明日の株式相場に向けて=株高フルスロットルの「データセンター」
週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比253円高の3万8900円と反発。前週末の米国株市場でナスダック総合株価指数とフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が揃って最高値更新という状況にあって、きょうの東京市場で日経平均が上値を追えないとすれば、それは国内要因によることは明白。日銀の利上げ接近観測に身構えるところだったが、後場に買い直され、結局1%未満の上昇ながら高値引けとなった。
これまで押しも押されもせぬ主役を担ってきた半導体製造装置関連の株価が重い値動きとなっている。東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>、レーザーテック<6920.T>、ディスコ<6146.T>、SCREENホールディングス<7735.T>など日経平均寄与度の高い値がさ株が集積しており、今の日経平均の上値の重さは、これら花形株の動きの鈍さが投影されている。きょうはディスコが上場来高値近辺まで上値を伸ばす場面があったが、その後に失速、一方で前週末に1000円を超える下げをみせた東エレクはリバウンドどころか下値模索を続けるなど冴えない動きだった。
前週の話題を独占したエヌビディア<NVDA>の好決算及び先行きに対する強気観測は、生成AI市場拡大を背景としたAI用半導体の需要の凄まじさを如実に映し出した。もちろん、この恩恵は米国にとどまるものではない。日本でも政府が国策として半導体戦略に傾注する方向へ舵を切ったことで、生産インフラ拡充の要衝を担う半導体製造装置関連株への評価はもっと高まっていいはずである。今俎上に載っているのは、今期の収益動向ではなくあくまで中期成長シナリオにほかならない。
ひとつ言えることは、そういう事情をマーケットは当然理解したうえで上値を買い進むことに躊躇しているという点である。これは、株式需給に支配されているとしかいいようがない。上値で大量に保有している実需筋がポジションを軽くしたいというニーズが強すぎるのだ。現在、持たざるリスクから機関投資家の間で「高くても買い一択」のエヌビディアですら、どこかで売りニーズが買いを上回る局面が訪れるのは必定。これは時間軸の問題で、日本の半導体製造装置関連はそれに先立って売り注文が表面化していることになる。ここしばらくは我慢比べで、買い方としては売りニーズが捌(は)けるまで待つよりない。
ただ半導体セクターは、メインストリートは風向きがややアゲンストだが、少し脇道にそれるといきなり別世界が広がる。例えばデータセンター増設で膨大化する電力需要を見込み電力株へのテーマ買いが続いており、ラピダス関連として春先以降、継続注目してきた北海道電力<9509.T>の株価は年初比で2.5倍化した。東京市場では半導体という大きな括りのなかで、中身を見ると物色対象が徐々に変遷している。今はエヌビディア関連というよりは、AIサーバーが設置されているデータセンターを基点として収益機会が派生する銘柄に投資資金が流れ込んでいる印象だ。電力株のほかにデータセンターに不可欠な空調工事関連も着目され、既に取り上げた高砂熱学工業<1969.T>とダイダン<1980.T>以外では、同類項である日比谷総合設備<1982.T>や大氣社<1979.T>もマークしておきたい。また、東電系の関電工<1942.T>は調整が入っている分狙いやすい。データセンター関連工事の受注高が積み上がっており、今後の回収局面での収益寄与が楽しみだ。
更に4月に取り上げた精工技研<6834.T>はデータセンター向け光コネクターなどで特需発生が期待され、中期上昇波を構築中。このほか、データセンター向け通信線で商機を捉える銘柄としてフジクラ<5803.T>が異彩の上げ足を披露している。穴株では京阪神ビルディング<8818.T>が大阪都心部でデータセンタービル事業を展開しており、防災性能の高さや先進的なセキュリティーシステムを拠りどころに実績を積み上げている。
あすのスケジュールでは、4月の企業向けサービス価格指数、4月の白物家電出荷額など。また午前中に10年物クライメート・トランジション利付国債の入札が行われる。午後取引時間中には基調的なインフレ率を捕捉するための指標が開示される。なお、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場に学びエイド<184A.T>が新規上場する。海外では3月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、5月の米消費者信頼感指数のほか、クックFRB理事のサンフランシスコ連銀主催イベントでの発言内容も注目される。また、米2年物国債と米10年物国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
