今週のポイント
先週(2/5- )は、NZドルが堅調に推移しました。NZドル/円は15年4月以来、8年10カ月ぶりの高値を記録し、豪ドル/NZドルは23年5月以来、9カ月ぶりの安値をつけました。NZの23年10-12月期雇用統計の堅調な結果やRBNZ(NZ中銀)の利上げ観測が、NZドル高の要因となりました(後述)。
13日発表のNZの2年先のインフレ期待は前回(23年11月)の2.76%から2.50%へと低下したことで、RBNZの利上げ観測は後退すると予想されます。16日のオアRBNZ総裁の講演が利上げ観測を一段と後退させるような内容になれば、NZドルは軟調な展開になりそうです。
米ドル/カナダドルについては、カナダの経済指標は材料としては力不足の感があり、米国の経済指標により影響を受けやすい地合いになりそうです。
豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円は、米ドル/円の動向に注意が必要かもしれません。米ドル/円は足もとで23年11月下旬以来の高値圏で推移しています。鈴木財務相や神田財務官から円安(米ドル/円の上昇)をけん制する発言が出てくれば、本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い)への警戒感が市場で強まる可能性があります。その場合には米ドル/円が下押しして、クロス円もそれに引きずられるかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05500NZドル~1.08000NZドル>
豪ドル/NZドルは2月12日に一時1.05809NZドルへと下落し、23年5月以来、およそ9カ月ぶりの安値をつけました。
足もとの豪ドル/NZドル下落の主な要因として、NZの23年10-12月期雇用統計が市場予想よりも堅調な結果だったことや、RBNZ(NZ中銀)の利上げ観測が挙げられます(いずれもNZドル高要因)。雇用統計の結果は、失業率が4.0%、就業者数が前期比0.4%、前年比2.4%。市場予想はそれぞれ、4.2%、0.3%、2.1%でした。利上げ観測が強まった要因は、ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)のエコノミストが9日に「RBNZは2月と4月に0.25%の利上げを行う」との予想を示したことです。
RBNZは2月28日に政策会合を開きます。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む2月会合での利上げの確率は2割弱です(日本時間2月13日12:30時点)。NZのインフレ期待が前回から低下したことで、利上げ観測は後退するとみられます。
16日にオアRBNZ総裁が講演する予定。講演によって市場の金融政策見通しがどのように変化するかに注目です。利上げ観測が一段と後退する場合、NZドルが全般的に売られると考えられ、豪ドル/NZドルは上値を試す展開になりそうです。豪ドル/NZドルのメドとして、下値は1.05582NZドル(23/5/23安値)、上値は200日移動平均線(2/13時点で1.07981NZドル)が挙げられます。
豪州の1月雇用統計が15日に発表されます。豪州の雇用統計が市場予想からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2): <米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.33500カナダドル~1.36000カナダドル>
市場では、BOC(カナダ中銀)が6月に利下げを行うとの観測があります(3月と4月の政策会合は政策金利の据え置きを予想)。
今週(2/12- )は、カナダの1月住宅着工件数(15日)や23年12月卸売売上高(16日)が発表されます。ただ、それらの結果を受けて市場のBOCの金融政策見通しが大きく変化することはなさそうです。
米ドル/カナダドルは、米ドル側の材料により強く影響を受けやすい地合いになると考えられます。CPIや小売売上高などの米経済指標の結果を受けてFRBの利下げ観測が後退する場合、米ドルが全般的に堅調に推移して、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりやすくなるとみられます。米ドル/カナダドルは、1.36212カナダドル(23/11/30高値)が上値メドです。
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