明日の株式相場に向けて=「防衛関連株」の裾野に広がる鉱脈
きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比119円高の3万9395円と4日続伸。気が付けば日経平均は12月に入ってから安い日がない。きょうは寄り付き直後に高値をつける“寄り天”状態となったのだが、それでも大引けにしぶとくプラス圏で着地するあたり、売り方の立場であれば焦燥感にかられるところかもしれない。
米国株市場の上昇に拍車がかかっている。これまでは、買われている銘柄をみても景気敏感株が有利な時と、ハイテク株の好調が目立つ時とが交互に訪れる感じで、指数で言えばNYダウが上値指向を強めている時は相対的にナスダック総合株価指数が出遅れ、ナスダック指数の上げ足に勢いがつくと、ダウの方は動きが鈍くなるというパターンが多く見られた。しかし、直近はもう猫も杓子も十把一絡(ひとから)げに上がる相場で、両指数ともに一緒に坂道を駆け上がるような状況となっている。当然ながらS&P500指数も最高値圏を走っている。そうしたなか、特徴的なのはフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の動向であり、今年7月上旬につけた最高値5904はおろか、10月中旬につけた戻り高値5445にも届いていない。「エヌビディア・エフェクト」はAI用半導体というエポックの象徴としてなお絶大な影響力を及ぼしているが、同社の劇的な「成長スピード」も峠を越えたという認識が、半導体セクターから覇気を奪っているようだ。
ただし、米国では半導体関連株の人気復活が実現しない段階でも、全体指数はフィーバー状態に近いブル相場が演出されている。日本の場合は半導体関連セクターの値動きと日経平均やTOPIXの値動きはかなり連動性が高い。これは底値圏もみ合いを続ける日経半導体株指数と、日経平均やTOPIXの波動を見比べれば一目瞭然だ。SOX指数とダウやナスダック指数のトレンドにほとんど相関が見られないのとは対照的である。しかし、東京市場においても半導体関連の上値が重いからといって、その他のセクターも冴えない動きを強制されるということはない。個別株は指数の動向とはまた別次元である。
きょうは三菱重工業<7011.T>が後場に利食いで値を消したものの、前場に約3週間ぶりに上場来高値を更新した。川崎重工業<7012.T>、IHI<7013.T>は上場来高値には届いていないが、いずれも急勾配のリバウンド局面に転じている。今週の初めにスウェーデンのストックホルム国際平和研究所が、世界の兵器メーカー上位100社の収益が2023年に前年比4%あまり増加し、日本円換算で約95兆円だったことを公表。そのなか、三菱重や川重など日本企業5社の兵器による収益合計は同35%増と大幅拡大し、約1兆5000億に達したことが伝えられた。24年、そして25年はこの金額よりも更に膨らむことが確実というコンセンサスによって「防衛関連」というテーマが一段と強靱化されている。
関連銘柄では防衛関連という範疇では伏兵だったIMV<7760.T>が想定以上の物色人気となり、8月初旬以降の戻り相場で時価総額を短期間で倍化させた。倍化しても今の時価総額は200億円未満である。動電型振動試験装置で世界トップクラスの競争力に耳目が集まっている。その実力が国家安全保障という錦の御旗のもとで開花することは、それは理想買いの段階としても株高ストーリーとして申し分がない。
このIMV効果は他の銘柄にも伝播するタイミングが訪れることが予想され、既にその緒に就いた状況にもみえる。ここからは出遅れ銘柄に目が向くところであり、防衛関連という物色テーマの持続性が保たれる中で、投資資金が流れ込む蓋然性は非常に高い。いわゆる待ち伏せ買いで妙味を内包している銘柄としては、防衛省向け訓練・救難用発煙筒などで受注を積み上げる細谷火工<4274.T>、情報システム関連など防衛装備品を提供する日本アビオニクス<6946.T>、US-2型救難飛行艇などで防衛省との取引実績が豊富な新明和工業<7224.T>、防塵・防毒マスクで高シェアを確保する重松製作所<7980.T>、官公庁向けで強みを持つ技術商社でドローンなど新技術分野に定評がある理経<8226.T>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、10月の家計調査、10月の毎月勤労統計、11月上中旬の貿易統計、10月の景気動向指数速報値など。海外では7~9月期のユーロ圏実質国内総生産(GDP)確報値、10月の独鉱工業生産指数が発表されるほか、米国では11月の雇用統計にマーケットの関心が高い。12月のミシガン大学・米消費者態度指数速報値、10月の米消費者信用残高なども開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
