今週のポイント
豪ドルが堅調に推移しています。6月28日に、豪ドル/円は07年12月以来16年半ぶりの高値を記録し、豪ドル/NZドルは1カ月半ぶりの高値をつけました。RBA(豪中銀)の利上げ観測が強まったことが、豪ドルが堅調な要因です。今週はRBA議事録や豪州の小売売上高が発表されます。それらがRBAの利上げ観測を一段と強める内容になれば、豪ドル/円や豪ドル/NZドルはさらに上値を試す可能性があります。
カナダドルは5日に発表されるカナダの6月雇用統計が材料になりそうです。カナダの雇用統計の結果を受けてBOC(カナダ中銀)の利下げ観測が強まる場合、カナダドルが軟調に推移すると考えられます。
南アフリカでは、ラマポーザ大統領の2期目の就任式が行われた6月19日以降も、組閣に向けてANC(南アフリカ民族会議)とDA(民主同盟)などとの間で協議が行われてきました。ANCとDAは閣僚人事で合意し、ラマポーザ大統領は6月30日に閣僚を発表しました。外交政策や経済政策をめぐってANCとDAには隔たりがあるものの、連立政権の閣僚が決まったことは、南アフリカランドにとってプラスになりそうです。
メキシコペソ/円は6月12日に一時8.185円へと下落しました。与党連合が憲法改正(司法制度改革など)を推進するとの懸念が、メキシコペソ安の主因となりました。メキシコペソ/円はその後持ち直したものの、憲法改正をめぐるロペスオブラドール大統領やシェインバウム次期大統領の発言には注意が必要です。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08500NZドル~1.10300NZドル>
豪ドル/NZドルは6月28日に一時1.09585NZドルへと上昇し、1カ月半ぶりの高値をつけました。26日に発表された豪州の5月CPI(消費者物価指数)の強い結果を受け、RBA(豪中銀)の利上げ観測が強まったことが、豪ドル/NZドルを押し上げました。5月CPIは前年比4.0%と、市場予想の3.8%を上回り、23年11月以来6カ月ぶりの高い伸びとなりました。
今週は、2日にRBA議事録(6/17-18政策会合分)、3日に豪州の5月小売売上高が発表されます。6月のRBA会合時の声明では、「インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要がある」、「インフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻す最も確実な(政策)金利の道筋は依然として不透明であり、(RBA)理事会は何も決定しておらず、何も排除していない」などとされました。また、ブロック総裁は会合後の会見で、「インフレの上振れリスクを警戒している」と強調し、会合では利上げも議論されたことを明らかにしました。
RBA議事録や小売売上高が市場のRBAの利上げ観測を一段と強める内容になれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。豪ドル/NZドルの上値メドとして、1.10246NZドル(5/7高値)が挙げられます。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35500カナダドル~1.38500カナダドル>
今週は米国の経済指標が多く発表され(雇用統計、ISMの製造業と非製造業の景況指数など)、またカナダの雇用統計が発表されます。それらの経済指標を受けて、市場の米FRBやBOC(カナダ中銀)の金融政策見通しがどのように変化するかが、米ドル/カナダドルの動向に影響を与えそうです。
BOCの次回政策会合は7月24日です。次回会合について市場の見方は“据え置き”と“利下げ”で割れています。カナダの雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まりそうです。その一方で、米経済指標を受けてFRBの利下げ観測が後退する場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わると考えられます。
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