システム ディ<3804>は業種・業務特化型の業務支援ソフトウェアを開発し、パッケージ販売やクラウドサービスで提供している。学園ソリューション(大学及び私立高校・専門学校)、ウェルネスソリューション(スポーツ施設及び文化・観光施設)、公教育ソリューション(公立の小・中・高校)、公会計ソリューション(自治体及び関連公共団体)、ソフトエンジニアリング(民間企業、公益法人、学校法人等)、薬局ソリューション(調剤薬局)の6つの事業を展開しており、薬局ソリューションを除く5つの分野で業界トップクラスのシェアを握っている。ここ数年はクラウドサービスにも注力しており、2022年10月期におけるストック収入(クラウドサービス及び保守・サポート料)の売上構成比は50.8%と過半を占めるまでになっている。
1. 2022年10月期は公教育・公会計ソリューションがけん引し過去最高業績を更新
2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の4,232百万円、営業利益で同11.1%増の897百万円とおおむね会社計画どおりに着地し、過去最高業績を更新した。売上高は学園ソリューション及びウェルネスソリューション事業が減収となったものの、新規案件の導入が集中した公教育ソリューション事業が前期比39.0%増と大きく伸長したほか、公会計ソリューション事業も特需を取り込めたことで同24.7%増と好調に推移したことが増収要因となった。利益面では、ソフトウェア償却費や人件費の増加を増収効果で吸収し、営業利益率は前期の21.0%から21.2%に上昇した。期末の累計顧客数は9,415件と前期末から1,142件増加し、ストック売上も前期比9.4%増の2,151百万円と着実に積み上がった。一部事業については新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)の影響が残ったものの、全体を見れば順調な決算だったと言える。
2. 2023年10月期は上期に減益となるも通期では増収増益を維持する見通し
2023年10月期は売上高で前期比9.2%増の4,621百万円、営業利益で同1.3%増の909百万円と増収増益が続く見通し。上期は前年同期に公教育ソリューション、公会計ソリューション事業の売上が大きく伸長した反動もあって、売上高で前年同期比2.8%増の2,360百万円、営業利益で同19.9%減の541百万円と一時的に利益が落ち込む見込みだが、下期以降は増益基調に復帰する見通しとなっている。売上高は公会計ソリューション事業が特需の剥落により減収となるものの、公教育ソリューション事業やソフトエンジニアリング事業の増収が続くほか、低迷していた学園ソリューション事業やウェルネスソリューション事業も増収に転じる見通しとなっている。学園ソリューション事業の引き合い件数はコロナ禍前の水準を上回っているようで、これら案件を確実に受注に結び付けていく。ウェルネスソリューション事業ではクラウド型会員管理システム「Smart Hello」に加えて、2022年11月にリリースしたクラウド型チケット管理システム「Smart Helloチケット」の拡販により増収を目指す。増益率が鈍化するのは、販売ミックスの変化による売上総利益率の低下を見込んでいることに加えて、広告宣伝費の増加及び賃金アップや福利厚生、教育研修の充実など将来の成長に向けた人的リソースの強化を図るための費用を積み増すことが主因となっている。ただ、こうした投資に関しては増益を確保できる範囲内で進めるものと見られる。
3. シェア拡大により持続的成長を目指す
同社は2023年10月期からスタートする中期経営計画「第一次 システム ディ強靭化計画」を発表した。取り組むべくテーマとして、1) 「よりシェアを拡大し、各事業をさらに強靭化する」、2) 「ワクワクさせる会社になる」、3) 「社員、ステークホルダーと共に成長する」、の3点を掲げ、今後3年間を将来の飛躍に向けた体力づくりを行う期間と位置付けた。既存事業においては各事業でシェアを拡大していくとともに、ストック収益を積み上げることで年率10%の売上成長とストック収益比率50%、営業利益率20%を目指す。また、M&Aも含めて新規事業の立ち上げや新領域への展開なども検討する方針だ。累計顧客数も当面の目標であった1万件が射程圏に入っており、今後も安定的な成長が続くものと期待される。
■Key Points
・2022年10月期は公教育・公会計ソリューションがけん引し、2ケタ増収増益に
・2023年10月期は成長投資を行いつつ増収増益を継続する見通し
・シェア拡大による持続的な成長とともに経営基盤の強靭化に取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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