パシフィックネット<3021>の2023年5月期の連結業績予想については、売上高6,100百万円(前期比10.8%増)、営業利益400百万円(同17.0%増)、経常利益375百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益236百万円(同12.5%増)とする期初計画を据え置いている。2023年初めからPC更新期に入るため、サブスクリプションへのシフトを検討するケースが増えると考えられ、重要な成長機会を迎えることになる。
DXやセキュリティ対策などでIT人材が慢性的に不足していることに加え、ハッカーの攻撃、スパイウェアの侵入などが多発しており、企業防衛の観点からも情報管理システムの運営が重要課題となっている。このような事業環境の下、ITサブスクリプション事業はクラウドサービスの受注拡大や短期レンタルについても好調な推移を見込んでおり、前期同様、好調な受注状況は続くと見られる。同社は法人利用PCに占めるサブスクリプション台数について、2022年度の300万台強から2025年度には700万台超を予想している。SaaSの普及やサブスクリプションサービスの拡大によって、PCサブスクリプションの認知度も向上しており、導入企業や商談が増加している。IT人材の慢性的な不足によりIT部門の業務負担軽減ニーズが高まっていることを踏まえれば、2025年に向けて予想を大きく上回る可能性もあると弊社では見ている。
ITAD事業では、市場価格の見通しは不透明な状況としているものの、使用済みPC排出は第4四半期以降に本格的に回復すると予想している。施策としては、外部環境の影響を受けやすい同事業の構造転換及び、2023年以降の成長機会のキャッチアップに向けたサービス強化を進める。2022年11月より開始した「排出管理BPOサービス」をきっかけに、ITサブスクリプションやLCMサービス全般への取引拡大が見込める。回収・データ消去サービスについては、業界最高のセキュリティと唯一の上場企業である強みが生かされることになろう。また、業界唯一のIT機器専門リアルタイムネットオークション「PCNET Auction」については、出品代行や品目増加等により規模の拡大が期待できる。一方、コミュニケーション・デバイス事業については、下期にも黒字化の可能性が出てきたと弊社では見ている。経済活動の正常化が進むなかで観光需要の回復基調が強まっているほか、観光以外の需要も増えており、大口販売の商談が増えている現状を踏まえれば、黒字化の可能性は高いだろう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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