明日の株式相場に向けて=巨艦トヨタが示す5月相場の有望株
28日の東京株式市場で日経平均株価は前営業日比134円高。米ハイテク株高を支えとして朝方に3万6000円台に乗せた後は伸び悩んだものの、終始プラス圏を維持して取引を終えた。4連騰は1月20~23日以来となる。米国のトランプ大統領が「合意に非常に近い」と述べた日米関税交渉に関しては、赤沢亮正経済再生担当相が30日から訪米しベッセント米財務長官と2度目の会談に臨む予定だ。これに先立つ形でトランプ米大統領は就任100日目となる米国時間29日、ミシガン州で演説を行う。自動車産業の集積地だ。
新政権発足後の「ハネムーン期間」の終了を前に、早くもトランプ政権の支持率は低迷を余儀なくされている。米国民に対し何らかの成果を提示し続けない限り、政権運営は一段と厳しくなると予想される。内政が手詰まりとなった際には、国民の批判の矛先を自国以外に向けるように誘導することが常套手段として選ばれることとなるに違いない。そのような見方に立てば、米国による対中強硬姿勢が早々に緩和することは見込みにくい。トランプ劇場が提供するボラティリティへのお付き合いを強いられる局面はまだ続くこととなるだろう。
相互関税の上乗せ分の一時的な発動停止を契機に日本株は戻り歩調をみせることとなった。足もとの水準で月末を迎えれば月間ベースで日経平均は4カ月ぶりにプラスで終えることとなる。昨年7月の史上最高値と今年4月7日の終値を底として半値戻しとなる水準は3万6680円近辺。相場格言は「半値戻しは全値戻し」と説くが、果たしてどうか。更なる水準訂正には、景気敏感株に対する腰の据わった資金の流入が条件となるはずだ。
景気敏感株の代表格である自動車セクターでは、前週末に豊田自動織機<6201.T>が非公開化を検討していると報じられ、週明け28日の同社株はストップ高に買われた。トヨタ自動車<7203.T>の創業家が買収提案を行ったという。豊田織は歴史的にトヨタを生み出した企業として名高い。半期報告書によるとトヨタは豊田織株を約24%保有する筆頭株主。豊田織はトヨタ株を約9%保有する大株主で持ち合いの関係にある。
東証が上場企業に対し資本効率性を意識した経営を求めるようになり、結果として親子上場の解消に向けた潮流は加速の一途をたどっている。今年2月にはイオン<8267.T>が上場子会社2社の完全子会社化を発表した。報道ベースではあるものの、日本企業の本丸といえるトヨタもとうとう、親子上場問題への対処に迫られることとなったと受け止めることができる。「アクティビストによる株主提案が活発化し、マーケットと上場企業の緊張感がこれまで以上に高まった状態にある。6月下旬の株主総会シーズンにかけて、親子上場が有望な投資テーマとして一段と注目されることとなりそうだ」(国内証券アナリスト)との声が出ている。
個別銘柄でいえば例えば、クスリのアオキホールディングス<3549.T>の昨年11月時点の大株主には、イオンやツルハホールディングス<3391.T>とともに、香港のアクティビストであるオアシス系のファンドの名が存在する。また、日産東京販売ホールディングス<8291.T>は英ニッポン・アクティブによる5%超保有が明らかとなっており、企業側の対応策に注目が集まる。エア・ウォーター<4088.T>の持ち分法適用関連会社であるK&Oエナジーグループ<1663.T>、鈴与グループが主要株主である静岡ガス<9543.T>は好財務ながらPBR(株価純資産倍率)は1倍割れとなっている。今後の株価動向が注視されそうだ。
明日は国内においては昭和の日の祝日のため休場。海外では米国で4月コンファレンスボード消費者信頼感指数や3月JOLTS求人件数が公表される。30日は国内では3月鉱工業生産、3月商業動態統計が発表され、取引時間中に3月建機出荷、3月自動車輸出実績、2月景気動向指数、3月新規住宅着工件数が公表される予定。商船三井<9104.T>や大塚ホールディングス<4578.T>、村田製作所<6981.T>、東京エレクトロン<8035.T>などの決算発表も控えている。このほか、同日から5月1日の日程で日銀の金融政策決定会合が開かれる。(碧)
