前日9日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は9.93ドル安の31375.83ドル、ナスダックは20.06ポイント高の14007.70で取引を終了した。史上高値付近では上昇をけん引してきた景気敏感株を中心とした利益確定売りが先行し、寄り付き後、下落した。追加経済対策の早期成立や景気先行きへの期待に加えハイテクが下値を支えダウは上昇に転じる局面もあったが戻り鈍く終日軟調推移となった。
米国株式相場を受けた今日の東京株式市場は、寄り付き段階では売りが先行した。
昨日までの3日続伸で日経平均が1100円を超す上げとなり、利益確定売りが出やすかった。また、外為市場で朝方1ドル=104円50銭台と、昨日15時頃に比べ30-40銭ほど円高・ドル安に振れていることも株価の重しとなった。一方、発表が続く20年4-12月期の決算発表を受け、好業績銘柄への物色意欲が強く、株価支援要因となり、日経平均は前場の取引終了前に上げに転じた。
個別では、決算を発表したケイアイスター<3465>がストップ高買い気配となり、同じく決算を発表した武蔵精密<7220>、住友ゴム<5110>、住友大阪<5232>、シマノ<7309>、カネカ<4118>、ホンダ<7267>、タカラトミー<7867>、富士フイルム<4901>、SUMCO<3436>、日産自<7201>が4%を超す上げとなった。決算発表銘柄以外では、蓄電装置向け材料の生産能力を倍増すると報じられた三菱紙<3864>、自社株買いを発表したDCM<3050>、3キャリア対抗の20GBプランを発表した日本通信<9424>が上げた。
一方、決算を発表した三井海洋<6269>、ネクソン<3659>、JT<2914>、五洋建<1893>、太平洋セメ<5233>、横河電機<6841>、IHI<7013>、ジャストシステム<4686>、DOWA<5714>が4%を超す下げとなった。決算発表銘柄以外では、アドバンテスト<6857>や東エレク<8035>などの半導体株の一角が下げ、また、太陽誘電<6976>や村田製<6981>など電子部品株の一角も安かった。
セクターでは、ゴム製品、石油石炭製品、輸送用機器、パルプ・紙、その他製品などが値上がり率上位。一方、非鉄金属、建設業、医薬品、食料品、精密機器などが値下がり率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の49%、対して値下がり銘柄は45%となっている。
日経平均が急ピッチで上げているが、少し気になることもあり、少し考えてみる。
細かい数字が多くなるが、今後の相場を考える上で意外に重要かもしれない。
市場の様子を判断する際に手掛かりとする数値のひとつに、年初来高値(新高値)、年初来安値(新安値)の銘柄数がある。「年初来」だが、3月末までは前年1月以降の高値、安値を用いる。日本経済新聞に毎日掲載される東証1部新値株を見ると、昨日の新高値銘柄は104銘柄、新安値銘柄は1銘柄。今年に入り新高値銘柄が最も多かったのは一昨日8日で137銘柄。少し遡ると、昨年1年間で新高値銘柄が最も多かったのは、9月28日で228銘柄。この日は9月末の権利付き最終売買日という特殊要因があったかもしれない。が、日経平均が30年半ぶりの高値に急ピッチで駆け上がっている現在、ほぼもみ合い相場だった昨年9月に比べ、新高値銘柄は少ない。
さらに遡ると、2019年で新高値銘柄が最も多かったのは、11月4日の215銘柄。やはり最近よりかなり多い。また、新高値銘柄数が200銘柄を超えたのは2019年は9日あったが、昨年3月以来の大相場で200銘柄を超えたのは上に書いた昨年9月28日の228銘柄のみだ。
現在の新高値は昨年1月以降の株価を対象としているので、3月末までは時間の経過とともに新高値を付けにくくなることはあるだろう。しかし、日経平均が大きく上昇する中で新高値銘柄数が意外に少ないような気がする。この件、機会があればさらに考えてみたい。
さて、後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。相場の先高観は強く下値は堅いと見られるが、市場では上げピッチの速さが意識されており、上値は買いづらいムードがある。また、後場の取引時間中にトヨタ<7203>が20年4-12月期決算を発表予定で、内容によっては相場全体の値動きに影響する可能性もある。今日はこのほか、三菱地所<8802>、パンパシHD<7532>、ルネサス<6723>などが決算を発表する。また米国で、ゼネラル・モーターズ(GM)、コカ・コーラ、ウーバーテクノロジーズなどが決算発表を予定している。
(小山 眞一)
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