円も茨の道へ【フィスコ・コラム】
配信元:フィスコ
投稿:2026/01/18 09:00
*09:00JST 円も茨の道へ【フィスコ・コラム】
年明け以降、ドル・円相場の底堅さが目立ち、心理的節目の160円に差し掛かっています。背景にあるのは、日本の財政悪化懸念による円売り。来る総選挙に向け、高市政権への支持拡大なら円売りは続くとみられるものの、予断を許せず円の方向感は乏しいでしょう。
2026年のドル・円は156円60銭で寄り付き、156円台でもみ合った後に堅調地合いを強めました。高市首相の台湾有事を巡る発言をきっかけに中国との関係が悪化し、昨年末にかけて円売りに振れやすい状況でした。そこへ、高市氏が1月23日に召集される通常国会の冒頭に衆院を解散するとの報道が市場を駆け巡ると、高支持率の現政権が積極財政を進めるとの思惑が株高・円安を招いたのです。
ただ、2月に想定される総選挙は現時点で先読み不能。高市氏自身の人気は高いものの、自民党は宗教団体への政治資金流用の問題をあやふやにしており、政党支持率は低空飛行のまま。内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計が50を下回ると政権が倒れる、とする「青木の法則」に従えば、「高市氏+不人気の自民党」でも単独過半数に押し戻すのではないかとの思惑が広がります。
そうしたシナリオを描く市場は財政出動をにらんで株買いを進め、円売りを急ぎました。その結果が現在の状況です。米国ではトランプ大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の更迭を織り込み、ドル売りに振れやすい展開が今後も進むでしょう。それでも、日中関係の悪化と高市政権の支持拡大への思惑から、円売り地合いは変わらず。円安牽制を受けても、ドル・円は160円を目指す展開です。
ですが、総選挙の先行事例になりそうな直近の選挙をみると、円売りには二の足を踏むかもしれません。歴代の首相を多く生み出した群馬県の前橋市長選で、既婚男性とホテルで密会が報じられた現職の女性候補が大勝。一方、立憲民主党と公明党の合流により、自民党は都市部で苦戦を強いられる見通しです。地方でも政治資金絡みの汚点を払拭できず、高市政権は選挙を境に失速もあり得ます。
円の値動きとは高市氏の政治生命はまさに一蓮托生。円は高市政権への期待を映す鏡である一方、政権基盤の揺らぎが意識されれば円売りも急速に後退しかねません。総選挙を前に、市場は楽観だけでポジションを積み上げにくくなっており、円は方向感を失いやすい局面に入っています。円にとっては、上にも下にも容易に進めない「茨の道」が想定されます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
<CN>
2026年のドル・円は156円60銭で寄り付き、156円台でもみ合った後に堅調地合いを強めました。高市首相の台湾有事を巡る発言をきっかけに中国との関係が悪化し、昨年末にかけて円売りに振れやすい状況でした。そこへ、高市氏が1月23日に召集される通常国会の冒頭に衆院を解散するとの報道が市場を駆け巡ると、高支持率の現政権が積極財政を進めるとの思惑が株高・円安を招いたのです。
ただ、2月に想定される総選挙は現時点で先読み不能。高市氏自身の人気は高いものの、自民党は宗教団体への政治資金流用の問題をあやふやにしており、政党支持率は低空飛行のまま。内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計が50を下回ると政権が倒れる、とする「青木の法則」に従えば、「高市氏+不人気の自民党」でも単独過半数に押し戻すのではないかとの思惑が広がります。
そうしたシナリオを描く市場は財政出動をにらんで株買いを進め、円売りを急ぎました。その結果が現在の状況です。米国ではトランプ大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の更迭を織り込み、ドル売りに振れやすい展開が今後も進むでしょう。それでも、日中関係の悪化と高市政権の支持拡大への思惑から、円売り地合いは変わらず。円安牽制を受けても、ドル・円は160円を目指す展開です。
ですが、総選挙の先行事例になりそうな直近の選挙をみると、円売りには二の足を踏むかもしれません。歴代の首相を多く生み出した群馬県の前橋市長選で、既婚男性とホテルで密会が報じられた現職の女性候補が大勝。一方、立憲民主党と公明党の合流により、自民党は都市部で苦戦を強いられる見通しです。地方でも政治資金絡みの汚点を払拭できず、高市政権は選挙を境に失速もあり得ます。
円の値動きとは高市氏の政治生命はまさに一蓮托生。円は高市政権への期待を映す鏡である一方、政権基盤の揺らぎが意識されれば円売りも急速に後退しかねません。総選挙を前に、市場は楽観だけでポジションを積み上げにくくなっており、円は方向感を失いやすい局面に入っています。円にとっては、上にも下にも容易に進めない「茨の道」が想定されます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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