―「食品消費税ゼロ化」は超党派で議論、改憲機運拡大で問われるバランス感覚―
自民党が衆院選で歴史的な勝利を遂げた。経済成長路線の継続と政権基盤の安定化を好感した海外勢による買いが優勢となり、日経平均株価は急伸。史上最高値を更新し、6万円の大台乗せが視界に入った。長期的な株高トレンドの継続の前提条件となるのが債券市場の安定化だ。消費減税を巡る高市首相の発言が「前のめり」なものから現実路線に修正し、金利上昇を抑制できるか、マーケットは注視している。
●「半年程度は株高」の声
日経平均は前週末比2110円26銭高の5万6363円94銭と、終値の最高値を更新した。取引時間中としての最高値は5万7337円07銭で、朝方に上げ幅は一時3000円超に拡大。プライム市場の売買代金は10兆円を超える大商いだった。
事前の選挙情勢報道で自民党と日本維新の会の連立与党の大勝自体は株式市場に織り込まれていたものの、自民単独で全体の3分の2以上となる316議席となり、戦後最多の議席数確保となったことは大きなサプライズとなった。前週末の米株式市場でNYダウが史上初めて5万ドル台を突破したことも追い風となり、「持たざるリスク」を意識する投資家の群集心理が働いた。
アベノミクスの後継者と位置付けられてきた高市首相が示す政策に対し、選挙というシステムで民意が得られた意味は大きい。証券街・兜町では「景気拡大期待を背景に、テクニカル的な過熱感やバリュエーション面での割高感をこなしながら、半年程度の株価上昇が期待できる」(中堅証券ストラテジスト)との声も聞こえてくる。
もっとも今回の選挙戦では高市首相による「口禍」もあった。自民党による食品消費税の2年間ゼロ化検討の公約化で財政懸念が広がり、超長期金利が急上昇するなど市場に動揺が走ったなか、川崎市内での演説での円安「ホクホク」発言は、その真意はともあれ、マーケットを不用意に刺激する思慮に欠いた表現であると批判する向きも少なくはなかった。
2年間の消費税ゼロ化に関して高市首相は、超党派による「国民会議」を設置し、その中で実現に向けて議論を加速させる考えを示している。財源をどう手当てするべきか、今後の議論は紆余曲折も見込まれるが、高市政権が必要以上に消費減税にこだわる必要性が選挙前との比較で薄れたのも事実だ。政権側が日本の財政状況という現実を踏まえた政策運営に転向すれば、金利急上昇のリスクを抑えられるようになる。
●「給付付き税額控除」が落としどころか
日本総合研究所の石川智久調査部長は「政権の安定化はマーケットにはポジティブ」としつつ、「自民党内には一定数の財政再建派が存在しており、財政の大盤振る舞いができるかというとそうでもない」と指摘。食品消費税の2年間ゼロ化について、公約の表現が「検討を加速」となっているのを踏まえ「(自民党は)『絶対にやる』という姿勢ではなく、実現できるかどうか不透明感がある。財政支出額を抑えられる低所得者向けの給付付き税額控除が落としどころになるのではないか」との見方を示す。
国内メディア各社の報道によると今月中旬に特別国会が召集され、首相指名選挙を経て第2次高市内閣が発足する見通しだ。特別国会を続けて暫定予算を組み、5月の大型連休前に26年度予算の成立を目指す方針が伝わっている。海外に目を転じると、2月15~23日が中国において春節による休暇期間となる。25日に予定される米エヌビディア
中国では3月5日から全人代(日本の国会に相当)が始まるほか、日米欧の中央銀行による金融政策決定会合も予定されている。更に19日に高市首相とトランプ米大統領が会談に臨む方向で調整が進んでいるもようだ。この近辺で、「対米投融資案件第1号」に関するアナウンスがあると市場では期待されている。一方、3月期末に向け、銀行や生保などが保有する超長期債について、減損処理が実施されるとの観測がある。超長期金利の上昇が長期金利に波及すれば、日本株の上値を圧迫する要因となりうる。
自民党が衆院の3分の2以上の議席を得たことで、憲法改正に向けた議論も活発化しそうだ。実際の改正には、衆参両院での3分の2以上の賛成と国民投票での過半数の賛成を得る必要がある。仮に経済が失速すれば、改憲に向けた国民の合意形成が難しくなる。それだけに、改憲議論と経済政策の実行の「バランス感覚」が求められることになる。
●改憲機運は防衛関連株に追い風か
改憲機運の高まりのなかで、高市首相とマーケットが適度な距離感を保ち、金利の急上昇が回避されるという楽観シナリオに基づくと、やはり目を離せないのは 防衛関連株となる。9日の東京市場では、今期の最終利益と配当予想を増額修正した川崎重工業 <7012> [東証P]が急伸。三菱重工業 <7011> [東証P]は5000円の大台乗せ後は伸び悩んだものの、IHI <7013> [東証P]を含めて重工大手3社はそろって上場来高値を更新した。サイバーセキュリティー関連のFFRIセキュリティ <3692> [東証G]が逆行安となるなど、いわゆる「高市関連銘柄」の一角には安いものもあったが、それでも4~12月期決算発表シーズンも終盤に差し掛かり、投資家の個別株物色は旺盛な状態にある。
3月の日米首脳会談に向けて、日米両政府が合意した約86兆円規模の対米投融資に関する第1号案件も投資家の注目を集めている。すでに人工ダイヤの生産施設の米国内での建設や、米南部での港湾建設、AIデータセンター向けに電力を送るガス発電の各案件が候補となっていると報じられている。ガス発電での参画企業ではソフトバンクグループ <9984> [東証P]と米GEベルノバ
GEに関しては、日立製作所 <6501> [東証P]が発電分野で深い関係を構築してきた経緯があり、国内では天然ガス発電所の運営に参画する企業として石油資源開発 <1662> [東証P]などがある。人工ダイヤはイーディーピー <7794> [東証G]がすでに物色人気化しており、ダイヤモンド単結晶を工業化した住友電気工業 <5802> [東証P]はデータセンター需要も追い風に株価は騰勢を強めている。港湾建設では海上土木最大手の五洋建設 <1893> [東証P]が1995年以来の高値圏で推移。東亜建設工業 <1885> [東証P]は前週末6日の好決算の発表を受けて株価は急伸、青天井圏にある。日本株が異彩高を示す局面において、国策に関連する銘柄群はすでに株価水準を切り上げたものが多いとはいえ、引き続き多くの投資家からマークされることになりそうだ。
株探ニュース
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
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1662
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2,042.0
(15:30)
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-8.0
(-0.39%)
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1885
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4,200.0
(15:30)
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+455.0
(+12.14%)
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1893
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1,930.0
(15:30)
|
+93.0
(+5.06%)
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3692
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9,490.0
(15:30)
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-490.0
(-4.90%)
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5802
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8,367.0
(15:30)
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+827.0
(+10.96%)
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6501
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5,818.0
(15:30)
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+451.0
(+8.40%)
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7011
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4,970.0
(15:30)
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+152.0
(+3.15%)
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7012
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16,955.0
(15:30)
|
+2,305.0
(+15.73%)
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7013
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4,288.0
(15:30)
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+342.0
(+8.66%)
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7794
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1,347.0
(15:30)
|
+300.0
(+28.65%)
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9984
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4,251.0
(15:30)
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+252.0
(+6.30%)
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