1. 大阪・東京の両エリアで事業展開する独立系の総合不動産ディベロッパー
LeTech(リテック)<3497>は、東京証券取引所(以下、東証)グロース市場に上場している独立系の総合不動産ディベロッパーである。仲介・コンサルティングから土地の購入・開発まで展開し、土地活用における最適なソリューションを提供している。旧社名「株式会社リーガル不動産」の“LEGAL”に“TECHNOLOGY”を融合し、同社にしかなしえない企業活動を創りたいと考え、2021年2月に社名を変更した。大阪・東京の両エリアで、不動産ソリューション事業、不動産賃貸事業、その他事業を展開する。法律知識に基づく企画・開発力、総合不動産ディベロッパーとしてのハイブリッドな事業戦略が同社の強みである。未来のマーケットを作るために、国内最大級の不動産オーナー向けプラットフォーム「YANUSY(ヤヌシー)」(不動産とITが融合したプラットフォーム)の拡大に注力している。
2. 2022年7月期第2四半期の業績は、インバウンド大型物件売却に伴う棚卸資産評価減により大幅減益
2022年7月期第2四半期では、売上高4,092百万円(前年同期比65.7%減)、営業損失2,949百万円(前年同期は996百万円の利益)、経常損失3,347百万円(前年同期は510百万円の利益)、四半期純損失3,872百万円(前年同期は290百万円の利益)となった。業績に大きな影響を及ぼしたのは、インバウンド需要向け大型物件の売買契約を2022年2月16日に契約締結し、当第2四半期に先行して棚卸資産の評価減2,836百万円を計上したことによるものである。大きな損失となったが、インバウンド需要向け不動産の市況回復は不透明なため、リスクを明確にして再出発できたことは前進と評価できるだろう。売上高に関しては、主力商品「LEGALAND」の販売(契約)等を積み重ねるも、売上計上(引き渡し)の過半が下期売上となったこともあり、前年同期比で大幅減収となった。
3. 2022年7月期通期は売上高186億円、営業損失6億円と期初予想を据え置き
2022年7月期の業績については、売上高18,634百万円(前期比2.2%減)、営業損失653百万円、経常損失1,476百万円、当期純損失1,477百万円を見込んでおり、期初計画を据え置いている。売上高に関しては、リーマン・ショック級の経済危機の発生リスクを想定し、過去2期にわたり仕入量をコントロールしたことによる売却物件数の減少が影響する。また、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)により市場が不透明であることから、大型開発案件の売却益を期初計画時点で大幅に下方修正している。第3・第4四半期単独の予想では、売上高で14,542百万円、営業利益2,296百万円とハードルは高いものの、足下の物件売却は順調であり、売上高については第3四半期に大型開発案件の売上が計上されることとなる。弊社では、好調なレジデンス市場の追い風もあり、大規模インバウンド物件以外のマンション販売は引き続き好調であると見ている。
4. AI機能を備えた原状回復業務DXサービスを開発中
同社は2022年1月に産学共同による共同研究契約書を締結し、原状回復工事に関わる業務DX(Digital Transformation)実現に向けたAI機能の開発に向けた取り組みを開始した。AI機能を原状回復の診断に応用するのは同社によると業界初となる。賃貸住宅の退去時に賃借人は原状回復の義務を負うが、原状回復工事の必要性や賃借人の負担割合の判断には専門知識が必要であり、費用負担等に関する多くのトラブルが発生している。本サービスでは、賃借人がスマートフォンから現地状況を入力するだけでAI機能が適正に判断を行う。開発するAI機能は、同社が実施する原状回復工事に関わる業務で活用するほか、不動産業界向けクラウドサービスとして提供していく方針である。また「YANUSY」上にAI機能を実装し、原状回復工事の適正な判断に役立つ情報を提供する予定である。想定されるメリットとしては、オンライン化されるため現地立ち合いが不要になること、借主や事業者の知識不足をAIが補うこと、費用負担の適正化・透明化、などがある。現在はAI学習用教師データの蓄積が進捗しており、2022年12月のリリースを目指している。
■Key Points
・不動産投資家の住宅分野への投資意欲は依然として高い。富裕層向け賃貸マンション「LEGALAND」の開発・販売が事業の柱
・不動産価値を最大化させる提案力・開発力に加え、不動産オーナー向けプラットフォーム「YANUSY」などDX力が新たな強み
・2022年7月期第2四半期の業績は、インバウンド大型物件売却に伴う棚卸評価減により大幅減益。主力のマンション「LEGALAND」の販売は堅調
・有利子負債は前期末比約18億円減少。資本注入及び利益蓄積による財務健全化を目指す
・2022年7月期通期は売上高186億円、営業損失6億円と期初予想を据え置き
・業界初となるAI機能を備えた原状回復業務DXサービスを開発中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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