1. 2023年3月期の業績概要
(1) 損益状況
高千穂交易<2676>の2023年3月期は、売上高23,360百万円(前期比12.4%増)、営業利益1,376百万円(同34.4%増)、経常利益1,588百万円(同27.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,205百万円(同37.2%増)となった。
売上総利益率は前期の24.5%から25.5%へ上昇したが、高収益事業への集中が進んだことなどによる。加えて販管費の抑制に努めたことから、営業利益は前期比で34.4%増となった。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比37.2%増となり、営業利益以下の各段階利益では上場来最高を更新した。
(2) 財務状況
2023年3月期末の財務状況は、流動資産は18,302百万円(前期末比911百万円増)となった。主要科目では現金及び預金2,199百万円減、売掛債権(受取手形・売掛金・契約資産・電子記録債権)が1,019百万円増、たな卸資産が1,822百万円増であった。固定資産は3,831百万円(同627百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が446百万円(同93百万円減)、無形固定資産233百万円(同66百万円減)、投資その他の資産3,151百万円(同787百万円増)となった。以上のような結果から、資産合計は22,133百万円(同1,539百万円増)となった。現金及び預金が減少しているのは、主に堅調な業績を反映した売上債権とたな卸資産が増加したことによる。
流動負債は4,952百万円(同144百万円増)となったが、主な変動は支払手形及び買掛金の増加75百万円などであった。固定負債は748百万円(同11百万円減)であった。純資産は、利益剰余金の増加602百万円、その他有価証券評価差額金の増加317 百万円、為替換算勘定の増加186百万円などから16,432百万円(同1,406百万円増)となった。期末で1,104,190株(1,085百万円)の自己株式を所有している。この結果、自己資本比率は74.2%(前期末72.9%)となり、15年連続で70%超を維持した。長年無借金経営を続けており、財務基盤は安定していると言えるだろう。
(3) キャッシュ・フローの状況
2023年3月期のキャッシュ・フローは以下のようであった。営業活動によるキャッシュ・フローは1,387百万円の支出となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上1,485百万円、減価償却費185百万円、契約資産の減少587百万円等であった。一方で主な支出は、売上債権(電子記録債権含む)の増加1,425百万円、棚卸資産の増加1,798百万円、仕入債務の減少65百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは522百万円の収入となったが、主に有形固定資産の取得による支出134百万円、投資有価証券の取得による支出(ネット)402百万円、定期預金の払戻しによる収入1,100百万円などである。財務活動によるキャッシュ・フローは303百万円の支出となったが、主に配当金の支払いによる支出604百万円、自己株式の処分による収入281百万円などによる。この結果、期中の現金及び現金同等物は1,099百万円減少し、期末残高は4,509百万円となった。
2. 2023年3月期のセグメント別状況
セグメント及びサブセグメント別の状況は以下のようであった。
(1) クラウドサービス&サポート
売上高は2,385百万円(前期比12.8%増)、営業利益は506百万円(同28.5%増)となった。新規代理店でのMSPサービスの取扱開始が遅れたことで、売上高は計画比では未達であったが、クラウド事業の構成比が高まり、営業利益は計画達成率が98.8%となった。主力であるMSPサービスのKPIは下記の通りとなった。
MSPサービスの契約状況は、新規に3,966ライセンスを獲得し、期末の契約ライセンス数は16,921(前期末13,705)となった。また2023年3月期の月次平均解約率は0.33%であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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