留が認められない場合、30日にも連邦最高裁判所に上訴する意向を示唆したと伝わったほか、トランプ大統領が別の関税手段を用いることができるとの見方もあり、先行きへの不透明感が上値を抑えた。なお、ダウは構成銘柄のセールスフォースの大幅安も重しとなった。
東京市場は米国関税方針の不透明感が嫌気されて、売り優勢で取引を開始。日経平均は寄付きから38000円台を割り込み、前日の上げ分がほぼはく落した。為替は1ドル143円80銭台と一段の円高ドル安は回避されたが、値がさ半導体株の下げが目立ったことから、前場の日経平均は終始37000円台での推移となった。
日経平均採用銘柄では、ディスコ<6146>、ルネサスエレクトロニクス<6723>、アドバンテスト<6857>、東京エレクトロン<8035>、スクリーンHD<7735>など半導体株の下げが目立った。また、日野自動車<7205>、マツダ<7261>、日産自<7201>など自動車株も不透明な米国関税政策が嫌気されて下落。このほか、ソフトバンクグループ<9984>、HOYA<7741>、コニカミノルタ<4902>、キーエンス<6861>、ソニーグループ<6758>などが売られた。
一方、国内証券会社によるポジティブなレポートが材料視されて東海カーボン<5301>が買われたほか、大塚HD<4578>、エーザイ<4523>、協和キリン<4151>、武田薬<4502>など医薬品株の上げが目立った。また、中国への水産物輸出再開の動きが伝わったことからニチレイ<2871>、ニッスイ<1332>も買われた。このほか、資生堂<4911>、ヤマトHD<9064>、住友化学<4005>などが上昇した。
業種別では、その他製品、電気機器、精密機器、輸送用機器、サービスなどが下落した一方、水産・農林、医薬品、その他金融、倉庫・運輸、不動産などが上昇した。
米国関税方針が二転三転することに対する市場の耐性はあると考えるが、38000円水準の上値抵抗の強さが証明された格好となった。エヌビディア効果が一時的だったこともあり、投資家心理としては「米国関税方針が確定するまでは積極的な売買は手控え」といったところだろう。後場の東京市場も前場同様、積極的な押し目買いは難しいと考える。日経平均は前場終値水準でのもみ合いを想定する。
<AK>
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