1. 店舗数と会員数
RIZAPグループ<2928>では、chocoZAP事業の進捗を随時開示している。店舗数においては、2022年3月期末に16店舗(テスト店)、chocoZAPブランドを本格展開し始めた2022年7月に77店舗、2023年3月期末に479店舗と順調に店舗数を伸ばしてきた。2024年3月期上期は月間約90店舗増のペースであり2023年11月には1,160店舗に達した。下期は戦略的にややペースダウンし、2024年3月末に1,383店舗となり下期の出店ペースは月間約60店舗となった。このペースが2025年3月期も続いており、2024年5月には1,500店に達して増え続けている。会員数の伸びも加速している。2022年11月には10万人を突破し、2023年3月末に35万人、2023年5月に55万人、2023年11月14日には101.0万人となり、エニタイムフィットネス(80.7万人、2023年12月末)、カーブス(80.9万人、2023年11月末)を抜いて会員数で日本一を達成した。さらに、2024年2月時点では112万人、2024年5月に120万人と順調に会員数が積み上がっている。会員数の順調な成長には、入会数の伸びとともに退会数の抑制が順調に推移していることも寄与している。chocoZAPの退会率は、ブランドを開始した2022年7月を1.00とした時の指数で2024年3月に0.71と抑制できており、顧客満足度が高く、顧客がトレーニングを継続していることがうかがい知れる。
2. 本格参入から1年5ヶ月で市場シェア1位を達成。その後もシェア上昇中
chocoZAP会員は120万人(2024年5月現在)であり、この数字は国内フィットネス市場会員数上位5社のシェアで32.3%(1位)となる。フィットネスジム市場への本格参入から1年5ヶ月で会員数日本一を達成した。RIZAPのブランドを生かして事業を軌道に乗せ、早期に「ちょいトレ市場」においてデファクトスタンダードを確立したことで、参入障壁を確立したと言える。今後は、事業モデルを模倣するプレーヤーも現れると予想されるが、導入しているサービスが多岐にわたっていることや、全国1,500店舗超の店舗基盤によるスケールメリットによるコスト競争力などの様々な観点から集客力や収益性の点で、chocoZAPに追い付くのは至難の業だと弊社は考えている。
3. 単月黒字化6ヶ月目、累積投資回収14ヶ月目、営業利益率30%(2年目)の優れた収益モデル
同社では、1店舗を出店してからの平均的な収支を開示している。2022年9月に開示した平均モデルでは、出店から約3ヶ月で単月黒字化し、約18ヶ月で累積投資を回収するというものだった。一般的な店舗ビジネスでは累積投資の回収期間は3年から5年を目安にする場合が多く、それと比較すれば、早期回収ができる事業モデルと言える。その後ビジネスモデルの改善を積み重ねており、出店直後の投資(広告、スターターキットなど)や各種サービスを強化することで、単月黒字化が6ヶ月目、累積投資の回収期間が約14ヶ月目という平均モデル(2024年2月に開示)が最新である。サブスクリプション方式であるため、退会率を一定以内に抑制できれば店舗当たりの会員数を積み上げることで2年目以降の収益性はさらに上がることになる。
上記モデルから、新規店舗(単月黒字化前店舗、出店から5か月目まで)の比率が多いフェーズは赤字が先行し、既存店舗(単月黒字化済店舗、出店から6か月目以降)の比率が多くなると黒字となる。実際にchocoZAP事業全体の収支は、既存店比率が過半となった後の2023年11月に損益分岐点を超え、月次黒字化を達成し、その後も利益を増加させている。今後、出店ペースを大幅に加速することは考えにくいため、1店あたり会員数が上限に達するまで利益が積み上がることになる。なお、同社では既存店の品質向上への投資を計画しており、一時的に利益水準が下がることが想定されている(「戦略・トピック」の章で後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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