Object Browser事業の売上高は前年同期比2.6%増の6.95億円、営業利益は同20.1%増の1.82億円となった。「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウエア開発の生産性向上ツールとして業界で多く利用されており、安定した収益源となっている。統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」は、2021年3月に従来の買取モデルからクラウドサービスモデル「OBPM Neo」へとリニューアルし、累計導入実績は約240社にのぼっている。2022年7月から「OBPM Neo」の顧客に対し、オンラインでPMO業務を支援する「リモートPMOサービス」の提供を開始した。「OBPM Neo」のストック収益が安定的に伸びており「リモートPMOサービス」や「導入支援サービス」などフロー収益も好調であるため、増収増益となった。
E-Commerce事業の売上高は前年同期比24.2%減の9.16億円、営業利益は同49.8%減の2.07億円となった。販売開始時から続けてきた「SI Web Shopping」プログラムソースコードを顧客に公開することに加えて、当年度からは新たに「SI Web Shopping」とクロスセルする内製化の支援を強化する「EC&リテールDXサポート」および多機能PaaS「Adobe Commerce」の2つのビジネスを立ち上げている。しかしこれら新たな取り組みを積極的に行ったが、顧客からの新規商取引サイト立上げニーズが多いにもかかわらず新規案件獲得活動による受注が遅れ、開発リソースに依存しないビジネスとして立ち上げた「Adobe Commerce」の案件化も遅れていることから、開発業務量が十分に確保できなかった。しかし、当年度末には大手メーカー向けの「Adobe Commerce」案件がスタートしており、内製化支援においても顧客との共同開発案件が進んでいる。また、ECサイト構築ニーズも、独自性あるビジネスモデルで顧客固有の要件を取り込む必要があるECサイトの開発や自社でECサイトの内製化を進めたいなど順調に増加している。
ERP事業の売上高は同3.9%減の27.55億円、営業利益は同31.5%減の1.52億円となった。Web-ERPパッケージ「GRANDIT」をベースに主に製造業、IT業、卸売業の顧客に各社の業務要件に基づく基幹業務システムを構築し販売している。「GRANDIT」はコンソーシアム方式をとっているため、同一製品を複数のコンソーシアム加盟企業が販売している。アドオンモジュールを自社開発し、同社の顧客だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売している。最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースがほとんどであり、同社でも中小企業向けクラウドERPサービス「GRANDIT miraimil」やそれを同社のアドオンモジュールでIT業向けに特化させた業種特化型クラウドERPサービス「GRANDIT SaaS」を提供している。新規案件の規模や内容がスキルレベルに適合せず計画通りに受注出来ていないことや案件中断などが発生した影響から、減収減益となった。なお、採用数が増加したことによって間接コストが増加し、利益率を大きく低下させているが事業拡大推進のための計画的な投資であり、中長期的には売上・利益ともに貢献するものとしている。
AI事業の売上高は同254.9%増の0.67億円、営業損失は0.36億円(前年同期は0.98億円の損失)となった。ディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」は、製造業の生産工程における目視検査を自動化したい、検査の精度を高めたいというニーズを受け開発した。当年度には実運用に向けて多くのPoC(概念実証)を実施し、最終検証まで進んだ案件が出てきている。
2024年2月期通期の業績予想については、売上高が前期比11.5%増の50.00億円、営業利益が同3.6%減の3.92億円、経常利益が同4.4%減の3.98億円、当期純利益が同20.0%増の3.36億円を見込んでいる。
また、同日、主にE-Commerce事業およびERP事業の収益が若干上振れとなり、当期純利益は前回予想2.39億円を上回ったことにより、2023年2月期の期末配当について、前回予想の1株当たり配当金7.00円から、1株当たり配当金8.00円に増配することを発表した。
<YI>
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