2. 成長戦略
企業の情報システムはハードからソフトウェアまですべて自社で「保有」するオンプレミス型から、大手クラウドサービス事業者のプラットフォームを「利用」するクラウドサービス型へのシフトが今後も進むものと予想され、クラウドサービス市場は今後5年間で年率20%弱の成長が続くものと予想される。こうしたなか、オンプレミスのシステムをクラウドに移行するソリューション事業と、各種クラウド自社開発品の拡販といった創業以来中核としている両事業により、業界平均を上回る年率30%の売上成長を目指している。
高成長を実現していくため、SalesforceやAWSなどの開発エンジニアの採用・育成を今後も積極的に進めていくほか、導入企業の業務効率向上につながる魅力あるソリューションやサービスの開発・拡販に取り組んでいく方針だ。また、中長期的な視点で新規事業の育成やアジア市場への展開に向けた準備も進めている。
(1) ソリューションの拡充
現在、注力しているソリューションの1つとしてCRMソリューションの「OMLINE」シリーズがある。2018年から提供開始した「OMLINE-I」は、「Salesforce Service Cloud(以下、Service Cloud)※」とLINE公式アカウントを連携し、LINE経由の問合せと電話やメール等の様々なチャネルの問合せを一元的に管理するサービスである。LINEでの問合せに対して、チャットボットでの自動応答のほか、オペレーターが直接返信あるいはLINE通話で対応することが可能で、待ち時間の減少等による顧客満足度の向上だけでなく、オペレーターの業務効率改善にもつながるといったメリットがある。インバウンド向けのソリューションとして、LINE Pay(株)の「LINE Pay」カスタマーサポートセンターやソニーネットワークコミュニケーションズ(株)が運営するインターネット接続サービス「So-net」のコンタクトセンターのほか、海外でもLINEの台湾におけるヘルプサポートシステムとして2019年6月より運用が開始されるなど、国内外で導入が拡がり始めている。料金は初期費用50万円のほか、月額基本料金で15万円(5Userまで、6User以降は1User当たり5千円追加)からとなっている。
※セールスフォース・ドットコムが提供するカスタマーサービス支援システム。
また、2019年8月より提供開始した「OMLINE-O」は、SalesforceとLINE公式アカウントを連携し、メッセージ配信からユーザーの管理まで、LINEを使ったマーケティング施策やカスタマーサービスをSalesforce上で一元管理できるサービスである。LINEユーザーをSalesforceの顧客情報と関連付けることで、顧客属性ごとに最適なLINEメッセージを配信することができるようになる。同サービスを利用することによって、効果的な集客施策や新商品のプロモーション、ブランディング向上施策などを打てるようになるほか、顧客満足度の向上を図ることが可能となる。Salesforceは小売りやサービス業などBtoC企業にも強いため、LINEとの連携を図った同社サービスの注目度も高い。料金プランは企業が発信するメッセージ配信数等によって、月額固定料金3万円、15万円、50万円の3つに分かれており、それぞれ追加配信数に応じて従量課金する形態となっている。
Salesforceと連携した同様のサービスは複数あるが、Salesforceの開発技術力で強みを持つ同社サービスが機能面や利便性において優れているものと見られる。2020年1月にはコンタクトセンター運営大手のトランス・コスモス<9715>とも業務提携し、Salesforceの導入・構築支援において協業体制を図ると同時に、「OMLINE-I」を最適ソリューションとしてトランス・コスモスの顧客企業に提案・導入していく取り組みを進めていくことを発表した。「OMLINE」は認知度の向上が課題であったが、今回の提携により導入社数の一段の拡大が期待される。同社では「OMLINE」シリーズの利益貢献時期として、サービス開始から3年目を目標としている。
また、コンタクトセンター向けの新たなソリューションとして、2019年8月に米Twilio(トゥイリオ
※ゴールド・SIパートナーとして、同社のほかNTTコミュニケーションズ、(株)NTTデータ・スマートソーシング、サーバーワークス、(株)パウンド4テクノロジー、クラスメソッド(株)、レジスタード・SIパートナーとしてウルシステムズ(株)が契約を締結した。
同社にとってはコンタクトセンター向けのラインナップ拡充により、多様な顧客ニーズに対応できることになる。新型コロナウイルスの影響で、同社は4月1日より全社テレワーク体制に切り替えたが、それに伴いTwilioを利用した在宅コールセンターを自社用として構築し、4月6日より運用を開始している。同事例を用いて開催したWebセミナーも、150名の参加者が集まるなど注目度が高まっている。短期間かつ手軽にシステムを構築できることや、料金プランが完全従量課金で、ボリュームディスカウントも適用されるため、使用状況に応じて最適な価格で利用できるメリットがあり、今後の需要拡大が期待される。同社の収益としては利用料金の一部を売上計上することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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