3. 中期成長イメージ
同社が中期的に基礎的な需要を安定して受注することは可能と予想する。また、中期目標の経常利益15億円は、東日本大震災の復興需要の際の利益水準に匹敵するが、そうした特需でなく、5つの事業戦略によって確保できると考える。理由は、土木事業も建設事業も以下のような環境が中期的に想定されるからである。
土木事業は、主力のガンテツパイル工法が鉄道や道路に使われることが非常に多く、また鉄道事業は遅延することはあっても事業がいきなり減ることはない。2025年3月期に多大な利益貢献した北海道新幹線延伸事業での杭基礎工事は2026年3月期中に終了するが、その後については、リニア中央新幹線、北陸新幹線、四国新幹線など様々な鉄道プロジェクトが中長期的に予定されており、同社としても取り込む準備は進んでいる。このため、今後も十分な受注を確保していけるとの期待が大きい。
建設工事では、現場で発生した残土の処理に関する法規制が厳しくなっており、場外への処理方法や処理量の厳粛化など、業界全体の大きな課題となっている。したがって、いかに発生残土量を減らすかが大きなテーマとなる。新コンクリートパイル中掘り工法は、残土を減らすことができるという優位性があるうえ、高性能なTN-X工法ではコストが見合わなかった物流施設などターゲットが広がるため、受注増加につながることが期待される。売上面では、関東での受注減と関西の大阪湾岸道路西伸部の工期遅れが気になるが、前者は、圏央道など道路が一段落して計画が減っていることが要因で、今後は浄水場の建て替えなど水資源関連の受注が増える見通しである。後者は、工事費上昇による工事採算の問題で需要が先送りされているが、案件が多いため不安はない。利益面では、従来工法の利益率を維持しつつ、新コンクリートパイル中掘り工法のような優位性があり利益が上がる新工法をいかにリリースするかがカギになると思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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