経営上の重要指標と位置付ける定常収入は、サービス提供の拡大により2.23億円増加したことに加え、2020年12月期より連結子会社の業績が含まれることで14.80億円増加し、前期比36.1%増の64.24億円となり、順調に推移した。なお、2016年に、2020年12月期を最終年度とする5ヶ年中期経営計画を策定し、「シェアクラウド」によるサービス展開を進めてきた。その結果、売上高は目標107.00億円に対して127.70億円、また、定常収入は目標49.50億円に対して64.20億円となり、計画を大幅に上回った。経常利益は、開発投資に係る償却負担が上振れたため、目標11.00億円に対して9.51億円の結果となり目標達成には至らなかったが、「@rms基幹」の次期バージョンをリリースしたほか、「C2Platform」の開発への着手や、トラストサービス関連の認定取得など、今後の更なる成長に向けた取り組みを着実に進めた。
ITクラウド事業の売上高は前期比42.3%増の100.15億円、セグメント利益(経常利益)は同183.4%増の8.69億円となった。流通業向けクラウドサービス分野は、主力サービス「@rms基幹」や、卸売業向けのクラウド型EDIサービスなどの提供拡大により、定常収入が増加した。一方、定常収入以外の売上は、「@rms基幹」次期バージョンの導入や消費税制改正対応などを行った前期に比べ減少した。また、研究開発費は、企業間連携プラットフォーム「C2Platform」の新機能開発等の実施により増加し、これまで増加が続いていたソフトウェア償却費は、「@rms基幹」の一部機能の償却終了等により減少に転じた。また、のれん償却や顧客への補償費用の減少に加え、コロナ禍の影響を受けミーティングをオンライン化したことによる旅費交通費の減少、展示会の中止による広告宣伝費の減少等により、販売費及び一般管理費が減少した。これらの結果、売上高は前期を下回り、利益は大幅に上回った。官公庁向けクラウドサービス分野は、防災行政無線デジタル化工事の需要が2020年12月期にピークを迎えたことに加え、前期に取得した連結子会社業績の寄与もあり、売上高・利益ともに前期を大幅に上回った。
モバイルネットワーク事業の売上高は前期比19.1%減の27.62億円、セグメント利益(経常利益)は同6.9%減の3.49億円となった。緊急事態宣言により、2020年4月8日から5月31日までの間、ドコモショップの業務縮小等の措置を講じたが、第3四半期以降は、通常通り営業した。第3四半期及び第4四半期の端末販売台数は前年同四半期を上回ったが、通期では、第2四半期までの落ち込みを補うには至らず、前期を下回った。また、第4四半期は新型iPhoneがリリースされた影響もあり高価格帯モデルが好調となったが、2019年6月「分離プラン」の開始以降、スマートフォンの売れ筋は低価格帯モデルにシフトする傾向が顕著であり、端末販売単価も前期を下回った。端末販売単価が低下した反面、端末一台当たりの粗利率が上昇したことや経費削減により販売費及び一般管理費を抑制したこと等により利益率は上昇したが、売上高・利益ともに前期を下回った。
2021年12月期通期については、売上高が前期比3.0%増の131.61億円、営業利益が同29.8%減の6.49億円、経常利益が同30.8%減の6.58億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.7%減の4.21億円を見込んでいる。
また、同日に新たな中期経営計画(2021年度~2025年度)「トランスフォーメーション2025」の策定も発表した。企業間連携プラットフォームの立上げにより業界DXを実現するなどの重点戦略の実現により、最終年度の2025年12月期の計画は、定常収入は2020年度比41.4%増の90億円(定常収入比率は同プラス12.2%の62.5%)、売上高は同13.7%増の145億円、経常利益は同68.1%増の16億円(経常利益率は同プラス3.5%の11.0%)、ROE13%以上としている。
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