明日の株式相場に向けて=防衛・原子力周辺に群がる投資マネー
きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比207円高の3万9367円と続伸。これで12月に入って日経平均は6勝1敗となった。今週末にメジャーSQを控え、先物主導で荒れた値動きも警戒されるところだが、日経平均はしぶとく売り物をこなし強調展開を維持している。もっとも、きょうは値下がり銘柄数が値上がり数を170あまりも上回っており、体感温度的にはむしろ寒風に肩をすぼめるような地合いだった。
目先は空売り筋の手仕舞いの動きも一部で観測されている。半導体関連はその典型であり、前日の米国株市場ではエヌビディア<NVDA>が中国当局に独占禁止法疑惑で標的にされ、これを嫌気されて下落したのだが、東京市場ではディスコ<6146.T>をはじめ半導体主力銘柄は総じて買い戻しが優勢となった。また、安川電機<6506.T>や資生堂<4911.T>などこれまで中国関連として逆風が強かった銘柄にもショートカバーが入った。中国共産党が9日に開いた中央政治局会議で、25年の経済政策について「財政政策の積極化と緩和的な金融政策を行う」とのメッセージを発した。これが好感されたわけだが、何か現時点では取ってつけたような買い材料といえなくもない。実際、両銘柄とも上値は重かった。日本時間のあす夜に開示される11月の米CPIについては、来週のFOMCでの利下げを邪魔するものにはならないという見方が優勢だが、それでもSQ算出を目前に波乱の二文字が脳裏をよぎる。225先物に振り回されない個別株のテーマ物色に資金が集まりやすい。
そうしたなか、IMV<7760.T>が大勢3段上げの様相をみせている。初動から継続的にフォローしてきたが、ここから上値に買いつくのはそれなりのリスクを伴うため押し目を待つか、さもなければ観賞用にとどめておくところではある。ただ、上場来高値圏で戻り売り圧力から解放されたゾーンを走りながらPERなど指標面で割高感がなく、しかも200億円足らずの時価総額を考慮すれば、一段の上値余地を否定することもできない。これまでIMVは、電気自動車(EV)向けや自動車のエレクトロニクス化と並行して技術開発が進展する自動運転分野向けなどが活躍フィールドとして意識されていた。これだけでも成長シナリオは十分描けるが、同社の振動試験装置や計測器には、三菱重工業<7011.T>など総合重機メーカーから受注する形で間接的な「防衛省」関連案件の需要が乗ってきている。以前とは別の切り口でグローバルニッチトップの実力に光が当たり始めている。試験装置の販売だけでなく、テストラボ増設によって受託試験サービスでも防衛向け需要を獲得する準備が進んでいるもようだ。
同社株に限らず、防衛関連株や原子力・エネルギー周辺の中小型株に投資マネーが流れ込んできている。それを示唆するのが、目先再動意している助川電気工業<7711.T>だ。熱制御技術に強い研究開発型メーカーで、原子力関連機器で高い商品競争力を有し、次世代原子炉の研究で使われる核融合関連分野でも製品納入実績が豊富だ。
また、こうなると原子力発電所向けバルブアクチュエーターで9割強の圧倒的商品シェアを有する日本ギア工業<6356.T>も、このまま投資マネーが放置し続けるとは考えにくく、どこかで見せ場を作る可能性がある。日ギアの25年3月期は営業23%減益予想だが、上期時点では2ケタ増益を達成し、株価指標面でもPER5倍台、PBR0.5倍台という格安水準にある。
このほか、同じ系統の銘柄を探すと、東京電力ホールディングス<9501.T>や東北電力<9506.T>を販売先とする岡野バルブ製造<6492.T>もきょうは大きく下押しているものの、前日にマド開け大陽線を示現し、マーケットの視線を集めた経緯がある。押し目買い対象としてチェックしておきたいところだ。
あすのスケジュールでは、11月の企業物価指数が朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、財務省からは10~12月期法人企業景気予測調査が発表される。また、この日から13日までの日程で「セミコン・ジャパン2024」が東京ビッグサイトで開催される。海外では11月の米消費者物価指数(CPI)に対するマーケットの注目度が高い。このほか、11月の米財政収支も発表される。また、米債券市場では米10年物国債の入札も予定されている。カナダ中銀が金融政策決定会合を開催し政策金利を発表。ブラジル中銀も政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
