年内は強気の相場展開継続を予想
一方、テクニカルには、騰落レシオが130台で推移している以外、あまり加熱感ありません。緩やかな上げ幅での上昇が続いていることによるのかもしれません。
トランプラリーの胆は金利上昇にあり、それは将来の物価予想の上昇と同意語です。これによってドルやゴールド価格(ドルで測られ、ドルが上がれば下がる商品)、そして銀行や保険会社の業績予想にも大転換が生じています。
物価予想を見る物差しとして、通常の債券と物価連動債(TIPS)の 利回り差を見ることができます。債券は物価が上昇すれば、紙の価値である債券価値も低下しますが、物価に価値を連動させる仕組みの債券が物価連動債です。物価の下がる時にこのTIPSは有効でありませんが、物価上昇が見込まれる時に需要が高まり、一般的な債券のパフォーマンスを大きく上回ります。
米国10年債で見てみると、通常の債券(U.S.10-Year-Note)価格の年初来パフォーマンスが+1.1%なのに対し、同じ10年債のTIPSの方は+4.6%とアウトパフォームしています。これは12年以来の現象であり、過去数年物価は下がると見られていたところから、認識の転換が起きていることを示します。
そしてそれぞれの利回りを見ると、通常の10年債が2.359%となっているのに対し、TIPSの方は0.45%で、その差1.909パーセンテージポイントの差が開いています。この差はトランプラリーによってどんどん拡大して2年間で大きくもなっているのですが、これを「ブレークイーブン・レート」と呼んで物価の予想値として見ることが出来ます。つまり債券投資家は、今後10年間に年率1.9%の物価上昇を見込んできており、それはどんどん上昇してきているのが最近の現象です。
仮に米国の物価上昇率が2%台に戻るとすれば(2%はFRBのターゲットでもあります)、モノの価値は年2%ずつ上がっていくことになりますので、ここ2年18,100~18,600ドルで止まっていたダウは、(ROEや成長率が全く同じでも)10年後に22,000ドルを軽く超えていくことになります。こういう見方に大変化したから毎日ダウが上がっているのですが、さらにトランプの刺激策で米国企業のROEや成長率が高まればもっと上昇できますし、そこにバブル心理が加われば、普段PER15倍で買われていた証券が20倍超で取引されるようになる可能性もあります。
このような流れになると日本株で最も利益を受ける銘柄は金融株や輸出関連の大型株となり、簡単にそれらにレバレッジを賭けて投資出来ることになるレバレッジ型ETFが現在の環境では最も良い投資対象の1つになると思います。