エムアップホールディングス<3661>の事業領域である音楽やアーティスト関連の市場動向に目を向けると、2019年までは堅調に推移してきた。特に、音楽配信では、ストリーミングサービスの利用が急拡大するとともに、ライブ・コンサート市場も拡大傾向にあった。ただ、コロナ禍の影響を受けた2020年については、販売延期等により音楽ソフトの生産金額が1,944億円(前年比15.2%減)に減少した一方、音楽配信の販売金額は自宅等でのストリーミングサービスの利用増加により782億円(同10.8%増)に拡大し、明暗が分かれる結果となった※。2021年についても、音楽ソフトの生産金額は1,936億円(前年比0.4%減)と引き続き低調に推移したものの、音楽配信の販売金額は895億円(同14.4%増)と拡大傾向が続いており、市場全体としては堅調な需要が見られる。
※出所:(一社)日本レコード協会
また、ライブ・コンサート市場についても、コロナ禍により多くのライブ・コンサートが中止・延期となったことから、2020年の公演回数は10,637回(前年比66.6%減)に減少するとともに、収容人数の制限等も重なり動員数は1,086万人(同78.1%減)にまで落ち込んだ※。2021年に入ってから公演回数は26,383回(前年比148.0%増)と大きく回復し、コロナ禍前(2019年)の約80%にまで戻ってきた一方、動員数は収容人数制限による影響が残りコロナ禍前より53.9%少ない2,284万人(前年比110.2%増)にとどまっている。もっとも、足元では十分に感染症対策を講じたうえでライブ・コンサートを再開し、収容人員制限も緩和する動きが広がっており、公演回数、動員数ともに回復傾向にある。
※出所:(一社)コンサートプロモーターズ協会
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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