明日の株式相場に向けて=エッジAI時代幕明けの予兆
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比368円高の3万9173円と続伸。前日の米国株市場ではNYダウが5連騰と気を吐いたが、後半は半導体関連への売りが噴出し楽観気分が吹き飛んだ。ナスダック指数は3日続落、半導体銘柄で構成されるSOX指数については3%強の急落。そして、象徴株ともいえるエヌビディア<NVDA>は6.7%安と急落に見舞われた。時価総額世界トップに躍り出たことが報じられた直後に、もんどり打つような崩れ足で、にわかにセンチメントが悪化した。しかし、東京市場はしぶとかった。TOPIX主導の上昇で、配当再投資の買いが支えたという見方が示されていたが、米ハイテク株買いの日本株売りというロングショートの巻き戻しという観測に信憑性が高いようだ。このタイミングで3万9000円台を回復し75日移動平均線をブレークしたことは、売り仕掛けを狙っていた向きにとっては出鼻を挫かれた格好である。
ではエヌビディア急落の背景は何か。ここまで爆需を存分に享受しているGPUに何かしらのネガティブな思惑が発生している気配がある。生成AI市場の成長に今の段階で陰りが見えるはずもないので、ビジネス構造的な部分での逆風。こう考えるとアップル<AAPL>やグーグルなどが、スマートフォンやパソコンに生成AIを搭載することに対し意欲を剥き出しにしていること、これが影響している可能性がある。「AIサーバーを経由してクラウドによる生成AI提供」が現在の姿だが、これがエッジAI化されると利用者にとって一段と身近な存在となってくることは自明だ。プライバシー保護やセキュリティー、更に通信コスト面などでメリットが生じ、懸案の電力供給問題も緩和される。
結果として生成AIの市場拡大をこれまで以上に後押ししそうだ。ところが、この新潮流は厄介なことにその裏側で強力な引き潮を発生させる可能性がある。つまり、AIサーバーとそれを設置するデータセンターの増設需要にストップがかかるというシナリオだ。その場合、AIサーバー向けGPUで需要を独占しているエヌビディアの成長が止まるケースも考慮される。もちろんエヌビディアはM&Aを駆使して次の成長舞台を摸索中であり、それが間に合うかもしれないが、GPUで独り勝ちという時代は過ぎ去ることになる。
ただし、全盛を誇るエヌビディアに陰りがみられても、その場合は株式市場でエッジAI関連株に投資マネーの熱視線が向かう。米国ではクアルコム<QCOM>が関連最右翼だが、歴史の浅い市場だけに日本では現状手探り状態にある。大手ではソニーグループ<6758.T>やNEC<6701.T>などが挙げられるが、成長余地の大きい中小型株にもチャンスが回ってくる。アナログエッジAI開発で先行するソリトンシステムズ<3040.T>、エッジAI開発のクラウドプラットフォームで高実績を有するフィックスターズ<3687.T>、エッジAIカメラのオプティム<3694.T>などをチェックしておきたい。
一方、中東の地政学リスク再燃でエネルギー価格高騰に対する思惑も高まっている。INPEX<1605.T>が上昇基調を明示、この流れが他の銘柄にも飛び火する公算は小さくない。富士石油<5017.T>は株価500円台でPBRが0.4倍台、また最終利益がゲタを履いた状態ながらPER5倍台と割安。バリュー系材料株として改めてマークしたい。
エネルギー関連株の流れを汲む銘柄では5月下旬に取り上げた東邦チタニウム<5727.T>がその後順調に戻り足を形成、直近5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを経て上値追い基調に弾みがついている。2026年に水素装置向け材料生産に動き出す計画を発表していることにも注目。株価的には先駆した大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>の後を追う形だが、株価の値ごろ感で言えば邦チタの方が上値妙味ありという見方もできる。両銘柄とも2022年に併走して大相場を形成した経緯があるが、この年の年初から11月にかけて大阪チタは800円近辺から4850円に大化けし、邦チタは同じく800円台から3300円台に変貌を遂げた実績がある。その時の再現というには気が早いが、両銘柄ともトレンドは約1年半ぶりに折り返し地点に来た感触がある。