出所:MINKABU PRESS
新政権発足後の「ハネムーン期間」の終了を前に、早くもトランプ政権の支持率は低迷を余儀なくされている。米国民に対し何らかの成果を提示し続けない限り、政権運営は一段と厳しくなると予想される。内政が手詰まりとなった際には、国民の批判の矛先を自国以外に向けるように誘導することが常套手段として選ばれることとなるに違いない。そのような見方に立てば、米国による対中強硬姿勢が早々に緩和することは見込みにくい。トランプ劇場が提供するボラティリティへのお付き合いを強いられる局面はまだ続くこととなるだろう。
相互関税の上乗せ分の一時的な発動停止を契機に日本株は戻り歩調をみせることとなった。足もとの水準で月末を迎えれば月間ベースで日経平均は4カ月ぶりにプラスで終えることとなる。昨年7月の史上最高値と今年4月7日の終値を底として半値戻しとなる水準は3万6680円近辺。相場格言は「半値戻しは全値戻し」と説くが、果たしてどうか。更なる水準訂正には、景気敏感株に対する腰の据わった資金の流入が条件となるはずだ。
景気敏感株の代表格である自動車セクターでは、前週末に豊田自動織機<6201.T>が非公開化を検討していると報じられ、週明け28日の同社株はストップ高に買われた。トヨタ自動車<7203.T>の創業家が買収提案を行ったという。豊田織は歴史的にトヨタを生み出した企業として名高い。半期報告書によるとトヨタは豊田織株を約24%保有する筆頭株主。豊田織はトヨタ株を約9%保有する大株主で持ち合いの関係にある。
東証が上場企業に対し資本効率性を意識した経営を求めるようになり、結果として親子上場の解消に向けた潮流は加速の一途をたどっている。今年2月にはイオン<8267.T>が上場子会社2社の完全子会社化を発表した。報道ベースではあるものの、日本企業の本丸といえるトヨタもとうとう、親子上場問題への対処に迫られることとなったと受け止めることができる。「アクティビストによる株主提案が活発化し、マーケットと上場企業の緊張感がこれまで以上に高まった状態にある。6月下旬の株主総会シーズンにかけて、親子上場が有望な投資テーマとして一段と注目されることとなりそうだ」(国内証券アナリスト)との声が出ている。
個別銘柄でいえば例えば、クスリのアオキホールディングス<3549.T>の昨年11月時点の大株主には、イオンやツルハホールディングス<3391.T>とともに、香港のアクティビストであるオアシス系のファンドの名が存在する。また、日産東京販売ホールディングス<8291.T>は英ニッポン・アクティブによる5%超保有が明らかとなっており、企業側の対応策に注目が集まる。エア・ウォーター<4088.T>の持ち分法適用関連会社であるK&Oエナジーグループ<1663.T>、鈴与グループが主要株主である静岡ガス<9543.T>は好財務ながらPBR(株価純資産倍率)は1倍割れとなっている。今後の株価動向が注視されそうだ。
明日は国内においては昭和の日の祝日のため休場。海外では米国で4月コンファレンスボード消費者信頼感指数や3月JOLTS求人件数が公表される。30日は国内では3月鉱工業生産、3月商業動態統計が発表され、取引時間中に3月建機出荷、3月自動車輸出実績、2月景気動向指数、3月新規住宅着工件数が公表される予定。商船三井<9104.T>や大塚ホールディングス<4578.T>、村田製作所<6981.T>、東京エレクトロン<8035.T>などの決算発表も控えている。このほか、同日から5月1日の日程で日銀の金融政策決定会合が開かれる。(碧)
出所:MINKABU PRESS
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