米国株市場の上昇に拍車がかかっている。これまでは、買われている銘柄をみても景気敏感株が有利な時と、ハイテク株の好調が目立つ時とが交互に訪れる感じで、指数で言えばNYダウが上値指向を強めている時は相対的にナスダック総合株価指数が出遅れ、ナスダック指数の上げ足に勢いがつくと、ダウの方は動きが鈍くなるというパターンが多く見られた。しかし、直近はもう猫も杓子も十把一絡(ひとから)げに上がる相場で、両指数ともに一緒に坂道を駆け上がるような状況となっている。当然ながらS&P500指数も最高値圏を走っている。そうしたなか、特徴的なのはフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の動向であり、今年7月上旬につけた最高値5904はおろか、10月中旬につけた戻り高値5445にも届いていない。「エヌビディア・エフェクト」はAI用半導体というエポックの象徴としてなお絶大な影響力を及ぼしているが、同社の劇的な「成長スピード」も峠を越えたという認識が、半導体セクターから覇気を奪っているようだ。
ただし、米国では半導体関連株の人気復活が実現しない段階でも、全体指数はフィーバー状態に近いブル相場が演出されている。日本の場合は半導体関連セクターの値動きと日経平均やTOPIXの値動きはかなり連動性が高い。これは底値圏もみ合いを続ける日経半導体株指数と、日経平均やTOPIXの波動を見比べれば一目瞭然だ。SOX指数とダウやナスダック指数のトレンドにほとんど相関が見られないのとは対照的である。しかし、東京市場においても半導体関連の上値が重いからといって、その他のセクターも冴えない動きを強制されるということはない。個別株は指数の動向とはまた別次元である。
きょうは三菱重工業<7011.T>が後場に利食いで値を消したものの、前場に約3週間ぶりに上場来高値を更新した。川崎重工業<7012.T>、IHI<7013.T>は上場来高値には届いていないが、いずれも急勾配のリバウンド局面に転じている。今週の初めにスウェーデンのストックホルム国際平和研究所が、世界の兵器メーカー上位100社の収益が2023年に前年比4%あまり増加し、日本円換算で約95兆円だったことを公表。そのなか、三菱重や川重など日本企業5社の兵器による収益合計は同35%増と大幅拡大し、約1兆5000億に達したことが伝えられた。24年、そして25年はこの金額よりも更に膨らむことが確実というコンセンサスによって「防衛関連」というテーマが一段と強靱化されている。
関連銘柄では防衛関連という範疇では伏兵だったIMV<7760.T>が想定以上の物色人気となり、8月初旬以降の戻り相場で時価総額を短期間で倍化させた。倍化しても今の時価総額は200億円未満である。動電型振動試験装置で世界トップクラスの競争力に耳目が集まっている。その実力が国家安全保障という錦の御旗のもとで開花することは、それは理想買いの段階としても株高ストーリーとして申し分がない。
このIMV効果は他の銘柄にも伝播するタイミングが訪れることが予想され、既にその緒に就いた状況にもみえる。ここからは出遅れ銘柄に目が向くところであり、防衛関連という物色テーマの持続性が保たれる中で、投資資金が流れ込む蓋然性は非常に高い。いわゆる待ち伏せ買いで妙味を内包している銘柄としては、防衛省向け訓練・救難用発煙筒などで受注を積み上げる細谷火工<4274.T>、情報システム関連など防衛装備品を提供する日本アビオニクス<6946.T>、US-2型救難飛行艇などで防衛省との取引実績が豊富な新明和工業<7224.T>、防塵・防毒マスクで高シェアを確保する重松製作所<7980.T>、官公庁向けで強みを持つ技術商社でドローンなど新技術分野に定評がある理経<8226.T>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、10月の家計調査、10月の毎月勤労統計、11月上中旬の貿易統計、10月の景気動向指数速報値など。海外では7~9月期のユーロ圏実質国内総生産(GDP)確報値、10月の独鉱工業生産指数が発表されるほか、米国では11月の雇用統計にマーケットの関心が高い。12月のミシガン大学・米消費者態度指数速報値、10月の米消費者信用残高なども開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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