今週の新興市場は大幅続伸。米経済指標はやや強弱まちまちで、11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でインフレ警戒姿勢の根強さも確認されたが、市場で強まっている米利上げ打ち止め観測に歯止めをかけることはなかった。米長期金利が低下傾向で推移していたため、米国株は堅調に推移しており、NYダウ、S&P100、ナスダック総合指数の主要3指数はいずれも週間で1%を超える上昇率となった。一方、日本国内では為替市場で円安進行が一服し、主力輸出銘柄の上値を抑える形になったが、新興市場銘柄は国内向けにサービスを提供する企業が多く、資金流入が活発化、相場は大幅続伸した。今週の騰落率は、日経平均が+0.12%だったのに対し、東証グロース市場指数は+3.10%、東証グロース市場250指数は+3.26%だった。
個別では、「K-Pop Masterz×KROSS vol.3」開催が材料視されたBirdman<7063>、四国電力<9507>と共同開発のAI活用システムの導入効果についての発表が材料視されたグリッド<5582>などが週間騰落率値上がり上位に入った。その一方、東証が信用規制の臨時措置を実施したWelby<4438>、ジャフコG<8595>が保有比率の減少を報告したクオリプス<4894>などが週間騰落率値下がり上位となった。週間売買代金上位にはジーエヌアイグループ<2160>とカバー<5253>が引き続きランクインした。
■新興市場はまだ安値圏であり続伸に期待、来週上場のIPOはなし
来週の新興市場は続伸か。主力銘柄については日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新する中で、輸出株は円高への懸念が膨らみつつある。また今年のバリュー株相場をけん引してきた銀行株については、世界的に長期金利が上昇トレンドから下降トレンドに転じつつある中で、国内長期金利も10月末をピークに低下傾向にあり、これまでのように金利先高感で買われる状況ではなくなってきている。
一方、新興銘柄については、東証グロース市場250指数(旧:東証マザーズ指数)は、10月29日に年初来安値を付け、ようやく反発がスタートしたばかりの位置にある。同指数の年初来高値は6月21日に付けた864.77ポイントであるが、11月24日終値は716.99ポイントで、年初来高値より17%あまり安い。また過去10年間の推移ではグロース市場250指数は概ね600ポイントから1400ポイントのレンジで推移しており、足元株価はこのレンジの安値圏にある。
需給面も今年の新興市場は比較的良好と思われる。毎年12月は新規公開(IPO)が集中し、新興市場に上場する銘柄は換金売りの影響を受けやすい。しかし今年12月のIPO銘柄数は、例年と比べかなり少なくなる見通しで、需給の下支え要因となろう。12月のIPO数は2021年の32銘柄、2022年の25銘柄に対し、今年12月にIPOを予定している銘柄数は11月25日現在15銘柄に留まっている。
相場の出遅れ感に注目が集まる方向となる中、来週の新興市場では幅広い銘柄で買いが強まっていくことを期待できるだろう。中でも業績面で買い安心感のある銘柄や主力銘柄が相場のリード役となる可能性がある。個別ではクラウド活用の会員制転職サービス「ビズリーチ」を運営するビジョナル<4194>、格安航空券予約サイト「スカイチケット」を運営するアドベンチャー<6030>などに注目しておきたい。なお、来週は新規公開(IPO)の予定はない。
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