明日の株式相場に向けて=静寂の主力株、活況呈す「ミーム系材料株」
きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比162円高の3万8963円と続伸。売買代金に厚みも加わり、全般しっかりした地合いではあるのだが、日経平均は75日移動平均線を絡めたもみ合いであることに変わりなく気迷いムードが拭えない。
欧州ではトランプ関税への警戒感は日本よりもはるかに強いはずだが、そうしたなかでドイツの主要株価指数であるDAXは連日で史上最高値を更新、同じく英国の主要株価指数であるFTSE100も最高値を更新している。政局に揺れるフランスが出遅れている以外は、各国の株価指数は総じて快調に上値を伸ばしている。フランスも年初来でみればCAC40が高値圏を舞っており、中長期トレンドでも昨年5月下旬以来、約9カ月ぶりの水準まで出直っている。比べて日本は別世界の趣きだ。日経平均は5カ月近くにわたり狭いレンジをひたすら横に這う状態が続いている。
欧州は利下げカードが手の内に豊富にあり、漸次それを場に晒していける強みが株式市場に安心感を与えている。トランプ関税には警戒を怠れないが、本音の部分では何とかなると思っているフシがある。一方、東京市場には高揚感が感じられない。日銀のタカ派傾斜を感じ取って新発10年債利回りがジリジリと上昇、足もと1.340%まで水準を切り上げ、投資家のセンチメントを冷やしている。先の日米首脳会談もトランプ米大統領が石破首相に対するリスペクトを忘れなかったという観点でポジティブに評価されているが、これが日本の国益に値するかというと全くそういうことではない。むしろ1兆ドルの対米投資を打ち出して、「トランプ氏が掲げるアメリカファーストの演出に一役買っただけの会談」(中堅証券ストラテジスト)という辛口の意見も聞かれる。
実際、トランプ氏は石破首相との会談を終えたわずか数日後に、鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%の追加関税を輸入品すべてに適用する大統領令に署名、日本も例外に属してはいない。本丸である自動車に対する追加関税にもトランプ氏が遠慮するような雰囲気はなく、きょうはトヨタ自動車<7203.T>をはじめ自動車株は見送りムードに染まった。ひと言で言えば覇気がない。今週末14日にオプションSQ算出を控えるなか、売り方と買い方の思惑が錯綜するような先物絡みの攻防戦が見られず、かといって決算発表シーズン特有の主力株に対するモチベーションが盛り上がるような地合いとも掛け離れている。
そのなか、一つの拠りどころとしては、狭いレンジ相場で硬直する日経平均を横にらみにグロース指数が戻り足を強めていることだ。ネット証券大手による信用評価損益率の直近データは、全市場ベースではマイナス5.2%、グロース市場ベースではマイナス12.1%となっている。グロース市場の評価損益率は、ともするとマイナス20%を超えることが茶飯事だったが、足もとでかなり改善が進んでいることが分かる。需給思惑先行のミーム相場的な要素は強いが、強烈な上昇パフォーマンスをみせる銘柄が相次いで輩出されている。
グロース市場ではビットコイン周辺株やAI関連、バイオ関連などに太い資金が流れ込んでいる。note<5243.T>が大相場に突入しているが、これは米グーグルとの資本・業務提携が株価変身のきっかけとなった。noteの例と背景は違っても、今のマーケットは資本移動ラッシュ、特にTOBが頻発化していることで、決算プレーよりも煮えたぎったホットマネーが中小型株をターゲットに押し寄せている。グロース市場の復活はこのTOBラッシュ効果によって、貸株調達による空売り筋が手仕舞いを強いられていることも大きいようだ。個別株では継続フォローしてきた免疫生物研究所<4570.T>が上げ足を一気に強めるなか、割り切りが必要ながらオンコリスバイオファーマ<4588.T>あたりもマークか。また、ゲーム関連ではエディア<3935.T>に妙味が漂う。イマジニア<4644.T>の1000円絡みも狙い目といえそうだ。300円台の低位株ではネット広告分野で活躍の場を広げ、グーグルの認定パートナーでもあるゲンダイエージェンシー<2411.T>に意外性がある。
あすのスケジュールでは、1月の企業物価指数が朝方取引開始前に開示される。個別企業の決算発表では日産自動車<7201.T>、ホンダ<7267.T>のほか、ソニーグループ<6758.T>などに注目。海外ではフィリピン中銀の政策金利発表、10~12月期英国内総生産(GDP)速報値、週間の米新規失業保険申請件数、1月の米生産者物価指数(PPI)などにマーケットの関心が高い。このほか、米債券市場では30年債の入札が行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
