アンジェス Research Memo(4):HGF遺伝子治療用製品は米国の後期第2相臨床試験で想定以上の好結果の模様

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最新投稿日時:2024/07/24 14:34 - 「アンジェス Research Memo(4):HGF遺伝子治療用製品は米国の後期第2相臨床試験で想定以上の好結果の模様」(フィスコ)

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アンジェス Research Memo(4):HGF遺伝子治療用製品は米国の後期第2相臨床試験で想定以上の好結果の模様

配信元:フィスコ
投稿:2024/07/24 14:34
*14:34JST アンジェス Research Memo(4):HGF遺伝子治療用製品は米国の後期第2相臨床試験で想定以上の好結果の模様 ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向

1. HGF遺伝子治療用製品
HGF遺伝子治療用製品は血管新生作用の効果を活用して、閉塞性動脈硬化症のなかでも症状が進行した慢性動脈閉塞症向け治療薬として開発が進められてきた。慢性動脈閉塞症とは、血管が閉塞することによって血流が止まり、組織が潰瘍・壊疽を起こして最終的に下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患である。治療法としてはカテーテル治療や血管バイパス手術などが行われているが、手術ができない状態になっているケースも多く、新たな治療法の開発が望まれている。

HGF遺伝子治療用製品は、血管が詰まっている部位周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血流回復によって潰瘍の改善を図るものである。国内では2019年3月に「標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果または性能として、条件及び期限付き承認を取得し※、同年9月より「コラテジェン(R)筋注用4mg」として提携先の田辺三菱製薬を通じて販売を開始した。用法は、虚血部位に対して筋肉内投与を4週間間隔で2回行い(4mg/回)、症状が残存する場合には4週間後に3回目の投与も可能となっている(薬価は約61万円/1瓶(4mg))。

※本承認の条件は、承認日から5年以内に、1) 重症化した慢性動脈閉塞症に関する十分な知識・治療経験を持つ医師の下で、創傷管理を複数診療科で連携して実施している施設で本品を使用すること、2) 条件及び期限付き承認後に改めて行う本品の製造販売承認申請までの期間中は、本品を使用する症例全例を対象として製造販売後承認条件評価を行うこと、の2項である。申請の期限は承認日から起算して5年となっている。


条件及び期限付き承認となるため、製造販売後承認条件評価(市販後調査)を実施※1し、同結果をもって2023年5月に本承認の申請を行ったが、二重盲検の国内第3相臨床試験成績を再現できなかったことから、申請を一旦取り下げ、二重盲検の国内第3相臨床試験と米国後期第2相臨床試験の結果を中心に申請データパッケージを構築し、2024年末までに新たな製造販売承認の申請を行うべく準備を進めていく方針を発表している。弊社では今回の開発戦略の変更に関して、米国での臨床試験で想定以上の好結果を得られたことが影響したものと推察している。米国の臨床試験は症状が軽度から中等度の患者を対象に実施されており、同試験結果を国内で援用することにより適用対象患者数を拡大できる可能性が出てきたためだ。条件及び期限付き承認では、重度の慢性動脈閉塞症患者を適用対象※2としていたが、軽度から中等度の患者に対象が広がることになれば対象患者数も大幅に増加することになる。さらには、米国の臨床試験は4回の投与実施で、安全性も確認されている。このため、投与回数の上限を米国に合わせることができれば、患者当たり投与量(=売上高)も増加することが期待される。

※1 120症例のデータを収集し、非投与群(プラセボ)80症例との比較を行い有効性の確認を実施した。
※2 投与対象肢の動脈に閉塞又は狭窄部位が認められ、かつ潰瘍を有していること(平均10cm程度、最大約30cmまで)。血行再建術の適応が困難なこと。既存の内科的治療や処置による症状改善が認められないこと。血行動態の指標が一定水準以下であることなど。


今回の承認申請取り下げによって、国内での「コラテジェン(R)」の販売が終了となり、現在市中にある製品を回収することになる。製品売上高は前期実績で23百万円と少ないため、販売終了による2024年12月期業績への影響は軽微である。製品回収や新規申請に関する費用の支出が新たに発生することになるが、現在精査中で目途が立ち次第、開示する方針としている。結果として、国内では1歩後退したものの、新たなパッケージで承認が得られれば大きく前進することになる。

米国の後期第2相臨床試験は、2019年6月に公表された包括的高度慢性下肢虚血に関するグローバル治療指針※を踏まえて、下肢切断リスクの低いステージ1~2の患者を対象に実施された。主要評価項目は「潰瘍の改善」と「血流の改善」で、治験プロトコルはHGF遺伝子治療用製品またはプラセボを4週間の間隔を置いて4回投与するというものである。被験者を4mg/回、8mg/回、プラセボの3群に分けて各20症例について12ヶ月の観察期間を設けてデータ収集を行った(被験者数は途中脱落者も想定して全75例を組み入れ)。当初は2024年4~6月にトップラインデータを発表する予定であったが、同社によれば「想定以上の好結果が得られたことで、担当治験医師が論文を作成し権威ある学術誌で発表する準備を進めており、論文発表のインパクトも鑑みて同時に試験結果を発表することになった」とのことだ。内容的には、4mg/回の投与群でも明確な有効性が確認できたようだ。日本の臨床試験結果との違いに関して、同社では臨床試験や経過観察期間中の患者の管理体制の違いが出たのではないかと推察している。米国ではブーツを履くことで患部を保護していたほか、週1度の診察を受けるなどしていた。もちろん、症状の違い(軽度から中等度患者を対象)や投与回数の差も関係しているものと考えられる。いずれにしても、軽度から中等度の患者で同社が想定していた以上の結果が得られた点は評価される。

※グローバル治療指針(Global Vascular Guidelines:GVG):包括的高度慢性下肢虚血(CLTI:Chronic limb-threatening ischemia)の初期段階から適切な治療マネジメントを提供することで患者のQOLの向上を図ることを推奨している。本ガイドラインでは臨床ステージを4段階(clinical stage1〜4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されており、今回の試験では下肢切断リスクの低いclinical stage1と2を対象としている。このステージの患者には、まず潰瘍の治療を考慮することがガイドラインで推奨されている。


同社は米国における今後の開発方針については、FDAと後期第2相臨床試験結果に関するミーティング(2024年10~11月頃)を行い、導出先の田辺三菱製薬とも協議したうえで決定することにしている。現状ではRMAT※指定制度などの早期承認制度を活用して第3相臨床試験に進む可能性が高いが、後期第2相臨床試験で明確な有意差を得られたことから、症例数も比較的小規模なものになる可能性があると同社では見ている。米国での対象患者数は10~20万人と同社で推計しており、開発に成功すれば収益に大きく貢献する見通しだ。

※RMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy):重篤な疾患を開発対象とした再生医療の先端治療法で、臨床試験で一定の効果を示すことが条件となる。RMAT指定を受けた品目は、優先審査と迅速承認の機会を得られる。


そのほか、2022年12月に提携先のKamada※がイスラエル保健省に製造販売承認申請を行い、現在審査中となっている。しかし、今回日本における承認申請取り下げにより条件期限付き承認の期間が満了となったことにより、イスラエルにおける承認申請を一旦取り下げる。また、トルコでは提携先のEr-Kimが申請に向けた準備を進めているが、トルコ政府の財政面の問題等から停滞した状況が続いている。

※2019年2月にKamadaとイスラエルを対象とした導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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