個人投資家が芋づる式になだれ込み・・・
日経平均の日足チャートでは、窓を空けて上昇。ローソク足では大陽線が出現しており、先高観の強いチャート形状となっている。いよいよ大台の2万円が目前に迫っており、市場のテンションは高まるばかり。マスコミが「ついに2万円の大台回復」と大見出しを打って、「アベノミクスの成果」を強調する日も近づいてきたというわけだ。その結果、初心者を含めた個人投資家が芋づる式に市場へとなだれ込み、その後の上昇を牽引することになるのだろう。
だが、そんな相場は長くは続かない。続いたとしても1ヶ月、長くても3ヶ月程度だろう。もともとこの相場は、中央銀行がお金をバラ撒いているバブル相場。「イカサマ相場」といっても過言ではなく、作られた官製相場なのだ。最終的には中央銀行の信頼が失墜する形で、このバブル相場は終焉を迎えるわけだが、日本独自の要因でいえば、アベさんに何かあれば、市場は敏感に反応してしまう。いわば「アベノミクスの言いだしっぺ」が失脚すれば、この相場も簡単に終わってしまうのだ。
また、世界的な視点でみれば、いまは株式だけが独歩高を演じている状態。各国中央銀行がいわゆる「量的緩和」を行っており、紙幣と債券をバーター、虚構のマネーを大量発行しているからだ。仮に中央銀行に対して「永遠の信頼」が置けるのであれば、この大量発行も「是」とできる部分はある。しかし、紙幣と債券(国債)を無尽蔵にバーターしまくれば、それはすなわち経済の教科書では“禁じ手”といわれる「財政ファイナンス」を行っていることになり、いずれハイパーインフレという形で“破綻”してしまうのだ。日本のみならず欧州、米国の“ジンバブエ化”も絵空事ではないのである。
その一方で、煽りを受けているのが、金価格である。08年のリーマンショック以降、いわゆる「質への逃避」から買われる場面もあったが、足元では軟調な推移を強いられている。これだけ緩和マネーが潤っているのになぜなのか?それはロンドン市場において欧州系の銀行が談合で価格を抑えてきたからである。金価格が上昇すると、実体のないドルやユーロなどのペーパーマネーの信頼が落ちてしまうので、意図的に価格を下落させていたのだ。国際金融を牛耳っている連中からしてみれば、投資家が金に群がるのはどうしても避けたいところ。だから、金価格を意図的に押し下げ、これらペーパーマネーの価値を保ってきた。これが、金価格が上昇しない主な理由である。