目先は空売り筋の手仕舞いの動きも一部で観測されている。半導体関連はその典型であり、前日の米国株市場ではエヌビディア<NVDA>が中国当局に独占禁止法疑惑で標的にされ、これを嫌気されて下落したのだが、東京市場ではディスコ<6146.T>をはじめ半導体主力銘柄は総じて買い戻しが優勢となった。また、安川電機<6506.T>や資生堂<4911.T>などこれまで中国関連として逆風が強かった銘柄にもショートカバーが入った。中国共産党が9日に開いた中央政治局会議で、25年の経済政策について「財政政策の積極化と緩和的な金融政策を行う」とのメッセージを発した。これが好感されたわけだが、何か現時点では取ってつけたような買い材料といえなくもない。実際、両銘柄とも上値は重かった。日本時間のあす夜に開示される11月の米CPIについては、来週のFOMCでの利下げを邪魔するものにはならないという見方が優勢だが、それでもSQ算出を目前に波乱の二文字が脳裏をよぎる。225先物に振り回されない個別株のテーマ物色に資金が集まりやすい。
そうしたなか、IMV<7760.T>が大勢3段上げの様相をみせている。初動から継続的にフォローしてきたが、ここから上値に買いつくのはそれなりのリスクを伴うため押し目を待つか、さもなければ観賞用にとどめておくところではある。ただ、上場来高値圏で戻り売り圧力から解放されたゾーンを走りながらPERなど指標面で割高感がなく、しかも200億円足らずの時価総額を考慮すれば、一段の上値余地を否定することもできない。これまでIMVは、電気自動車(EV)向けや自動車のエレクトロニクス化と並行して技術開発が進展する自動運転分野向けなどが活躍フィールドとして意識されていた。これだけでも成長シナリオは十分描けるが、同社の振動試験装置や計測器には、三菱重工業<7011.T>など総合重機メーカーから受注する形で間接的な「防衛省」関連案件の需要が乗ってきている。以前とは別の切り口でグローバルニッチトップの実力に光が当たり始めている。試験装置の販売だけでなく、テストラボ増設によって受託試験サービスでも防衛向け需要を獲得する準備が進んでいるもようだ。
同社株に限らず、防衛関連株や原子力・エネルギー周辺の中小型株に投資マネーが流れ込んできている。それを示唆するのが、目先再動意している助川電気工業<7711.T>だ。熱制御技術に強い研究開発型メーカーで、原子力関連機器で高い商品競争力を有し、次世代原子炉の研究で使われる核融合関連分野でも製品納入実績が豊富だ。
また、こうなると原子力発電所向けバルブアクチュエーターで9割強の圧倒的商品シェアを有する日本ギア工業<6356.T>も、このまま投資マネーが放置し続けるとは考えにくく、どこかで見せ場を作る可能性がある。日ギアの25年3月期は営業23%減益予想だが、上期時点では2ケタ増益を達成し、株価指標面でもPER5倍台、PBR0.5倍台という格安水準にある。
このほか、同じ系統の銘柄を探すと、東京電力ホールディングス<9501.T>や東北電力<9506.T>を販売先とする岡野バルブ製造<6492.T>もきょうは大きく下押しているものの、前日にマド開け大陽線を示現し、マーケットの視線を集めた経緯がある。押し目買い対象としてチェックしておきたいところだ。
あすのスケジュールでは、11月の企業物価指数が朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、財務省からは10~12月期法人企業景気予測調査が発表される。また、この日から13日までの日程で「セミコン・ジャパン2024」が東京ビッグサイトで開催される。海外では11月の米消費者物価指数(CPI)に対するマーケットの注目度が高い。このほか、11月の米財政収支も発表される。また、米債券市場では米10年物国債の入札も予定されている。カナダ中銀が金融政策決定会合を開催し政策金利を発表。ブラジル中銀も政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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