好調続くアイスランド【フィスコ・コラム】
配信元:フィスコ
投稿:2025/01/26 09:00
*09:00JST 好調続くアイスランド【フィスコ・コラム】
アイスランド通貨クローナは対欧州通貨で安定した値動きが目立ちます。昨年末にかけてのユーロやポンドの急落に加え、アイスランド経済の好調さも反映しているようです。ジェンダー先進国の新政権が成長を加速させられれば、投資先としても注目されるでしょう。
2025年は年初の薄商いのなかユーロ圏経済に不透明感が深まり、ユーロとポンドは急落。ユーロ・ドルは2022年11月以来の1.02ドル台に、ポンド・ドルは昨年4月以来の1.23ドル台にそれぞれ水準を大きく切り下げました。アイスランドクローナもそれに追随し対ドルでは弱含んだものの、ユーロやポンドに対し底堅く推移。その後の買いは後退するも、安定した値動きを維持しています。
アイスランド経済は世界的なインフレの波が押し寄せ、消費者物価指数は高水準に上昇。その影響か、2024年の国内総生産(GDP)は前年比+0.1%と前年の+5.0%から大きく失速する見通しです。実質賃金の伸び悩みは個人消費に影響が及ぶ可能性があります。中央銀行は政策金利を引き上げることでインフレ抑制を試みており、高金利が企業や家計の負担になるリスクもあります。
しかし、成長率は25年以降に小幅ながら拡大が見込まれ、腰折れ気味の域内では好調と言えそうです。格付け会社フィッチはアイスランドについて、非常に高い一人当たり所得や潤沢な外貨準備などに支えられ、「経済開発機構(OECD)諸国のなかでもパンデミック後の回復が最も力強い国の一つ」と指摘。今年と来年の成長を加速させていくとの見方を示しました。
アイスランドといえば、2008年のリーマン・ショックの余波を真っ先に受け、財政破綻に追い込まれた国として有名です。減価した通貨クローナを輸出に生かすなど、金融危機からわずか数年で自国経済を再建。アイスランド投資に失敗した海外投資家を税金で救済する政策を、有権者は国民投票で否決。国民が政府やメディアを糾弾した経緯はドキュメンタリー映画となって記録されています。
その原動力となったのは女性であり、男性中心の経営がコンプライアンス(法令順守)意識を弱め危機を招いた、という驚きの分析結果でした。アイスランドでは1980年に初の女性大統領(国家元首)が、2009年に初の女性首相が誕生。昨年の大統領選では2人目の女性大統領となり、さらに11月の議会選を経て36歳の女性首相が就任しました。大統領と首相がともに女性となったのは史上初めてといい、舵取りが注目されます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
2025年は年初の薄商いのなかユーロ圏経済に不透明感が深まり、ユーロとポンドは急落。ユーロ・ドルは2022年11月以来の1.02ドル台に、ポンド・ドルは昨年4月以来の1.23ドル台にそれぞれ水準を大きく切り下げました。アイスランドクローナもそれに追随し対ドルでは弱含んだものの、ユーロやポンドに対し底堅く推移。その後の買いは後退するも、安定した値動きを維持しています。
アイスランド経済は世界的なインフレの波が押し寄せ、消費者物価指数は高水準に上昇。その影響か、2024年の国内総生産(GDP)は前年比+0.1%と前年の+5.0%から大きく失速する見通しです。実質賃金の伸び悩みは個人消費に影響が及ぶ可能性があります。中央銀行は政策金利を引き上げることでインフレ抑制を試みており、高金利が企業や家計の負担になるリスクもあります。
しかし、成長率は25年以降に小幅ながら拡大が見込まれ、腰折れ気味の域内では好調と言えそうです。格付け会社フィッチはアイスランドについて、非常に高い一人当たり所得や潤沢な外貨準備などに支えられ、「経済開発機構(OECD)諸国のなかでもパンデミック後の回復が最も力強い国の一つ」と指摘。今年と来年の成長を加速させていくとの見方を示しました。
アイスランドといえば、2008年のリーマン・ショックの余波を真っ先に受け、財政破綻に追い込まれた国として有名です。減価した通貨クローナを輸出に生かすなど、金融危機からわずか数年で自国経済を再建。アイスランド投資に失敗した海外投資家を税金で救済する政策を、有権者は国民投票で否決。国民が政府やメディアを糾弾した経緯はドキュメンタリー映画となって記録されています。
その原動力となったのは女性であり、男性中心の経営がコンプライアンス(法令順守)意識を弱め危機を招いた、という驚きの分析結果でした。アイスランドでは1980年に初の女性大統領(国家元首)が、2009年に初の女性首相が誕生。昨年の大統領選では2人目の女性大統領となり、さらに11月の議会選を経て36歳の女性首相が就任しました。大統領と首相がともに女性となったのは史上初めてといい、舵取りが注目されます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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