フリービット<3843>はインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)へのインフラ提供やMVNE※としてのMVNOへの参入支援、バーチャルデータセンターを中心とするクラウドインフラの提供、インターネット・サービスにおけるコンサルティング、ソリューションなど様々なサービスを、主に法人向けに提供している。また、グループ会社を通じて、個人向けのISPやMVNOサービス、Webマーケティングサービス、集合住宅向けのインターネット関連サービスなどの事業を手掛けている。
※ Mobile Virtual Network Enablerの略。MVNOとしての事業に新規参入しようとする企業に対して、大手キャリア(MNO)と交渉して借り受けた回線を小分けにしてMVNOに提供する支援事業者。
グループには、ギガプライズ<3830>、フルスピード<2159>、(株)ドリーム・トレイン・インターネット(完全子会社)など多数の企業が含まれる。ただ2021年4月期においては、従前グループ企業だった(株)フリービットEPARKヘルスケア(現(株)くすりの窓口)、(株)アルク、(株)フォーメンバーズの株式を譲渡することで連結対象から外しており、資本関係と事業ポートフォリオの両面でグループ再編が進行中だ。
2021年4月期第2四半期累計(2020年5月-10月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.8%増の28,117百万円、営業利益が同101.7%増の1,989百万円、経常利益が同123.3%増の2,029百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,405百万円(前年同期は181百万円の損失)と増収増益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による景気への影響が懸念されるなか、売上高は増加を維持し、各利益も大幅に増加した。
売上高と営業利益、経常利益の伸びについては、インフラテック事業、不動産テック事業などにおける業績拡大が大きく寄与した。インフラテック事業では、MVNO支援パッケージサービスなどの通信インフラサービス需要が拡大した。不動産テック事業では、集合住宅向けISPシステム「SPES」の既存物件への導入を中心に提供戸数拡大を進めた結果、集合住宅向けインターネット接続サービスが順調に伸びた。
親会社株主に帰属する四半期純利益については、くすりの窓口とフォーメンバーズの株式売却益を計上した一方、個人向けMVNO事業やフルスピードの連結子会社であるRita(株)に関連したのれんの減損損失、固定資産除売却損、フォーメンバーズへの貸し付けに対する貸倒引当金繰入額といった損失も計上し、特別要因が多く見られた。ただ、売上高と営業利益、経常利益の伸びが寄与し、親会社株主に帰属する四半期純利益も黒字転換した。
組織再編を背景にコア・ノンコア事業の切り分けが進むなか、インフラテック事業や不動産テック事業における足元の堅調な業績が確認できたことは、事業の選択と集中における効果に向けた期待を高める材料だと弊社では評価する。なお、ヘルステック事業におけるくすりの窓口と不動産テック事業におけるフォーメンバーズの事業が2021年4月期第2四半期末で非連結化され、エドテック事業におけるアルクも第3四半期首をもって非連結化された。そのため、これらの事業の売上高・営業利益に対する寄与は第3四半期以降なくなり、持分法による投資損益を通じて、経常利益、親会社株主に帰属する純利益に影響するようになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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