明日の株式相場に向けて=損益通算売り一巡後の株価復元に焦点
きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比453円安の5万0148円と大幅続落。日経平均は一時フシ目の5万円大台を割り込む場面もあった。今週はメジャーSQ算出を週末に控えていることもあり、先物絡みで売り方もしくは買い方による仕掛け的な動きが出やすかった。強弱観が対立するなか、上下どちらの方向に仕掛けが生じるのか週初の段階では定かではなかったが、ここ全体相場の地合いは変調気味であり、年末高を期待するよりも損益通算の売り圧力の方が意識されるムードとなっていた。目ざとくそれに乗って売り方が動いた印象である。
その兆候は週初からあった。半導体関連が総じて買われるなかも日経平均構成比トップのアドバンテスト<6857.T>の上値が妙に重かったことや、同じく日経平均構成比で上位3傑に入るソフトバンクグループ<9984.T>にリバウンド封じの売りが被せられ、ナスダック総合株価指数との連動性が発揮されることなく音無しの状態にあったこと、これらがショート筋優位の雰囲気を醸し出していた。そうしたなか、今週は米国でFOMC開催というイベントドリブン戦略に使う格好のネタが横たわっていた。きょうの日本時間早朝にこのビッグイベントの結果が開示され、米株市場は“買い”で反応したのは周知の通りだ。
FOMCではFRBが3会合連続となる0.25%の追加利下げが濃厚との見方で実際その通りとなったが、これについては日米ともに事前に既定路線として完全に織り込まれた状態にあった。利下げは米株市場にとってはポジティブ材料には違いないが、問題は来年の金融政策に対するガイダンスであり、FRBのスタンスがハト派寄りなのかタカ派寄りなのかで、マーケットの景色も大きく変わってくる。公表されたドットチャートでは中央値で来年と再来年いずれもあと1回ずつの利下げを見込んでいるが、参加者の見解は大きく割れていた。トランプ米政権の思惑とは裏腹に、緩和政策に対して警戒感を持つFRBメンバーも少なくないことが改めて明らかとなった。
ところがその後のパウエル氏の記者会見は、ある意味サプライズであったといえる。「どちらかといえばタカ派寄りの発言をする」(ネット証券ストラテジスト)との予想が多かったのだが、インフレに関して関税による影響で持続的ではないという楽観的な見解を示した。これはマーケットにとっては棚ぼた的なリップサービスともなった。また、今回のFOMCでは短期債の購入開始を発表。これは長期国債購入とは異なり、短期金融市場で高まっていた金利上昇圧力に対応した措置であって、金融緩和目的ではないということを強調しているのだが、もはや懐かしい響きともなっていた「QE(量的緩和)」と同様のイメージは拭えない。株式市場にとって少なくともアゲンストではない。ドリブン効果でNYダウは一時600ドルを上回る上昇をみせ、ナスダック総合株価指数の上げは小幅にとどまったもののマイナス圏からプラス圏に切り返し、S&P500指数については一時最高値を上回る場面もあった。
東京市場もFOMC通過後の米株高は安心材料であり、今週は様子見姿勢に徹していたこともあって上値の伸びしろも大きく、元来であれば日経平均は上放れるのが道理だったが、早朝の225先物の値動きは上値指向ではあったが至っておとなしいものだった。そうこうするうちに、米株市場の引け後に米オラクル<ORCL>が決算を発表し、マーケットの耳目を集めることになる。9~11月期は最終95%増益と言う目の覚める伸びだったが、トップラインの伸び率は14%増にとどまり市場予想に届かなかった。そして、「難癖に近いが、悪材料として大きく喧伝されたのが同期間の同社の設備投資額が予想を上回ったこと」(中堅証券マーケットアナリスト)で、またぞろAIデータセンターへの過剰投資懸念が株価の売り材料に掲げられ、オラクルの株価は時間外で急落を余儀なくされた。
日経平均は大引けこそ下げ渋ったが、取引時間中にフシ目の5万円台を下回る展開で、今回のメジャーSQでショート戦略に舵を切った向きにとっては最終盤で絵に描いたような流れとなった。ただ、今週の個別株の合理から外れた動きはSQ通過後に軌道修正される可能性もある。アドテストは天邪鬼(あまのじゃく)な値動きだが、きょうはソフトバンクGが急落する傍らで、素直に買われたことは先行きに期待を持たせる。グロース市場は惨憺たる状況だが、損益通算の売りも今月26日の権利付き最終売買日まで続くとは思えない。ここからはしたたかに来週以降、年末ゴールに向けた株価復元の動きを先取りする算段で、投資対象として魅力のある深押し銘柄に照準を合わせていきたい。
あすは、株価指数先物とオプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日にあたる。このほかのスケジュールでは、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われるほか、後場取引時間中に10月の鉱工業生産指数(確報値)が開示される。また、後場取引終了後には日本取引所グループ<8697.T>の山道CEOの記者会見が行われる。この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にフィットクルー<469A.T>が新規上場。このほか、個別に神戸物産<3038.T>の決算発表が行われる。なお、毎年恒例の一般行事では京都の清水寺で「今年の漢字」が発表。海外では、インドの11月の消費者物価指数(CPI)が開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
