今週の新興市場はやや強含み。先週も米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め長期化の観測が根強いままで、米長期金利は上値追いの動きにあったが、頭打ちの兆しも見せた。このため、株価収益率(PER)の高いハイテク株を中心とした米NASDAQ総合株価指数は、米長期金利頭打ちの兆しと約4カ月ぶりの安値圏にあったことで台頭した値頃感を評価する形で、下げ止まりから持ち直しの兆しを見せ始めた。そうした中、高PER銘柄の多い日本の新興市場は、日替わりで大きく上げ下げした。しかし、上述の米長期金利頭打ちの兆しと米NASDAQ総合株価指数下げ止まりの動き、年初来安値圏にあることで強まった日本の新興市場の値頃感に支えられ、相場は週間で小幅高を確保、下げ止まりの動きに。先週の騰落率は、日経平均が-1.68%だったのに対し、東証グロース市場指数は+0.37%、マザーズ指数は+0.42%だった。
個別では、岸田首相の物流緊急対策表明が材料視されたロジザード<4391>、デジタル技術で新規事業開発や既存事業変革を支援するプロジェクトカンパニー<9246>、MacbeeP<7095>と資本業務提携すると発表したデジプラ<3691>などが週間上昇率の上位に入った。その一方、21日に新規上場した後で換金売りに押された揚羽<9330>、23年12月期業績予想を下方修正したメドレックス<4586>、24年2月期上半期業績見込みを下方修正したサマンサタバサジャパンリミテッド<7829>が週間下落率の上位となった。週間売買代金上位にはカバー<5253>やジーエヌアイグループ<2160>が入っている。
■上昇基調継続なるか、押し目買い継続に期待、IPOは4社
来週の新興市場はじり高か。今週後半に米長期金利の上昇が一服し、東証グロース市場指数、マザーズ指数は上昇に転じた。マザーズ指数は依然として年初来でみて低水準にある。値ごろ感からの押し目買いが入りやすいと考えられ、米長期金利の動きが落ち着いていれば、新興株の堅調な展開が見込めそうだ。
10月6日には注目度の高い米9月雇用統計が発表される。8月と比較して失業率は低下するものの、非農業部門雇用者数の増加は鈍化すると予想されており、労働需給逼迫に対する過剰な警戒感が和らぐ期待がある。一方、平均時給の伸びは前年同月比では8月と同じ+4.3%の予想となっている一方、モメンタムを示す前月比では+0.3%と8月(+0.2%)から加速する見込みだ。雇用者数の伸びの鈍化が限定的であれば、むしろ、米国での年内の追加利上げ観測が高まる可能性がある。その場合、米長期金利が一段と上昇し、新興市場の重しになる可能性があるため、注意が必要だろう。週末にかけては米雇用統計を控えた手仕舞い売りなどに注意したい。
来週の新興市場では値ごろ感からの買いが継続する中、株価調整が進んでおり、なおかつ業績が拡大基調にある時価総額上位の銘柄が注目されやすくなると考える。個別では介護・看護・保育の人材紹介や派遣が主力のトライト<9164>、製造業・建設業向けDX支援やIT人材調達支援が主力のコアコンセプト・テクノロジー<4371>などに注目しておきたい。なお、来週の新規公開株式(IPO)は東証グロース・スタンダード合わせて4社となっている。
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