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PCNET Research Memo(1):企業向けのITサービスを「サブスクリプション」モデルで提供(1)

配信元:フィスコ
投稿:2020/09/01 09:01
■要約

パシフィックネット<3021>は、IT機器の調達、運用・保守、回収・データ消去、リユース・リサイクル、というライフサイクルマネジメント(LCM)をワンストップで支援する唯一の上場企業である。これまでの、使用済みIT機器の引き取り・回収やリユースPC販売などのフロー収益を中心としたビジネスモデルから脱却し、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティなど企業の情報システムを支援するITサービスを「サブスクリプション」モデルで提供する、ストック収益を中心とした業態へと大幅に事業構造の改革を図っている。2019年5月期を初年度とする中期経営計画「SHIFT 2021」において収益の変動が大きなフロー中心から、経営の安定と持続的成長が可能なストック中心の収益・事業構造への転換を図ることを目的に、ストックに該当するITサブスクリプション事業の拡大を最重要課題として構造改革を加速させている。

1. 事業概要
同社では3つの事業を柱としている。なかでもITサブスクリプション事業は、同社が将来収益の拡大、持続的成長の基盤、環境変化への耐性強化として事業規模の拡大を進めている事業となる。法人・官公庁が業務で使用するPCのサブスクリプション(中長期レンタル中心)での提供、及び運用保守・クラウド等のITサービスが主な事業となる。新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ)により、企業のテレワーク整備、クラウド化の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が強く認識され、多くの企業でIT投資が進められるなか、成長期待の大きい事業となる。

2つ目はITAD事業で、使用済みパソコンなどのデータ消去と適正処理サービスを手掛けている。3つ目はコミュニケーション・デバイス事業である。2018年2月末から連結の範囲に含めている(株)ケンネットが提供しており、観光業界を中心に無線ガイド機「イヤホンガイド(R)」の製造・販売・レンタル・保守サービスを行っている。90%以上の国内シェアを保持しており、観光需要の高まりに加え、新たな市場開拓も進み、業績が拡大している。

2. 業績動向
2020年5月期については、ITサブスクリプション事業では2020年1月のWindows 7サポート終了により、ビジネス向け市場でWindows 10への入れ替え需要が本格化したことや、働き方改革の推進、コロナ禍によるテレワーク拡大の動きなどを背景に、受注が積み上がり、増収増益となった。フロー収益であるITAD事業は、第4四半期に最も業績が伸びる季節要因があるものの、コロナ禍によるマイナス影響を受けたことで、減収増益となった。コミュニケーション・デバイス事業は、第3四半期までは前期比大幅な増収増益で好調に推移したが、コロナ禍による観光需要の減少により、減収減益となった。この結果、2020年5月期の連結業績は売上高が4,566百万円(前期比9.3%増)、営業利益が413百万円(同33.2%増)、経常利益が408百万円(同29.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が289百万円(同50.6%増)と、増収・2ケタ増益となった。

3. 中期経営計画「SHIFT 2021」の進捗
中期経営計画「SHIFT 2021」の最重要戦略とされるフローからストック中心への収益構造改革に向けて、ITサブスクリプション事業は事業規模拡大へ向けた戦略投資、ITAD事業は規模よりも収益性重視の案件選別や生産性向上策を進めている。中期計画の第2年度に当たる2020年5月期は、計画に対して、売上高が66百万円、営業利益が13百万円、経常利益が8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が39百万円、ROEが3.4ポイントと、いずれも上回っており、順調に進捗している。

■Key Points
・ITサブスクリプション事業は、コロナ禍によるテレワーク拡大で受注増
・ITAD事業は、データ消去需要が拡大
・コロナ禍の後に到来するニューノーマルな社会において、DX企業への変革を加速させる流れが追い風
・リユース・リサイクルなど資源循環による環境保全を担う

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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配信元: フィスコ

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