ファーストブラザーズ、投資銀行事業において物件売却による売却益を実現 保有物件から得られる賃貸収益も着実に伸長
2024年11月期決算説明
川村俊之氏:ファーストブラザーズ株式会社経営企画部長の川村です。2024年11月期の決算についてご報告します。
決算内容の説明に入る前に、弊社の決算の特徴についてご説明します。当社決算には2つの大きな特徴があります。
1点目は売上高ではなく売上総利益額を重視しています。投資銀行事業の不動産売買案件は1件1件の取引金額が大きく、原価率もそれぞれ異なります。そのため、仮に原価率の高い大型物件を売却した場合には利益が出なくても売上は大きく計上されます。
こうした例があることから、売上高や利益率だけでは弊社の正確な実態を表しているとはいえないため、指標として売上総利益の額を重視しています。
2点目は、1件あたりの金額が大きいため、不動産売却の有無によって業績が決算期ごとに変動しやすい傾向にあることです。保有する賃貸不動産の規模を拡大しつつ安定的な収益も拡大させていますが、まだまだ決算における売却のウエイトが大きいため、こうした特徴があります。
当社はマーケットの変動がある中、慎重な姿勢で投資を考え、最も価値が高まったタイミングで売却を行うことが中長期的に収益を生み、株主価値を最大化できると考えています。
以上の観点を踏まえ、今回の決算についてご説明します。
エグゼクティブサマリー
サマリーとして2024年11月期の決算概要を示しています。主に賃貸不動産に投資をしている投資銀行事業においては、保有物件売却によって売却益を計上し、賃貸収益も着実に伸長しました。一方、前期は大型かつ利益率の高い物件の売却があった反動から前期比では減益となりました。
結果、売上総利益は51億円で前期比26.9パーセント減となりました。各段階利益については後ほどご説明します。なお、事業別では投資銀行事業において安定収益である保有物件からの賃貸収益が伸長し、賃貸粗利30.8億円となり、前期比13.7パーセント増となりました。
ファーストブラザーズのビジネス
弊社の事業セグメントの説明です。弊社は主に3つの大きな収益の柱があります。自己勘定で投資・運用を行う投資銀行事業、投資家から資金を預かりファンドを運用する投資運用事業、宿泊施設の運営を行う施設運営事業です。
業績ハイライト
各段階利益の概要です。先ほどご説明したとおり、前期に大型かつ利益率の高い物件売却があった反動で、各段階利益ともに減益となりました。
賃貸不動産ポートフォリオ
ここからは個別の事業についてご説明します。投資銀行事業では、中長期的に安定収益が見込める賃貸不動産ポートフォリオを構築しております。変動はあるものの残高・利回りを着実に増加させております。
賃貸不動産は取得価格ベースで残高は671億円となりました。物件数は86物件で、NOIは7.6パーセントと高い水準で推移しています。
物件簿価、時価、含み益の推移
賃貸不動産の時価と簿価の差額である含み益は212億円となりました。前期比53億円増です。この含み益は、将来、売却時に顕在化し、利益に貢献するとともに再投資の源泉となります。
賃貸不動産ポートフォリオの所在地別、用途別内訳
保有物件の内訳をグラフで示しています。都内だけではなく、全国の主要都市津々浦々で投資をしているという特徴があります。用途としてはテナントニーズの固い立地にあるオフィス、商業施設に加え、ホテル・旅館へも投資しています。
弊社は一定のアセットタイプ比率にこだわらず、時代や市場の変化に応じて、柔軟に投資対象を選定し、さまざまなエリア・タイプへ投資をしています。
不動産賃貸売上・粗利
賃貸収益および売買収益の推移を示しています。賃貸収益は着実に増加し、売上は65億円、粗利で30億円です。
不動産賃貸売上・粗利
売却は売上84億円、粗利18億円ですが、前期のような大型物件売却がなかったことから、不動産売却売上・粗利ともに前期比減少しています。
資金調達の概要
資金調達は不動産ビジネスにとって重要な要素です。不動産投資に際しては借入を活用し、物件を取得します。投資を進めるにつれ、借入残高は増加していく傾向にあります。
当社は原則として、10年以上の長期借入でリファイナンスリスクを抑えつつ、変動金利を中心に調達をしています。なお、一部金利を固定化し、変動リスクへ対応しています。
今期は、日銀のマイナス金利政策の解除による長期金利の上昇が見られました。ただし、変動金利の基準金利であるTIBORや短期プライムレートについては緩やかな変動であり、ただちに業績および不動産売買市場への大きな影響は見られません。今後も変化を注視します。
不動産アセットマネジメント
投資運用事業についてです。今期においては、金利上昇の影響や国外不動産の市況から投資家は慎重な取引姿勢となっており、当社としてもファンドでの取得はありませんでした。
一方で、期中管理業務を受託している案件での売却が発生したため、受託残高が減少するとともに、売却フィーを収受するなどAM報酬を受領しました。
業績サマリー
施設運営事業は上期の順調な流れから、前期比で改善しました。インバウンドの観光需要を捉えた施設の収益貢献が主な要因です。ただし、のれん償却負担等により、営業利益では黒字化には至っていません。
業績予想
冒頭で申し上げたとおり、当社の業績は現状、不動産売却に大きく左右されることから、期によって業績の変動が大きいという特徴があります。
ご存知のとおり、国内外の金利動向やインフレ率の変動、金融政策の変化など経済情勢が大きく変化しております。このような中、弊社は2024年11月期において慎重な投資判断を行いました。この状況は現時点でも変わっていないと考えております。
そのため、2025年11月期においては不動産の取得及び売却について市場動向を注視しつつ、慎重かつ柔軟な姿勢で判断したいと考えております。この結果、将来にわたり、安定的な収益源となっている賃貸不動産については継続保有しつつ、最もリターンが出る最適と考えるタイミングで投資判断を行いたいと考えております。
以上を踏まえまして現時点では業績予想として、2025年11月期は売上高179億円、経常利益21億円、当期純利益13億円を計画しております。
株主還元
最後に株主還元です。繰り返しとなりますが、当社の業績の特徴としては、期ごとの利益は変動が大きくなります。一方で株主資本については、毎期着実に利益を計上し続け右肩上がりです。
これは不動産ポートフォリオをしっかりと成長させ、賃貸収益・売却収益を得て、利益を再投資し、より良いアセットを取得するサイクルを生み出した結果、企業成長をしている証と認識しています。
当社は、株主資本の増加を企業成長の指標の1つであると位置付けています。この考えのもと、配当方針として株主資本に連動した指標である「株主資本配当率(DOE)」を基準とし、安定的かつ継続的な配当を実施しております。具体的には、DOE2.0パーセントを目安に配当額を決定し、年1回の期末配当を行っています。
2024年11月期においては、当期の業績が一定基準を上回ったことから、従来の期末配当に加え、中間配当を実施いたしました。一方で、2025年11月期については、2024年11月期の決算内容を踏まえ、中間配当の実施基準には達しておりませんので中間配当は実施いたしません。
しかしながら、当社は引き続き株主資本を着実に成長させており、この成長を反映し、DOE2.0パーセントを基準に1株当たり35円の期末配当を実施する予定です。当社は今後も、株主資本の持続的な増加を通じて、株主の皆さまへの安定した利益還元を行っていきます。
なお、株主優待についてはこれまでと変わらず株主のみなさまへの日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資魅力を高め、中長期的に保有いただけるよう「ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部」を導入しております。保有株数・期間に応じポイントを付与しており、ポイントはAmazonギフト券などへ交換が可能です。
説明は以上となります。投資家のみなさまにおいては今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。
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