これまで押しも押されもせぬ主役を担ってきた半導体製造装置関連の株価が重い値動きとなっている。東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>、レーザーテック<6920.T>、ディスコ<6146.T>、SCREENホールディングス<7735.T>など日経平均寄与度の高い値がさ株が集積しており、今の日経平均の上値の重さは、これら花形株の動きの鈍さが投影されている。きょうはディスコが上場来高値近辺まで上値を伸ばす場面があったが、その後に失速、一方で前週末に1000円を超える下げをみせた東エレクはリバウンドどころか下値模索を続けるなど冴えない動きだった。
前週の話題を独占したエヌビディア<NVDA>の好決算及び先行きに対する強気観測は、生成AI市場拡大を背景としたAI用半導体の需要の凄まじさを如実に映し出した。もちろん、この恩恵は米国にとどまるものではない。日本でも政府が国策として半導体戦略に傾注する方向へ舵を切ったことで、生産インフラ拡充の要衝を担う半導体製造装置関連株への評価はもっと高まっていいはずである。今俎上に載っているのは、今期の収益動向ではなくあくまで中期成長シナリオにほかならない。
ひとつ言えることは、そういう事情をマーケットは当然理解したうえで上値を買い進むことに躊躇しているという点である。これは、株式需給に支配されているとしかいいようがない。上値で大量に保有している実需筋がポジションを軽くしたいというニーズが強すぎるのだ。現在、持たざるリスクから機関投資家の間で「高くても買い一択」のエヌビディアですら、どこかで売りニーズが買いを上回る局面が訪れるのは必定。これは時間軸の問題で、日本の半導体製造装置関連はそれに先立って売り注文が表面化していることになる。ここしばらくは我慢比べで、買い方としては売りニーズが捌(は)けるまで待つよりない。
ただ半導体セクターは、メインストリートは風向きがややアゲンストだが、少し脇道にそれるといきなり別世界が広がる。例えばデータセンター増設で膨大化する電力需要を見込み電力株へのテーマ買いが続いており、ラピダス関連として春先以降、継続注目してきた北海道電力<9509.T>の株価は年初比で2.5倍化した。東京市場では半導体という大きな括りのなかで、中身を見ると物色対象が徐々に変遷している。今はエヌビディア関連というよりは、AIサーバーが設置されているデータセンターを基点として収益機会が派生する銘柄に投資資金が流れ込んでいる印象だ。電力株のほかにデータセンターに不可欠な空調工事関連も着目され、既に取り上げた高砂熱学工業<1969.T>とダイダン<1980.T>以外では、同類項である日比谷総合設備<1982.T>や大氣社<1979.T>もマークしておきたい。また、東電系の関電工<1942.T>は調整が入っている分狙いやすい。データセンター関連工事の受注高が積み上がっており、今後の回収局面での収益寄与が楽しみだ。
更に4月に取り上げた精工技研<6834.T>はデータセンター向け光コネクターなどで特需発生が期待され、中期上昇波を構築中。このほか、データセンター向け通信線で商機を捉える銘柄としてフジクラ<5803.T>が異彩の上げ足を披露している。穴株では京阪神ビルディング<8818.T>が大阪都心部でデータセンタービル事業を展開しており、防災性能の高さや先進的なセキュリティーシステムを拠りどころに実績を積み上げている。
あすのスケジュールでは、4月の企業向けサービス価格指数、4月の白物家電出荷額など。また午前中に10年物クライメート・トランジション利付国債の入札が行われる。午後取引時間中には基調的なインフレ率を捕捉するための指標が開示される。なお、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場に学びエイド<184A.T>が新規上場する。海外では3月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、5月の米消費者信頼感指数のほか、クックFRB理事のサンフランシスコ連銀主催イベントでの発言内容も注目される。また、米2年物国債と米10年物国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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