あすのスケジュールでは、東京市場では6月の実質最終商い日(権利付き最終売買日)となる。海外では5月の米新築住宅販売件数が開示されるほか、米5年物国債の入札が予定されている。このほか、アジア最大級のモバイルカンファレンスであるMWC上海が28日までの日程で行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
ではエヌビディア急落の背景は何か。ここまで爆需を存分に享受しているGPUに何かしらのネガティブな思惑が発生している気配がある。生成AI市場の成長に今の段階で陰りが見えるはずもないので、ビジネス構造的な部分での逆風。こう考えるとアップル<AAPL>やグーグルなどが、スマートフォンやパソコンに生成AIを搭載することに対し意欲を剥き出しにしていること、これが影響している可能性がある。「AIサーバーを経由してクラウドによる生成AI提供」が現在の姿だが、これがエッジAI化されると利用者にとって一段と身近な存在となってくることは自明だ。プライバシー保護やセキュリティー、更に通信コスト面などでメリットが生じ、懸案の電力供給問題も緩和される。
結果として生成AIの市場拡大をこれまで以上に後押ししそうだ。ところが、この新潮流は厄介なことにその裏側で強力な引き潮を発生させる可能性がある。つまり、AIサーバーとそれを設置するデータセンターの増設需要にストップがかかるというシナリオだ。その場合、AIサーバー向けGPUで需要を独占しているエヌビディアの成長が止まるケースも考慮される。もちろんエヌビディアはM&Aを駆使して次の成長舞台を摸索中であり、それが間に合うかもしれないが、GPUで独り勝ちという時代は過ぎ去ることになる。
ただし、全盛を誇るエヌビディアに陰りがみられても、その場合は株式市場でエッジAI関連株に投資マネーの熱視線が向かう。米国ではクアルコム<QCOM>が関連最右翼だが、歴史の浅い市場だけに日本では現状手探り状態にある。大手ではソニーグループ<6758.T>やNEC<6701.T>などが挙げられるが、成長余地の大きい中小型株にもチャンスが回ってくる。アナログエッジAI開発で先行するソリトンシステムズ<3040.T>、エッジAI開発のクラウドプラットフォームで高実績を有するフィックスターズ<3687.T>、エッジAIカメラのオプティム<3694.T>などをチェックしておきたい。
一方、中東の地政学リスク再燃でエネルギー価格高騰に対する思惑も高まっている。INPEX<1605.T>が上昇基調を明示、この流れが他の銘柄にも飛び火する公算は小さくない。富士石油<5017.T>は株価500円台でPBRが0.4倍台、また最終利益がゲタを履いた状態ながらPER5倍台と割安。バリュー系材料株として改めてマークしたい。
エネルギー関連株の流れを汲む銘柄では5月下旬に取り上げた東邦チタニウム<5727.T>がその後順調に戻り足を形成、直近5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを経て上値追い基調に弾みがついている。2026年に水素装置向け材料生産に動き出す計画を発表していることにも注目。株価的には先駆した大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>の後を追う形だが、株価の値ごろ感で言えば邦チタの方が上値妙味ありという見方もできる。両銘柄とも2022年に併走して大相場を形成した経緯があるが、この年の年初から11月にかけて大阪チタは800円近辺から4850円に大化けし、邦チタは同じく800円台から3300円台に変貌を遂げた実績がある。その時の再現というには気が早いが、両銘柄ともトレンドは約1年半ぶりに折り返し地点に来た感触がある。
あすのスケジュールでは、東京市場では6月の実質最終商い日(権利付き最終売買日)となる。海外では5月の米新築住宅販売件数が開示されるほか、米5年物国債の入札が予定されている。このほか、アジア最大級のモバイルカンファレンスであるMWC上海が28日までの日程で行われる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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