5. 季節要因と決算期末の変更
エコモット<3987>の4つの主要なソリューションのうち、3つが下期(10~3月)偏重のため、上期(4~9月)に営業損失が発生し、下期の利益で通期の黒字化を果たす季節的なパターンがこれまでに見られた。過去2期の四半期ごとの売上高、売上原価、販管費と営業利益(損失)の推移では、2018年3月期と2019年3月期においてそれぞれの四半期ごとの販管費に大きな差異はない。収益性では、ストックビジネス比率の高いモニタリングソリューションの売上高構成比が上がる下期に、売上総利益率は高くなる。
モニタリングソリューションは、ロードヒーティング遠隔監視代行サービスの提供期間が冬季の12〜3月までに限定される。コンストラクションソリューションは、公共工事現場に対するサービス提供が中心であるため、9〜11月にサービス提供及び売上高の計上がピークを迎える。また、IoTシステムの受託開発であるインテグレーションソリューションは、多くの顧客が決算期末直前の納品を希望することから、第4四半期に売上が集中する傾向がある。一方、GPSソリューションの「Pdrive」は、他ソリューションほどの季節要因はない。
同社は今期より、決算期末を3月から8月に変更した。よって2020年8月期は17ヶ月の変則決算となる。従来の決算期では、第2四半期累計まで営業損失を計上し、第3四半期から単期黒字に転換し、最後の第4四半期で通期黒字化を実現してきた。8月期決算の場合、営業利益は12〜2月の第2四半期に最も大きくなる。第1-第3四半期まで黒字決算となるが、第4四半期に単期損失を計上するため、通期利益が第3四半期累計の水準を下回ることになる。閑散期の6〜8月の売上増と、期内売上に向けて各種販売施策を戦略的に前倒して実施すること等により、第3四半期累計と通期の利益水準の差異を縮小することが望まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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