今週のポイント
先週(7/1- )、豪ドル/円は91年5月以来およそ33年ぶりの高値を記録し、豪ドル/NZドルは約2カ月ぶりの高値をつけました。足もとの豪ドル堅調の主な要因として、RBA(豪中銀)の利上げ観測が挙げられます。RBAの利上げ観測が引き続き豪ドルを下支えすると考えられます。
豪ドル/NZドルについては、10日に開かれるRBNZ(NZ中銀)の政策会合が材料になりそうです。RBNZの利下げ観測が後退する場合、豪ドル/NZドルは上値が重くなる可能性があります(詳細は後述)。
米ドル/カナダドルについては、パウエルFRB議長の議会証言や米国の6月CPI(消費者物価指数)の結果に影響を受けそうです。BOC(カナダ中銀)の利下げ観測が強まるなかで、議会証言やCPIなどを受けてFRBの利下げ観測が後退する場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。
メキシコの6月CPIが9日に発表されます。市場ではBOM(メキシコ中銀)は次回8月8日に利下げを行うとの観測もあります。CPIが市場予想を上回る結果になれば、BOMの利下げ観測が市場で後退するとともに、メキシコペソが堅調に推移しそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09000NZドル~1.11000NZドル>
豪ドル/NZドルは5日に一時1.10053NZドルへと上昇し、5月7日以来およそ2カ月ぶりの高値をつけました。足もとの豪ドル/NZドル上昇の主因として、豪州の5月CPI(消費者物価指数。6/26発表)の強い結果を受けてRBA(豪中銀)の利上げ観測が強まったことが挙げられます。5月CPIは前年比4.0%と、市場予想の3.8%を上回り、23年11月以来6カ月以来の強い伸びでした。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込むRBAが利上げする確率は、次回8月5-6日の政策会合で25%程度、9月23-24日の会合までで35%程度、11月4-5日の会合までで40%程度です(日本時間8日午前10時時点)。RBAの利上げ観測が引き続き豪ドル/NZドルを下支えしそうです。
今週は、10日にRBNZ(NZ中銀)の政策会合が開かれます。政策金利は5.50%に据え置かれるとみられ、その通りの結果になればRBNZの声明や会合の議事要旨が材料になりそうです。前回会合時の議事要旨では、「(会合では)利上げの可能性について議論した」、「金融政策(=現在の政策金利の水準)が需要を抑制していると確信している」、「政策金利を長期間、(景気)抑制的な水準に維持する必要がある」などとされました。
市場では、RBNZは早ければ10月に利下げを行うとの観測があります。RBNZの声明や議事要旨が市場の利下げ観測を後退させる内容になれば、豪ドル/NZドルは上値が重くなる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.37500カナダドル>
5日に発表されたカナダの6月雇用統計は失業率が6.4%、雇用者数が前月比0.14万人減となり、いずれも市場予想(6.3%と2.25万人増)よりも軟調な結果でした。カナダの雇用統計の結果を受けて市場ではBOC(カナダ中銀)が次回7月24日の政策会合で利下げするとの観測が強まりました。そのことはカナダドルにとってマイナスです。
今週は、パウエルFRB議長の議会証言(9日と10日)や米国の6月CPI(消費者物価指数。11日)が材料になりそうです。議会証言やCPIによってFRBの利下げ観測が市場で後退する場合、米ドル高圧力も加わって、米ドル/カナダドルは2日高値の1.37505カナダドルに向かって上昇する展開が想定されます。
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