その兆候は週初からあった。半導体関連が総じて買われるなかも日経平均構成比トップのアドバンテスト<6857.T>の上値が妙に重かったことや、同じく日経平均構成比で上位3傑に入るソフトバンクグループ<9984.T>にリバウンド封じの売りが被せられ、ナスダック総合株価指数との連動性が発揮されることなく音無しの状態にあったこと、これらがショート筋優位の雰囲気を醸し出していた。そうしたなか、今週は米国でFOMC開催というイベントドリブン戦略に使う格好のネタが横たわっていた。きょうの日本時間早朝にこのビッグイベントの結果が開示され、米株市場は“買い”で反応したのは周知の通りだ。
FOMCではFRBが3会合連続となる0.25%の追加利下げが濃厚との見方で実際その通りとなったが、これについては日米ともに事前に既定路線として完全に織り込まれた状態にあった。利下げは米株市場にとってはポジティブ材料には違いないが、問題は来年の金融政策に対するガイダンスであり、FRBのスタンスがハト派寄りなのかタカ派寄りなのかで、マーケットの景色も大きく変わってくる。公表されたドットチャートでは中央値で来年と再来年いずれもあと1回ずつの利下げを見込んでいるが、参加者の見解は大きく割れていた。トランプ米政権の思惑とは裏腹に、緩和政策に対して警戒感を持つFRBメンバーも少なくないことが改めて明らかとなった。
ところがその後のパウエル氏の記者会見は、ある意味サプライズであったといえる。「どちらかといえばタカ派寄りの発言をする」(ネット証券ストラテジスト)との予想が多かったのだが、インフレに関して関税による影響で持続的ではないという楽観的な見解を示した。これはマーケットにとっては棚ぼた的なリップサービスともなった。また、今回のFOMCでは短期債の購入開始を発表。これは長期国債購入とは異なり、短期金融市場で高まっていた金利上昇圧力に対応した措置であって、金融緩和目的ではないということを強調しているのだが、もはや懐かしい響きともなっていた「QE(量的緩和)」と同様のイメージは拭えない。株式市場にとって少なくともアゲンストではない。ドリブン効果でNYダウは一時600ドルを上回る上昇をみせ、ナスダック総合株価指数の上げは小幅にとどまったもののマイナス圏からプラス圏に切り返し、S&P500指数については一時最高値を上回る場面もあった。
東京市場もFOMC通過後の米株高は安心材料であり、今週は様子見姿勢に徹していたこともあって上値の伸びしろも大きく、元来であれば日経平均は上放れるのが道理だったが、早朝の225先物の値動きは上値指向ではあったが至っておとなしいものだった。そうこうするうちに、米株市場の引け後に米オラクル<ORCL>が決算を発表し、マーケットの耳目を集めることになる。9~11月期は最終95%増益と言う目の覚める伸びだったが、トップラインの伸び率は14%増にとどまり市場予想に届かなかった。そして、「難癖に近いが、悪材料として大きく喧伝されたのが同期間の同社の設備投資額が予想を上回ったこと」(中堅証券マーケットアナリスト)で、またぞろAIデータセンターへの過剰投資懸念が株価の売り材料に掲げられ、オラクルの株価は時間外で急落を余儀なくされた。
日経平均は大引けこそ下げ渋ったが、取引時間中にフシ目の5万円台を下回る展開で、今回のメジャーSQでショート戦略に舵を切った向きにとっては最終盤で絵に描いたような流れとなった。ただ、今週の個別株の合理から外れた動きはSQ通過後に軌道修正される可能性もある。アドテストは天邪鬼(あまのじゃく)な値動きだが、きょうはソフトバンクGが急落する傍らで、素直に買われたことは先行きに期待を持たせる。グロース市場は惨憺たる状況だが、損益通算の売りも今月26日の権利付き最終売買日まで続くとは思えない。ここからはしたたかに来週以降、年末ゴールに向けた株価復元の動きを先取りする算段で、投資対象として魅力のある深押し銘柄に照準を合わせていきたい。
あすは、株価指数先物とオプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日にあたる。このほかのスケジュールでは、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われるほか、後場取引時間中に10月の鉱工業生産指数(確報値)が開示される。また、後場取引終了後には日本取引所グループ<8697.T>の山道CEOの記者会見が行われる。この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にフィットクルー<469A.T>が新規上場。このほか、個別に神戸物産<3038.T>の決算発表が行われる。なお、毎年恒例の一般行事では京都の清水寺で「今年の漢字」が発表。海外では、インドの11月の消費者物価指数(CPI)が開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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