「利上げしないのが、チョー居心地よい」
日経平均の日足チャートでは、下方の窓(19294.15円-19389.74円)を完全に埋める動き。強い調整一巡感が漂っており、寄り付き付近が押し目買いの好機であったことを示している。今度は上方の窓(19737.54円―20033.29円)を埋める順番であり、目先は窓上限まで一気に駆け上がる可能性がある。
ただ、現実問題として地政学的リスクが高まっているのは事実である。現在はパリのテロということで“点”であるのだが、これが後日、再び発生することになれば、“線”となる。そして、あらゆる場所でテロが発生すれば“面”となり、いずれは“立体”として大規模戦争が発生することになるだろう。
もちろん、米・イスラエルの軍事エリートたちは、そういったシナリオを望んでいる。「テロの実行犯がシリア難民のパスポートを所有」という報道からも分かるとおり、一般ピープル向けのプロパガンダは進んでいるのだ。「イスラム国は悪いヤツだ」「難民に偽装して入国してくる」「徹底的に叩かなければ」というロジックが展開され、いずれ米軍を中心に大規模シリア攻撃をすることになるのだろう。そこで大量の武器・弾薬を使い、在庫一斉セールが行われるのである。そうでないと軍事大国アメリカ様が保たない。
今回のテロの技術レベルはかなり低い。9・11のビル破壊と比べたら、言葉は悪いが「幼稚」すぎるものだ。そのことからも、急いで行われた感が否めない。イスラム国に対しては、先日、ロシアが空爆を開始。それなりの成果があったと報道されている。アメリカが掃討展開しているのも関わらず、まだイスラム国が生き残っているので、プーチンが「だったら俺が叩いてやる」とばかりに、攻撃してしまった。そしたら、それなりの効果が出たのである。イスラム国を叩くのは、いとも簡単だったというわけだ。だけど、影でイスラム国を支援している米好戦派からしてみればまったく面白くない。なので、そのなかの要人から「俺たちのIS、アルカイダに手を出すな」的な発言が飛び出したのである。ロシアがイスラム国を壊滅させてしまう前に、何とかして存在感を出さなければならなかったのだ。だから、即席のパリ同時多発テロが発生した――そうとも考えられるのである。
米国にとって「戦争」とは、帝国存続のための栄養源なのである。もちろん米国に住む多くの人々は善良な市民であるのだが、国を巣食っているヤツらは、米政府そのものを支配し、既得権益を享受している。
その利益の源泉になるのが、米国債とドルのバーター取引である。金融市場では「QE3」という”いかにも“の名前がついているが、やっていることはチリ紙交換と同じレベル。米国債・ドルという”紙切れ“が価値のあるものと人々に信じ込ませ、それを刷って交換することによって無限の利益を得ることができるのだ。そのお金で米政府を乗っ取り、その錬金システムそのものを担保してきたのである。だから、その権利をそう簡単に手放したくない。
ただ、あまり大量のお金を刷ると、貨幣の健全性が失われてしまう。だから、その健全性が損なわれないように、うまくコントロールするしかない。その手段のひとつとして使われているのが、「利上げ」なのである。
お金というのは「高いところ」に流れる習性がある。金利の高いところにお金が集まるのだ。だから、「利上げをする」と言うと、その通貨が高くなる傾向がある。つまり、ドル高になるのだ。利上げを宣言しただけで通貨が高くなるのだから、これを使わない手はない。実際に利上げをすると、金利上昇を招き、景気の失速、いずれは米国債の暴落に繋がる可能性があり、危険すぎてできない。だから、「利上げする」と言い続ければ、その効果はある程度持続させることができる。なので、「利上げの寸止め」が常時行われているのである。切り札を切らずに、それなりの効果が得られるというわけだ。現在、12月の米利上げの確率は70%程度と言われている。だが、実際にはどうなのだろうか。個人的には「利上げやるやる詐欺」は、可能な限り続けると考えている。それが彼らにとってチョー居心地がいいからである。