欧州ではトランプ関税への警戒感は日本よりもはるかに強いはずだが、そうしたなかでドイツの主要株価指数であるDAXは連日で史上最高値を更新、同じく英国の主要株価指数であるFTSE100も最高値を更新している。政局に揺れるフランスが出遅れている以外は、各国の株価指数は総じて快調に上値を伸ばしている。フランスも年初来でみればCAC40が高値圏を舞っており、中長期トレンドでも昨年5月下旬以来、約9カ月ぶりの水準まで出直っている。比べて日本は別世界の趣きだ。日経平均は5カ月近くにわたり狭いレンジをひたすら横に這う状態が続いている。
欧州は利下げカードが手の内に豊富にあり、漸次それを場に晒していける強みが株式市場に安心感を与えている。トランプ関税には警戒を怠れないが、本音の部分では何とかなると思っているフシがある。一方、東京市場には高揚感が感じられない。日銀のタカ派傾斜を感じ取って新発10年債利回りがジリジリと上昇、足もと1.340%まで水準を切り上げ、投資家のセンチメントを冷やしている。先の日米首脳会談もトランプ米大統領が石破首相に対するリスペクトを忘れなかったという観点でポジティブに評価されているが、これが日本の国益に値するかというと全くそういうことではない。むしろ1兆ドルの対米投資を打ち出して、「トランプ氏が掲げるアメリカファーストの演出に一役買っただけの会談」(中堅証券ストラテジスト)という辛口の意見も聞かれる。
実際、トランプ氏は石破首相との会談を終えたわずか数日後に、鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%の追加関税を輸入品すべてに適用する大統領令に署名、日本も例外に属してはいない。本丸である自動車に対する追加関税にもトランプ氏が遠慮するような雰囲気はなく、きょうはトヨタ自動車<7203.T>をはじめ自動車株は見送りムードに染まった。ひと言で言えば覇気がない。今週末14日にオプションSQ算出を控えるなか、売り方と買い方の思惑が錯綜するような先物絡みの攻防戦が見られず、かといって決算発表シーズン特有の主力株に対するモチベーションが盛り上がるような地合いとも掛け離れている。
そのなか、一つの拠りどころとしては、狭いレンジ相場で硬直する日経平均を横にらみにグロース指数が戻り足を強めていることだ。ネット証券大手による信用評価損益率の直近データは、全市場ベースではマイナス5.2%、グロース市場ベースではマイナス12.1%となっている。グロース市場の評価損益率は、ともするとマイナス20%を超えることが茶飯事だったが、足もとでかなり改善が進んでいることが分かる。需給思惑先行のミーム相場的な要素は強いが、強烈な上昇パフォーマンスをみせる銘柄が相次いで輩出されている。
グロース市場ではビットコイン周辺株やAI関連、バイオ関連などに太い資金が流れ込んでいる。note<5243.T>が大相場に突入しているが、これは米グーグルとの資本・業務提携が株価変身のきっかけとなった。noteの例と背景は違っても、今のマーケットは資本移動ラッシュ、特にTOBが頻発化していることで、決算プレーよりも煮えたぎったホットマネーが中小型株をターゲットに押し寄せている。グロース市場の復活はこのTOBラッシュ効果によって、貸株調達による空売り筋が手仕舞いを強いられていることも大きいようだ。個別株では継続フォローしてきた免疫生物研究所<4570.T>が上げ足を一気に強めるなか、割り切りが必要ながらオンコリスバイオファーマ<4588.T>あたりもマークか。また、ゲーム関連ではエディア<3935.T>に妙味が漂う。イマジニア<4644.T>の1000円絡みも狙い目といえそうだ。300円台の低位株ではネット広告分野で活躍の場を広げ、グーグルの認定パートナーでもあるゲンダイエージェンシー<2411.T>に意外性がある。
あすのスケジュールでは、1月の企業物価指数が朝方取引開始前に開示される。個別企業の決算発表では日産自動車<7201.T>、ホンダ<7267.T>のほか、ソニーグループ<6758.T>などに注目。海外ではフィリピン中銀の政策金利発表、10~12月期英国内総生産(GDP)速報値、週間の米新規失業保険申請件数、1月の米生産者物価指数(PPI)などにマーケットの関心が高い。このほか、米債券市場では30年債の入札が行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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