1. 企業の人手不足の実態
帝国データバンクが2022年2月24日に公表した「2022年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、2022年1月における正社員の過不足状況について、47.8%の企業が「不足」していると回答している。超少子高齢社会に突入しているとされる日本においては、中小企業の淘汰(統廃合)が急激に加速でもしない限り、人手不足が根本的に解消することは考えにくい。こうした背景から、デジタルトランスフォーメーション(DX)による効率化が企業の急務となっている。
また、同調査における正社員が「不足」していると回答した企業を業種別で見ると、「情報サービス」(65.7%)、「飲食店」(65.1%)、「建設」(62.6%)、「メンテナンス・警備・検査」(60.8%)、「農・林・水産」(60.6%)など7業種において、6割を上回る企業が不足感を覚えている。情報サービス、建設、自動車などジェイテック<2479>が関わっている業種の人手不足感も引き続き強い。比較的長いスパンで高度人材であるテクノロジストを供給する事業を展開している同社への引き合いは非常に旺盛である可能性が高いと弊社では考えている。
もっとも人手不足は同社のような派遣事業を展開しているほかの企業にとっても同様に追い風となる。一方で、同社は直近で創業以来最多となる100名の新卒テクノロジストの採用に成功しており、これに伴って人材のピラミッド化が一挙に進んでいる。基本的に人手不足という言葉が使われる際、企業側が求めているのは若手・中堅人材である場合が多く、同社ではなかでも需要の多い若手人材の確保が実績として進んでいることから、弊社では、同社の強みが今後発揮されることになると見ている。
2. 市場規模及び競合環境等
また、市場規模及び競合環境等についても併せて確認しておきたい。厚生労働省の報告書によると、国内の労働者派遣事業の市場規模は約6.4兆円とされているが、その内同社の事業領域である「技術者派遣市場」は約1.8兆円規模であると同社は推計しているようだ。
なお、技術者派遣領域ではテクノプロ・ホールディングス<6028>とメイテック<9744>が大手の筆頭格となっている。このほか、2021年4月に合併して誕生した夢真ビーネックスグループ<2154>をはじめとして、アルプス技研<4641>、フォーラムエンジニアリング<7088>、WDBホールディングス<2475>、アルトナー<2163>、ヒップ<2136>などが主な競合企業である。同社は、こうしたなかで大手資本の傘下に入らず独立系企業として事業展開を続けている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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